2022/01/31 辻村ちひろ 不定期配信【穴あきダムは自然に優しいのか?】部分文字起こしその5
2022/01/31 不定期配信より その5
今回のnoteでは2022年1月31日の辻村ちひろさんの不定期配信「穴あきダムは自然に優しいのか?」より、部分抜粋して文字起こしをしました。その1・その2・その3・その4に続き、このnoteはその5になります。
熊本での講演会の後だったこともあり、現地の様子などもお伝えくださっていましたよ。全文の文字起こしは難しいので、全体を知りたい方はぜひ辻村さんのYouTubeをご覧ください。
(まだまだ勉強が至らず、もしかして辻村さんの意図したことではない文字起こしをしてしまっているかもしれません。間違いがあった際は「ここはこう言ってるんじゃないの?」と教えていただければとってもありがたいです。)
「これからの治水、どう考えるべきか」
YouTube17分頃〜
そこの地域にさらに昔に起きた水害の時の写真が残っていて、で、上がった水のかさの量ってそんなに変わらないですね、今回と。
でもね、流れてきている水の質が違うんですよ、すごくきれいな水が流れ てきてるんですね。
これは何が起きてたかっていうと、その上流で、氾濫を起こすエリアの上流側で斜面崩壊とか流木が出てきちゃうとかそういったことが「なかった」ってことなんですね 。
要するに単純に降った雨が川からあふれていてきたっていう状態だったんで、 それには実はいくつもあって、要因がね。
一つはあの、流木が流れると危ないということで、河川沿い、河川の敷地の 中にある例えば竹林だとか、そういったものを伐採してしまったんですね
これって実は昔の人の知恵で、水害防備林と言われるものも含まれていて、水害が起きそうなときにその土砂を林でせき止めて、水だけを外に出すために水害防備林がつくられていたっていう、これがなくなってきてたってことですね。つまり流れてきたもの全部、川の外へ来ちゃう。
それともう一つは山が荒れてるんです。
これは地元の指導員の方にもご案内いただきましたけれど、鹿の食害もひどくなっていて、スギやヒノキの植林地も、下草刈りだったり、間伐がちゃんとできてなくて、保水力の低い、放棄された植林地が結構あるって言うのと同時に、鹿の食害で下草が全く消えてしまった森、どちらも保水力がものすごく落ちてしまってるので、降った雨が土石流と、土石流というかその土砂災害を含めて起きてしまうというその状況、危険度を上げてるって言うことですね。
つまり周りの環境っていうのも劣化・悪化っていうのも今回の水害の被害を大きくしてしまった要因、大きな要因なんですね。
そこについて何の手はずもせずに、ただ穴あきダムだからっていう話では、同じような水害を防げるとは、やっぱり到底思えないってことですね。
途中省略
(コメント欄より)「植林されたスギって根が貧弱なんですよね?」
植林された森が全部悪いわけでは実はなくて、僕も何度かお会いしたことのある東大の蔵治さんっていう地下の、水文学(すいもんがく)が専門の方とか、あと筑波大の恩田先生たちが研究してるんですけど、きちんと手入れされたスギの植林地は、ブナ林と保水力はそんなに変わらないんですね。
これは実際に現地での観測だとか実験で明らかになっています。植林された森で手入れされていないと保水力は途端に落ちます、その違いは大きいので、植林が全て悪いということではないですね。
ちゃんと植林地として、スギの木を売るっていうことが機能しているところであれば、適度に間伐もしますし、間伐をすることによってお日様が入るのでスギ以外の下草が生えてきますね。
そういう下草が生えてくることで地面を安定化させるってことが出来る ので、実は手入れされた植林というのはしっかりとした保水性を持ってるってことだけは覚えといてください。
はい、そういうようなことを全部トータルで、これからの治水は考えていかなきゃいけないんですよね。
今回の文字起こしは以上です。ダムだけでどうにかしようとすることがそもそも無理である、と理解しました。自然は全部繋がっているのですね。