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人生で一番怖い想いをした日①

大学1〜2年生の頃、新宿に住んでいた。
ガチな新宿に、だ。
家から一番近い食料品を買う場所が新宿伊勢丹の地下、
というくらい新宿のど真ん中に住んでいた。
なぜそんなところに住むことになったかというのは割愛するけれど、
そんなところに住んでいると衝撃的な場面に出会うことも珍しくなかった。

バイトからの帰り道、道端に寝転がっている人がいて、大丈夫かな?と覗き込んだらご遺体だったり、
住んでいたマンションの隣の公園から包丁を持った裸足の男が走って出てきた瞬間に遭遇したことも…。

これだけでも、ハタチそこそこの田舎育ちの女の子には衝撃強すぎだったのだけど、
実はもっともっと怖い経験をしたことがある。

夜8時頃、新宿通りを一人で歩いていた。
と、その時突然声をかけられた。
「おねえさん、時間ある?」
だいたいそういうのはキャッチのお兄さんなので無視することが多いのだけど、
その声の主は珍しく女性だったこともあり、少し心を開いてしまったのがいけなかったのだと思う。

長い髪をグリングリンに巻いた、高見沢俊彦を彷彿とさせる風貌のその女性は私に、エステの無料体験をしないかと誘ってきた。
田舎育ちの世間知らずな19歳でも、「タダより高いものはない」ことくらいは知っていた。
でもなぜか、その時は高見沢にほいほいついて行ってしまったのである。

つづく。

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