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現実世界と異世界の交流が楽しい『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』

 木曜はラノベ愛語り。今回は、ちょっと前に前後編で論じた作品について、「では実際のところ、この作品は面白いのか?」について述べます。
 取り上げる作品は、恵ノ島すず先生の『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』です。以前の記事で書いた通り、ファンの間では『ツンリゼ』と呼ばれているそうなので、この先は『ツンリゼ』と書かせていただきます。

 この『ツンリゼ』、乙女ゲームの悪役令嬢リーゼロッテが破滅エンドを回避すべく頑張る話…なんですが、他の「悪役令嬢物」とは異なり、リーゼロッテは、ほとんど自分では頑張りません。頑張るのは、「実況の遠藤くん」と「解説の小林さん」と二人に関わられた乙女ゲームの登場人物たち(主に、二人の声が聞こえる様になってしまった、メインヒーローの王子様であるジークヴァルト)です。
 「その、さっきから出ている『実況の遠藤くん』と『解説の小林さん』ってのは、何者なのさ!?」と突っ込む声が聞こえそうです。 (^_^;)
 実は遠藤くんと小林さん、現実世界…つまり、物語の中の現実の日本で、同じ高校のクラスメート&同じ放送部の部員と言う関係です。そして、放送の練習という名目で、この乙女ゲームをしながら実況&解説をしていたら、何故か、異世界の人物に声が届く様になってしまった…と言う設定となっています。
 この物語は、メッチャ「推し」キャラであるリーゼロッテの破滅を回避すべく、遠藤くんと小林さんが異世界に干渉する事を決意し、実際に干渉した結果がどうなるのか…が、第一の楽しみポイントです。遠藤くんも小林さんも懸命に頑張ろうとしているのですが、何せ、異世界の登場人物に語りかける事しか出来ません。語りかけた後は、相手の登場人物が動くのを見守るしかない訳です。
 この、もどかしさ!
 不確定要素が大きいだけに、「この後、どうなるのだろう…」と言う気持ちが強くなります。この辺り、作者の構成の巧みさを感じます。
 第二の楽しみポイントは、現実世界と異世界の両方で展開される恋愛ドラマの行方です。実は遠藤くん、密かに小林さんに恋しています。何故、恋する様になったのか…や、この恋は成就するのか…など、気になる要素がテンコ盛りです。リーゼロッテとジークヴァルドの恋、そして遠藤くんと小林さんの恋…現実世界が異世界に干渉する事で、二つの恋の行方がどの様に変わるのか。ここも惹き付けられる部分です。
 現在、私は原作を1巻までしか読んでいませんが、話の展開もスムーズで、構成上の問題点は感じません。以前の記事に書いた事件は残念ですが、今後2巻を読むのが楽しみな作品です。

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