40代膵臓がんサバイバーです [7]
〜前回のあらすじ〜
手術のためいよいよ入院。入院前最後の昼食を家族と取り、病院へ。
手術に向けた説明などを受け、翌日の手術を迎える。長い手術を無事に終え、ICUで目覚めて一般病棟へ。
ICUから一般病棟へ
ストレッチャーで一般病棟へ移動。これからしばらく自分の城となる病室へ移動してきました。個室だけあって窓の光がたくさん降り注いでいます。
看護師さん二人に出迎えていただいて、ベッドへ移動。ICUでお世話になった看護師さんからバトンタッチです。何か話しかけてもらったような気がするのですが、やはり朦朧としていたので記憶がありません。しかし、朦朧としつつも、何かしら受け答えはできていたので、人間て不思議なものです。
そして、一般病棟へ移ったので家族がお見舞いに来てくれました。
話によると手術は12時間もの大手術だったそうです。
膵頭十二指腸切除術に加え、大腸も切ったそうで、予定の10時間より2時間オーバーの12時間ということでした。
先生方の技術と、自分の体力で乗り切ることができたのだなと思ったのと同時に、家族は相当長い間待合室で心配してくれていたのだなと、しみじみ思いました。あそこでただ待っているのは辛いですよね…いろんな意味で時間が長く感じるはずです。
そして、先生たちは合間にお昼ご飯とか晩ご飯とか食べてるのかな…とか、ぼんやり思いました。
もはや「痛い」とかではなく、ただただ本当にしんどい
そして、改めて体に目を移すと、とにかく管、管、管…。全部で9本は繋がっていたと思います。首に繋がっている管が特に重要で、鎮痛剤が入っていて、それを補給するためのボタンも繋がれています。痛みが強くなってきたら自分でボタンを押して、鎮痛剤の量を増やすという仕組みです。
体の感覚としては、自分が想像している状況をはるかに超えて体が重く、ほとんど動きません。もはや「痛い」とか「辛い」とかを通り越して、ただただひたすらにしんどい、5分、10分がとても長い。
とにかく時間の針を進めてやり過ごしたいのですが、こういう時に限って目が爛々としてしまって寝られない、かといって起きているのが辛い…気を紛らわすためのテレビは内容が全く入ってこず、ただのたれ流し。携帯を見ようにも体が動かない、そもそも気力が全くない、暇つぶしのネットなんてもってのほか。そういう意味でも地獄の時間でした。
よく漫画やドラマで見る、病室での暇つぶしで携帯ゲームをやってもう飽きたよ〜なんてのは、入院が必要な状況とはいえ、今の状況より遥かに元気なんだな…と新しい発見がありました。
トイレ問題
ここから数日は自力でトイレに行けない為、トイレは尿管とオムツでした。
当然消化器の手術なので、お腹はいつも不調です。病人だからしょうがないのですが、そもそも自分の年齢で『おむつを交換してもらうという事態』を想定していません。
術後数日の廃人時期を過ぎて、少しづつ元気が出てくると、申し訳ない気持ちがすごく出てきます。特に夜勤の時間帯、おむつ交換のために連続でナースコールを押してしまった時、嫌な顔一つせず交換してくれる看護師さんに申し訳なく思ってしまいます。きっと、本当は自分ができるはずだ!というか当たり前という気持ちが、自分の体の状況に追いついていないのです。
今まで息を吸うように当たり前にできていたことが、他人の手を煩わせないと、借りないと、できない。なかなかの喪失感です。
そういうこともあり、途中から自分でトイレに行くようになりました。そこは幸い個室だったので、移動も近いし、周りを気にせずゆっくりトイレにいられるのが良かったです。個室を選んで正解でした。
ただ、腹筋が全然使えなかったので、起き上がるのが本当にしんどかったです。体を起こすだけで数分かかってるんじゃないかという勢い。スッっと起きれないので、ジリジリ向きを変えつつ横移動して、最後の力でベットからなだれ落ちて起きる…という感じ。
入院中の辛かったベスト3に入る思い出です。
つづく