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主目的より価値のある「ひたる」


 水曜は、八軒自然科学クラブの思い出話です。今回は、最近続けて書いている「ひたる」についてです。
 以前書いたのですが、八軒自然科学クラブの毎月の活動には目的があります。例えば、5月であれば小樽の春香山を登山する…というのが目的となります。おそらく、一般的な社会教育団体であれば、頂上に到達するために全力で歩いていく事になるでしょう。
 しかし、八軒自然科学クラブは「適当」で「いい加減」な社会教育団体です。何か面白そうな事があり、それに子供たちがのめり込み始めたら登山は中断し、その活動に「ひたる」事が優先されます。その辺りは、前回(R6.2.14)の記事に詳しく書きましたが、もう少し例を紹介します。

 例えば、5月の春香山だと、登山口近くの水たまりにサンショウウオやカエルの卵が沢山あります。当然、生き物好きな子供たちが卵を観察したり、採集したりし始めます。そうなったら、飽きるまで観察や採集をさせるのが八軒自然科学クラブでした。
 あるいは、5月の春香山には山菜が沢山あります。ヤマブドウの新芽、コゴミ、ボウナ(ヨブスマソウ)、トリアシショウマ…時には、天然物のギョウジャニンニクが見つかる事もあります。当然、「持って帰って、お母さんに調理してもらうんだ」と言って、採集し始める子供たちが沢山いました。もちろん、その場合も登山は中断し、山菜採りを思う存分させます。
 当然、こんな事をしていたら登山の速度は遅くなります。結果として、春香山の頂上に到達できない事が多々ありました。最後の10年間は、八合目にさえ到達していなかったはずです。
 八軒自然科学クラブでは、これでOKと考えていました。
 春香山登山は確かに主たる目的ですが、同時に「ひたる」活動を引き出すための手段でもあるのです。だから、「ひたる」活動が発生したら、そちらが主目的に変更されます。
 この、良く言えば「柔軟」、悪く言えば「適当」で「いい加減」なところが、八軒自然科学クラブらしいところで、そんな八軒自然科学クラブが、私は大好きでした。

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