銭婆とカオナシ 第2話
(メインブログ「神様達と共に」で2017年3月10日にアップした「銭婆とカオナシ 第2話」の内容を、一部修正&加筆して再アップしております。)
(過去のお話しのリンクはこちら⇒「第1話」)
ついに剥がれ落ちたカオナシのお面・・・。
その様子を見て驚く銭婆・・・。
銭婆「・・・・・・!」
なんと・・・お面が剥がれた場所から、美しく・・・金色に光輝く素顔が見えていた・・・。
その素顔は、銭婆の言うとおり・・・とても純粋で・・・。
あどけない子供のようにも見える・・・。
すると・・・。
すぐにこの子供はうつむいて、グッと体に力を入れ始めた。
ミシミシときしむ様な音が聞こえてくる・・・。
そして、次の瞬間・・・!
カオナシの真っ黒な体は・・・爆発するように砕け散り、四方八方にはじけ飛んだ!
その中から出てきたのは・・・。
優しい微笑みを湛え・・・全身に黄金色の美しいオーラを身にまとった・・・一人の少年だった。
安良見命「私の名は、安良見命(やすらみのみこと)・・・。
おばあさん・・・。
私の本当の記憶を取り戻してくれて・・・ありがとう・・・。」
彼の声はとてもあたたかく・・・優しく・・・深く落ち着いていた・・・。
姿は少年だが、もしかするとそれは仮の姿で、本当は長い経験を積んだ高貴な魂なのかもしれない・・・。
この彼の声を聞いて、銭婆もやっと落ち着きを取り戻したようだ。
銭婆「・・・やっぱり・・・。
あなたは神様だったのね・・・。」
安良見命「はい・・・おばあさん・・・。
最初から、見抜いていらっしゃったのですね・・・。」
そう言って、安良見命はゆっくりと床の上へと降り立った。
銭婆「いえ・・・。
もちろん、全部はわからなかったよ・・・。
なんとなくね・・・勘みたいなものさ。
・・・でも・・・。
あなたどうしてカオナシなんぞになったんだい?
あなたほどの神が・・・。
よほどの事情があったのでしょう?
よかったら・・・私に話しを聞かせてくれないかい?」
その問いかけに・・・安良見命は、少しためらった様子でこう応えた・・・。
安良見命「いいのですか?
話せば長くなりますし・・・。
けして、楽しい話しではないですよ・・・。」
銭婆「こんな老いぼれでもね、まだ知りたい・・・学びたいという気持ちはあるんだよ。
それに・・・あなただって、話した方がスッキリするんじゃないのかい?」
その銭婆のあたたかい言葉に、自然と顔がほころぶ安良見命。
安良見命「ありがとう・・・おばあさん・・・。
なにからなにまで・・・感謝の伝えようがありません・・・。
いずれ必ず恩返しをさせて頂きます・・・。
では・・・。
今は、せめて僕が経験してきた真実を、全てお伝えしましょう・・・。
それで少しでも、あなたの知恵を育むお役に立てるのならば・・・私も嬉しいです。」
そう言うと、安良見命はゆっくりと息を吐き・・・。
そして静かに語り始めた・・・。
安良見命「もう、ずいぶんと昔のことです・・・。
人間の世界で言えば、おそらく200年よりも前・・・。
私は・・・ある小さな山村に降り立った・・・まだ駆け出しの神でした・・・。」
(つづく)
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