バルセロナの徒然日記 後編
(後編)
バルセロナ最終日になんともいえない気持ちを味わいながらビーチの側でコロッケを楽しんでいると、Leoという男性に声をかけられた。
どこから来たのかとか、どのくらいここに居るのかとか、そういった話をする。私はスペインの寒暖差と乾燥にやられ(朝は寒く昼は暑い)、喉風邪をひいてしまっていたので人と喋れる状態では無かったのだけど、せっかく話しかけてくれたのでガスガスのハスキーボイスでコミュニケーションをした。
Leoは、年に1度開催されるローラースケートのお祭りに参加するために1週間ほどスペインに滞在しているらしい。
なるほど、昨晩23:00頃、サグラダファミリアから宿に戻る間でスケーター集団が街をハックしていたのはそういうわけだったか。
バルセロナは歩道が広く自転車が通れる道も整備されているので、超観光地でのスケートフェスティバルなど一見管理が難しそうなイベントが開催できるのだろう。
それにしても、1年に1回、こういったお祭りに世界中から多くの人が集まるのは興味深い。ローラースケートというアクティブなスポーツを介して人と交流が生まれる。バルセロナはtouristicな街というイメージがあるけれど、touristicではない旅の楽しみ方をしている人が多くいることを知った。
Leoは、毎年このイベントに参加するためにバルセロナに訪れるんだそう。
出会う人々と、「やぁ、去年も会ったよね」とか、なったりするんだろうか。私も、スポーツやイベントを絡めた、わくわくするヘルシーな旅をしてみたい。
最後に握手をして別れた。一期一会的な出会いと別れ方は、ひとり旅をしてみて初めて経験した。「あなたと喋れてよかったよ、あなたの名前を教えて、さようなら、楽しい旅を」と初めていわれた時は、この人たちは旅を続ける中でこういう出会いと別れを繰り返しているのだな、と思って感動したし、心が震えた。
そんなやりとりにもいくらか慣れた様子の今の自分だが、毎回話してくれてありがとう、今日を素敵な日にしてくれてありがとうと思っているーー
15:00 子どもたちがなにやらおいしそうなものを食べている。真っ赤なピンク色のジェラート。あぁ、すごくお腹いっぱいなのに。今ジェラっちゃったらチュロれないよ、と思いながらも私の衝動に抗うことは出来ない。親切な私のフォロワー様にチュロスの美味しいお店(xurreria laietana)を教えてもらったのに、残念。
ジェラートのショーケースにはリモンチェッロとか、ザバイオーネとか、イタリアンな黄色の魅惑が並ぶ。それでも、やはり私は子どもたちが食べていた真っ赤なジェラート。あれが食べたかった。
喉が痛いのに、喉に刺激物。まあいい。私はこのジェラートが売っている通りが好きだった。海から続く、広い並木道。小売店や飲食店がズラッと並び、人々がテラスで笑いあっていた。
16:00 TiBiDaBoという遊園地(景勝地)に行くか行かないかで心底頭を抱える。TiBiDaBoってなんだ。
そこは土日しかやっていない遊園地で、中心地から1時間ほど離れている山の上にある。バルセロナの夜景がきれいに一望できるし、乗り物の光と夜景、丘の上の教会とのコントラストが絶妙で最終日に訪れるのにぴったりの場所だった。バルセロナに訪れる方に是非行ってみてほしいーー。
しかし、私は結局この遊園地に行けなかった。
まず、電車の回数券が微妙な感じになってしまってキリが悪いこと、チュロスカフェやピカソ美術館の無料開放に行きたかったこと、カフェに入って仕事の連絡をしなくてはならないこと、喉風邪の影響で安静に過ごしたいこと、夜景を見るには時間が余りすぎていること、、いろんな思考が散乱してしまって1時間ほどドウシヨウ状態に陥った。
TiBiDaBoの夜景を拝むには時間が早かったのでどこかのカフェに入ろうとするも営業時間外だったり、TiBiDaBo行きの電車に乗るも反対方向のものに乗ってしまったり、出鼻をくじかれる思いもした。
なんだか疲れたので、TiBiDaBoは諦めて、今日は我が家に戻ろうと。
ゆっくりメールの返信をしたり、りんごをかじったりすることにした。
私は、広いキッチンのあるこの宿が大好きだった。
この空間で思う存分にミントティーを楽しめたり、ゆったり朝ごはんの支度が出来ることが何にも変えがたい幸福な時間だった。
お腹はまるで空いていなかったけれど、ほかの宿泊者が置いていった野菜が腐りかけていてもったいなかったので、それを使ってシンプルな料理を作った。
私は、キッチンがあれば幸せになれるーーーー
Bye~💛
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