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『旅する身体』を観て

 身体に障がいを持ったダンサーがその人となり、生きてきた人生を丸ごとその身体表現に表そうとする姿に感動して、その感動を自分の中でどう消化して良いかわからないまま帰宅した。
 私は今まで身体障がい者の方が何か表現するという場をみたことがあまりない。大学時代、祭りの縁日などで戦後の見世物小屋を模倣したものを眼にしたことがあるか、遠い記憶をたどると小学校の時「典子はいま」というサリドマイド病患者さんのセミ・ドキュメンタリー映画を学校の先生から言われて、観て感想文を書いた記憶があるぐらいである。
 ダンサーひとりひとり入り乱れるように舞台上で表現する姿を観て、最初は、「障がいを持った人を差別してはいけません。」などといったわかり易いメッセージを受けとらないといけないと思いながら緊張しつつ観ていたが、そんな鑑賞者の忖度もよそに、ダンサーの方々がイキイキ踊られている姿に度肝をぬかれてしまった。そもそも忖度とかの次元ではない、生身の人間の生き様がその身体表現に表れている感じがして、自分の個性を惜しげもなく表現できている彼らに羨ましさすら感じてしまった。
 

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