![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/106661993/rectangle_large_type_2_46f06da61260642380d5d50a6b6670f9.jpeg?width=1200)
銭婆とカオナシ 最終回
(メインブログ「神様達と共に」で2017年3月18日にアップした「銭婆とカオナシ 最終回」の内容を、一部修正&加筆して再アップしております。)
(過去のお話しのリンクはこちら⇒「第1話」「第2話」「第3話」「第4話」「第5話」)
![](https://assets.st-note.com/img/1685200665880-oU42JJ3jpV.jpg?width=1200)
銭婆「そう・・・。
あなたがこの世界に来てくれたこと・・・。
湯屋でゴチャゴチャしたことも含めて・・・。
ぜ~んぶ・・・それで良かったのさ。
私ぁ思うんだけどね・・・。
きっと・・・あなたの中の神の部分が・・・見えないところでちゃぁんと働いていたんだよ。
だから・・・全てがちゃんと導かれていた・・・。
ほら・・・?
そうじゃないかい?」
![](https://assets.st-note.com/img/1685200665707-EYPsUBzyej.jpg?width=1200)
銭婆の話を聞いて、目を潤ませる安良見命・・・。
安良見命「・・・おばあさん・・・。」
![](https://assets.st-note.com/img/1685200666083-hL9t0RcBRB.jpg?width=1200)
銭婆「だから、もういいのさ・・・。
あなたはちゃんと反省したんだから・・・これ以上自分を責めることはない・・・。
あなたはよぉくわかっている人・・・。
だから・・・ここからはもう・・・次のステップに進みなさい・・・。
それが・・・この世界の仕組み・・・自然というものだからね・・・。」
すると・・・。
安良見命の目から、ポロポロと大粒の涙がこぼれだした・・・。
![](https://assets.st-note.com/img/1685200664717-bkoc9uPMos.jpg?width=1200)
安良見命「・・・おばあさん・・・。
ありがとう・・・。
・・・でも・・・。
でも・・・違うんです・・・。
私は・・・かつて・・・。
とても負けず嫌いな神でした・・・。
![](https://assets.st-note.com/img/1685200665780-XNjqFhJyld.jpg?width=1200)
神の世界では・・・たくさんの人間に寄り添い・・・たくさんの苦労を乗り越えた神ほど力強く・・・輝かしいオーラを持っています。
その力強いオーラを見て私はいつも・・・。
![](https://assets.st-note.com/img/1685200665581-snSCID7Wo5.jpg?width=1200)
『あんな輝き・・・私だって本気を出せばすぐに身に付けられる』
と・・・思っていたのです・・・。
本当は妬んでいたくせに・・・。
その気持ちとは向き合えずに・・・。
![](https://assets.st-note.com/img/1685200664479-NXddtAHu7J.jpg?width=1200)
だから・・・私が人間と向き合ったのは・・・。
本当は・・・誰にも負けたくなかったから・・・。
自分のために・・・人間と向き合っていたのです・・・。
でも・・・。
今・・・わかりました・・・。
私は・・・人を支え続けていたつもりでしたが・・・。
本当は・・・私が支えられていた・・・。
![](https://assets.st-note.com/img/1685200666250-HSfZ0rsvda.jpg?width=1200)
人の笑顔に・・・。
![](https://assets.st-note.com/img/1685200664463-cD7B5FDqeP.jpg?width=1200)
その・・・あたたかい心に・・・。
支えられ続けていた・・・。
私はただ自分の力で・・・みんなを支えているつもりだったけど・・・。
でも・・・本当は私の方が支えられていた・・・。
![](https://assets.st-note.com/img/1685200664860-C9XcAyTFhA.jpg?width=1200)
人の心がこんなにもありがたいものだなんて・・・!
私はずっと気付いていなかった・・・!!
ずっと・・・見えないところで・・・私は支えられていた・・・。
ず~っと・・・。
ず~~~っと・・・人間に支えられてのです・・・!!
うぁあ~!!!」
溢れる涙と・・・その想いを抑えることなく出し続ける安良見命・・・。
銭婆も涙ぐみながら、その様子を見つめている・・・。
そして・・・。
![](https://assets.st-note.com/img/1685200664856-BbN3egpX2W.jpg?width=1200)
あたたかく大きな手で、安良見命を抱きしめる銭婆・・・。
その想いを・・・ささやくように伝えた・・・。
![](https://assets.st-note.com/img/1685200665926-J2aYQ4ugz6.jpg?width=1200)
銭婆「あなたはね・・・。
痛みを知ったの・・・。
人間の心はたくさん痛んでいるから・・・。
だから・・・あなたは人間の心の痛みを・・・自らが体験することで知ったのよ・・・。
あなたは愛が深い神・・・。
だからね・・・どうしても知りたかったの・・・。
人間がなんで苦しんでいるのか・・・。
なんでこの世界は悲しいのか・・・。
あなたは・・・そうなるワケを知りたかったのよね・・・。
これは・・・大きな学び・・・。
あなたにとって・・・大きな大きな宝・・・。
この気付きを・・・大切に・・・。
それはきっと素晴らしい力となるでしょうから・・・。
その力で・・・たくさんの人達・・・。
たくさんの心を痛めた人達を・・・助けてあげてね・・・。
それは私には出来ないこと・・・。
でも・・・あなたになら・・・それが出来るのだから・・・。」
その言葉を聞いた安良見命は・・・銭婆の胸の中で、しばらく泣き続けた・・・。
銭婆は・・・そんな安良見命の頭と背中を優しくなでながら、あたたかく抱きしめ続ける・・・。
しばらくすると・・・。
安良見命は泣くのを止めて、スッキリとした表情でこう言った・・・。
![](https://assets.st-note.com/img/1685200666660-lB9TSMRgZs.jpg?width=1200)
安良見命「おばあさん・・・。
私・・・こうしてはいられませんね・・・!」
![](https://assets.st-note.com/img/1685200665831-K3pREcRY4z.jpg?width=1200)
銭婆「そうだね・・・。
残念だけど・・・お別れの時間だね・・・。」
![](https://assets.st-note.com/img/1685200665631-y0QRNSgZiD.jpg?width=1200)
家を出て、夜空に舞い上がる安良見命。
そして・・・銭婆の方へ振り返って、最後の別れを伝えた。
安良見命「おばあさん・・・。
本当に・・・本当にありがとうございました!
このご恩は永遠に忘れません・・・。」
![](https://assets.st-note.com/img/1685200666608-nUp3ptAMmR.jpg?width=1200)
銭婆「あっはっは。
恩だなんて・・・よしておくれ。
私はやりたいように生きているだけだから。
あなたはずっと素敵だったよ・・・。
カオナシの時も・・・今も・・・ずっとね・・・。
また会えたら嬉しいわ。
その時には・・・もっともっと素敵な神になっていておくれ。」
![](https://assets.st-note.com/img/1685200665978-cyS6hcP0nz.jpg?width=1200)
安良見命「もちろんです・・・!
ありがとう!
さようなら・・・おばあさん!
またお会いしましょう!!!」
こうして、安良見命は神界へと帰っていった・・・。
力強く光り輝き・・・夜空を舞い上がるその姿は、まるで・・・多くの人々の希望を乗せた一筋の流れ星のようであった・・・。
おわり
「銭婆とカオナシ」シリーズ・・・以上で終了でございます!
10日間にわたりお付き合い下さりまして、ありがとうございました!(^^)