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【書籍紹介②】ライティングの哲学「書く人のための、書く行為に対するお悩み書」

書くこと、つくることをより自由に、気楽に、気にせずに、言ってしまえばもっと適当にやってしまうこと。ぼくらは、この時代の自縄自縛と凡庸さから、書くことを開放する! つくることを解放する!

ライティングの哲学 6ページ目より


冒頭のはじめにから、書くことに対する悩み、葛藤が伝わってきます。
この冒頭を読んだとき、過激だな~と笑っていたのですが、自分ごとに置き換えてみると、笑ってもいられません。


私たちは、ずっと学生時代の頃から、
締め切り」というものに追われていて、今もなお仕事で追われている。

これは、「書く人」が読むと共感できるのですが、そうじゃない人も楽しめる。そんな一冊です。

どこが共感できるのか?と思ったのは、
下記の3点です。


完璧に仕上げないといけないという焦り

もっと良くなるかも…そう思って、ずっと下書きを書いていたり、何回か清書を書き直したり。
完璧主義によって、成果物が間に合わない!ということもありますよね?

本書では、四人の書き手が「書けないこと」について徹底に話し合い、それをテーマにして書くというコンセプトです。

もっと、良くなるはずだ…とアイディアを温めておいたり。
必ずしもそれは悪いことではないですが、締め切りがある人にとっては完璧主義が完成の邪魔をしてしまうことがあります。

締め切りによる焦り

次に、締め切りについて。
夏休みの宿題をやらなくて遊んでいたけど、夏休み最終日に慌てて手を付ける…もあるあるですね(笑)

もっと早くにやっておけよ!と思うも後の祭り。
締め切りは、書き手であろうとビジネスマンであろうとも逃れることができません。

とりあえず、完成させることが大事だ

最終的に、完璧ではないけれど「作品」を完成させること。について本書では話が移っていきます。

ライティングの哲学の座談会に参加している読書猿さんも、『独学大全』の完成を3年以上かかった、と本書ではエピソードとして紹介されています。
あの独学について研究しつくされたかのように網羅されている本ですら、頭の中で完成系としてあったわけではなく、書いていく中で、編集されることで完成されたと語られています。

このようなエピソードを読むと、私たちが何気なく読んでいる本は、著者の葛藤と努力が詰まっている。そのように感じられますね。

完成には、ある程度諦めることも

どのような資料でも説明文でも、口頭での説明すら。
全部を説明することはできません

説明をしたことがある人は共感されるかと思いますが、人に何かを説明するのって、すごく難しいです。

こちらが一生懸命説明しても、相手が分からなければ伝わらないのです。
それは日本語運用能力の差だけではなく、そもそも想像ができない事柄だから。

その言葉の意味や概念が知らない人には、分かるようにそこから説明する。
そうなると、必然的に説明が長くなる、あるいは、エッセンスだけを簡単に説明することになります。

全部を説明することは諦めて、
書く内容を一部捨てることも完成のためには大事だと本書では出てきます。

そこで、本記事の冒頭で引用した本文の、
「書くことを気楽に!解放する!」につながるのです。

書けないという悩みに寄り添った本

最後にまとめとして。

こう書いたら伝わる!や、こう書くべき!だと主張する文章術についての本はたくさんあります。
しかし、「書けない」葛藤に対する悩みで一冊の本ができるのは、新しい試みだと、面白く読むことができました。

noteやブログで毎日発信している人、作家さんなどなど。
書けないのは自分だけではない!と元気づけられる一冊を是非、読んでみてください。


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