音速の鷲乗りα 09
〜306飛行隊 隊舎〜
柊甫「皆、集まってくれ。戦技会の日程が出たから説明する。」
大石「今年もこの季節がやってきたか。ワクワクするなぁ〜」
「ワクワクする」と呟いた大石1尉は死んだ魚のような目だった。
光「いや、大石さん…目が死んでますよ。」
空井「ソウがそうなるのも仕方ないか、俺だってアイツらとやるの嫌だし。」
渉「まぁ来ちまったもんは…しょーがねえですよ。やる事やらんと…」
理樹「やっとあの人と戦える…」
角谷「理樹、やけにやる気満々だな。」
豊「直枝2尉だけ目がマジだ…」
樹「今年もあの作戦で行きますか?隊長」
豊「あの作戦?」
樹「あぁ…豊は来たばっかやから知らんのか。びっくり作戦のことを」
八木「なんですか?その〔びっくり作戦〕って?ドッキリですか?」
渉「お前さんらにも教えとかんとな、簡単に言うたら奇襲作戦よ。レーダーの目を欺く奇襲の事や」
緑川「全くわかりません…もう少し詳しく。」
樹「2機が接近して引っ付いて飛行したらレーダー上にはどう映る?」
緑川「性能の良いレーダーなら、1つの光点になりますね…まさか。」
樹「そう、そのまさかよ。」
柊甫「んふっ…今回の、競技概要について説明しても良いか?」
樹「あ〜すまん、話が逸れたな。どうぞ」
柊甫「まず、仮装敵国の軍艦が出現、それを撃沈すべくAチームである三沢のF-2支援戦闘機が発進。それをBチーム(我々F15隊)が援護、上空哨戒を行う。教導隊側はそれを妨害する仮装敵国戦闘機としてこれの迎撃に当たる。これが概要だ。」
理樹「定石で行けば、6機参加なら3機ずつに分かれて援護側と迎撃側になりますよね?」
緑川「定石通りならな…だが、相手はアグレッサーだ一筋縄ではいかんさ。」
理樹「つまり、アグレッサーの裏をかくって事ですね。」
柊甫「その通りだ。次にメンバーだ。
・空井2等空佐 TACネーム(スカイ)
・安村3等空佐 TACネーム (ランサー)
・熊岡3等空佐 TACネーム(ベア)
・窪田3等空佐 TACネーム(コブラ)
・緑川1等空尉 TACネーム(ライト)
・直枝2等空尉 TACネーム(リトル)
• 松原2等空尉 TACネーム(ジャック)
(補充要員)
とする。」
玄武「お、理樹がメンバーに入ってら」
理樹「玄武も補充要員だね。」
大石「このメンバーなら、ちょっと勝算が見えてきたぞ…びっくり作戦なら去年も使ったし奴らの裏を…」
緑川「無理ですよ…」
大石「何でそう思うんだ…?」
緑川「今年の教導隊のメンバーご存知ないんですか?園田2佐はもちろん厄介ですが…もう1人 式神が居ます。」
柊甫、樹、渉 「……。」ビクッ
理樹「……。」ゴクリ
副隊長と熊岡3佐、窪田3佐が反応する。
緑川1尉の言葉に僕も思わず息を呑む。
静かに口を開いたのは隊長だった。
空井「ああ…君ら3人にとって彼は因縁の相手だったな。」
柊甫「えぇ…忘れもしませんよあの日の屈辱…奴にだけは勝ちたい。」
渉「式神め…」
樹「…。」
窪田3佐達がここまでピリピリするのも初めて見るな…
理樹「1つ提案なのですが、我々もコブラを持ちませんか?」
大石「何を言ってるんだ、リトル…コブラなら…」
空井「待て、ソウ。続けろリトル。」
理樹「はい、ここで言うコブラと言うのは、飛行教導隊用迎撃管制官(コブラ)つまりアグレッサー専用の迎撃管制官の事です。なので我々も専用の迎撃管制官を持ちましょう。びっくり作戦と二段構えです。」
樹「おもろそうやん。乗った!」
斉藤「一理あるな。お互いの信頼関係あってこその迎撃管制だ。」
渉「俺も賛成じゃ」
柊甫「私も賛成です。どうでしょう隊長?」
空井「ここまで言われちゃNOとは言えんだろ。好きにやれ。」
柊甫「では、早速関係各所と話を詰めてきます!今週中には手配できるかと…」
空井「了解した」
それからプロジェクト着々と進んでいった。
理樹(待っててください…アシュラ、エデン…ゼウス…必ず貴方たちを仕留めて見せますよ。)
僕は強く心に誓った。
続く…
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