見出し画像

カードを使ってドキドキワクワクしながら考える授業:3年『10000より大きい数』の授業

今回は3年生の授業を紹介します。

単元は「10000より大きい数」です。

この単元は以下のような構成になっています。

  • 「万の位」について理解する

  • 「不等号」「等号」の意味を理解し、大きさを比べる

  • 10倍や10分の1等の大きさの数と表し方を理解する


今回紹介するのは「「不等号」「等号」の意味を理解し、大きさを比べる」といった内容の授業です。

大きさ比べる授業は、よく「数の大きさを比べるときどの位を見ればいいでしょうか?」とよく問いかけたくなります。

その問いかけをせずに、子どもがどの位に着目するか自然と話したくなっていく授業をねらいました。



⓪準備は0〜9のカードと封筒

急遽授業をすることになったので、準備は簡単なものです。

  • AとBと書いた封筒

  • 0〜9を書いたカード(マグネット付き)

この2点だけで、授業をします。

封筒とカードのセットが複数あると、使ったカードをそのまま黒板に貼っておくことができるの便利です。ただ、2セットでも黒板に書き込んでおけばいいので特に問題はありません。



①導入:不等号、等号の指導(確認)

まず、Aの封筒から1枚カードを引きます。出たカードは3。そして、子どもにBのカードを引かせます。出たカードは1。「どちらが大きい?」「3。先生簡単だよ!」などとやり取りをしながら、不等号と等号の記号の使い方を確認します。

この場面でのやり取りで、教師と子どもがカードを引いて大きさ比べをするんだということがわかってきます。

子どもたちがだんだんカードを引きたくてソワソワしてきます。



②カードで勝負!「〜だと、どうして負け確定なの?」

授業の板書

黒板に「⬜︎⬜︎⬜︎ ⬜︎⬜︎⬜︎」とだけ書きます。
そして、私が1枚カードを引き、出た「1」のカードを⬜︎に入れます。

⬜︎⬜︎1 ⬜︎⬜︎⬜︎

子どもにカードを引かせるとでたカードは「5」。
意図的に私がカードを貼ります。

⬜︎⬜︎1 ⬜︎⬜︎5 

そして、私がカードを引くと「3」。
百の位に張ります。

3⬜︎1 ⬜︎⬜︎5 

次に、また子どもの番です。カードを引くと「1」。「うわ!」という子どもたち。カードを持って黒板に持って行こうとすると、「先生待って!貼らないで!」と子どもたちが言い出します。「どうしたの?」と問いかけると「張りたい場所がある!」と子どもたちが考えを話し始めます。「どこに貼りたいのかな?」と聞くと、「十の位」と返答が返ってきます。

「十の位」という発言に「なんで?」と聞き返す子もいます。
「だって、百の位に貼ったら負け確定だよ!」とまた声が上がります。

そこで、その子たちに「どうして百の位に貼ったら「負け確定」なの?」と問いかけます。

子どもたちは、「今「3⬜︎1 ⬜︎⬜︎5」でしょ?もし、百の位に貼ったら、「3⬜︎1 1⬜︎5」になって300と100だったた、次にどのカードを引いても勝つことができいなよ。」と説明をします。この説明に納得です。

「じゃあ、カードを引いた人が貼ることにしよう!」と伝えます。

3⬜︎1 ⬜︎15

私が引いたカードは「8」

381 ⬜︎15 

となりました。

子どもがカードを引く番。教室が静まり返ります。
引いたカードは「8」

381 815 

となり、子どもたちの数が大きくなりました。子どもたちは喜びます。

「ねぇ、先生。次は4桁でやろうよ!」と少し変化させるアイデアが子どもたちから出てきました。

こうして自然と「大きさ比べ対決」が始まっていくのです。


③「まだ心配。だって、もし1万の位が9だったら…」

4桁でも勝負し、5桁での勝負です。

⬜︎8⬜︎31 9⬜︎⬜︎12

まできた時です。

「9」を引いて大喜びの子どもたちがいる一方で、「まだ心配…。」という子どもたちがいました。

「この子が心配に感じる気持ちが分かるかな?」と問いかけると、他の子どもたちがその気持ちを代弁してくれます。

「心配なのは、9を引いてもまだ勝ちじゃないからだよ。先生が9を引いて1万の位に置いたら、「98⬜︎31 9⬜︎⬜︎12」になってまだ分からない。先生が勝つかもしれない。」

「え、じゃあ一番大きい位だけでは決められないってこと?」と問い返すと、
「そうだよ。上の位から比べていくんだよ!」と返ってきます。


その後、私が引いたカードは「6」

⬜︎8631 9⬜︎⬜︎12

次に子どもが引いたカードは「8」

⬜︎8631 98⬜︎12

こうした状況に子どもたちの思考はフル回転します。

「先生が9なら負ける!」
「いや、先生が9でも7を引けば勝てる!」
「6でもよくない?」
「ダメだよ!十の位が先生は「3」で俺たちは「1」だよ!」
「勝てるカードがあと1枚しか入っていない!」

私がカードを引くときには、子どもたちはなぜか祈っています。



私が引いたカードは「7」

78631 98⬜︎12

となりました。子どもたちは「勝った!」とようやく安心です。

最後に子どもは「6」を引き5桁の対戦は終了です。

78631 98612




④「先生を勝たせるために考えたんだけど…!」

子どもたちの思考を顕在化させながらゲームに取り組むとあっという間に時間がなくなります。

「6桁の勝負をしたいけど時間がないのでまとめてカードを引こうか。それを自分が好きなように並べてごらん。」と促します。

6人の子どもたちが引いたカードは「9・1・0・7・3・4」。

すんなり最大の数の「975310」を作ります。

私がまとめて引いたカードは「9・1・4・3・2・0」。
「先生のカードも自分で並べていいよ!」と伝えます。

すると、
「僕たちが勝てる数にしよう!」
「先生は一番小さくしちゃって102349にしたよ!」
「今回は先生を勝たせてあげたいなって思ったんだけど、どの組み合わせにしても勝てなかったよ。」

などと、様々な反応が返ってきました。





以上が、「10000より大きい数」の授業の紹介でした。

どこに着目すれば分からない子も1つずつの数なら比べられます。
少しずつ埋まっていくことで、着目する場所が明確になるのです。

そして、何よりも以下の2つの要素は子どもの心を動かします。

  • カードを引く

  • 勝敗が決まる

この要素はもちろん学びに入り込む「きっかけ」です。

「おもしろそう!」「やってみたい!」が自然と、
「なるほど!」「そうだったのか!」「考えたい!」へとつながります。


ドキドキ!

ワクワク!

授業の中での学びがこうした心の動きを伴えば、日常の授業も少し楽しくなると思うのです。



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?