本能のままに | 瑞慶山剛さん
一見、やりたいことをやっている人、成功を収めている人に見えてもその裏には過酷な経験があります。
今回取材させていただいたのは学生ながら沖縄で父親と共に花屋を経営している瑞慶山剛(ずけやま ごう)さんです。
「学生で経営に携われるなんて良いな~」と思う方も多いと思います。瑞慶山さんがなぜ”花屋”の経営に携わっているのか、どんな過去があったのか、何を経験してきたのか。
周りがやらないことをやってきた、瑞慶山さんだからこその気持ちの変化や葛藤が書かれている記事となっております。是非、最後までご覧ください。
↓瑞慶山剛さんのTwitter
【経歴】
瑞慶山剛(ずけやまごう)
現在、名桜大学を休学中。
沖縄で注文メインの花屋「花屋ティエラ」を父と経営。ECサイトの開設、公式Liverとしても活動中。
花に興味はなかった
ーー今回は取材させていただきありがとうございます。早速ですが、現在の活動について教えてください!
普段は大学に通いながら、父親と一緒に花屋を経営しています。あとはデジタルマーケティングと最近イチナナライブの公式Liver(以下:ライバー)になりました。
ライバーになったのは他店と差別化を図るためです。以前、花を沖縄中に運べるようにECサイト(ネットショップ)を作ったんですけど、コロナでみんなネットに移行しちゃったので、差別化が図れなくなったんですよ。
「じゃあどうしたら差別化を図って、マーケットを日本各地にできるか」って考えた時に、ライブ配信だなって思って始めましたね。
ーーなるほど。元々、花に興味はあったんですか?
花に対してなんとも感じなくて、あんまり好きじゃなかったです。(笑)女性からすると「うわ~可愛い~!」ってなると思うんですけど、僕からすると「綺麗なのはわかるけど・・・」みたいな感じなんですよね。
小学校の時も「お前の父ちゃん花屋なんだろ?」とか言われて、良い思いはしなかったですね。その当時は”女らしさ”、”男らしさ”って考えが強かったので、”女らしい”商売をしている父親があんまり好きじゃなかったですね。しかも、花の名前は”ひまわり”と”バラ”しかわかりませんでした。(笑)
大学入って、起業したかったのでWebマーケティングやエンジニア、ライティングなど色んな事に挑戦してきたんですよ。でも何か上手くいかないなって思って。「よし、起業してみよう!」って思ったタイミングでお金が尽きてしまって、当時のメンターに相談したら「父親の花屋手伝ってみたら?」って言われました。
財務の勉強もしていたので、花屋の状況ってどうなんだろうって見てみたら、いつ潰れてもおかしくない状況だったんですよ。
でも長い目で見たら自分にとっていい勉強になると思ったのと、父親の仕事を楽にさせることができたらいいなって始めたんですけど、その選択が地獄の始まりでしたね。(笑)それが花屋を始めるきっかけでしたね。
ーーそうなんですね!転機ってありますか?
僕の恩師の言葉ですね。”努力も大事だけど、その前に選択だよ”って言われてたんですけど、日本人は努力を先にしようとするんですよね。
僕は恩師に「花屋をするな」って目の前で言われたことがあるんです。何度も辞めよう、逃げようって思ったんですけど結局、身近の人の為にやりたいなって答えにたどり着いたんですよね。
そのために1,2か月どこかに行ったり、ビジネスモデルを探しにニューヨークに行ったりしました。その選択が間違っていたかはわからないですけど。
ーーなるほど、大学入学後に様々な活動を行うことになったきっかけってありますか?
大学1年生の夏休みにアフリカ行ったことですね。その時に熱、下痢とか色んな症状が重なって本気で死にかけて、「もうだめだ、死のう」って考えたんです。でも今死ぬと「沖縄でもっとやりたかったな」って後悔が残ると思ったんですよね。
休学もしていたので何かやりたいなって思って。その中で一番やりたかったのは”学べる場所を作ること”だったんですよね。
僕、野球をやらせてもらっていたんですけど、シングルファーザーで貧乏だったんですよ。遊びに行くことですらつらかったです。遊ぶってことは何かしらのサービスを使うので、お金が必要になるんですよね。
貧困なのはなんでなんだろうって思って勉強していくうちに、学ぶことが大切ってことに気づいたんですよ。
じゃあ、沖縄にも学べる機会をたくさん作ったらどうなのかって思って、講演会を開きました。1回目に300人、2回目には600人を集めることができて琉球新報ホールを満席にしました。
けど、集客することが目的になってしまって。結局、自分自身で何かアクションを起こさないとダメなんだなと思って起業しようって思いました。
お金はなかったんですけど大逆転できるんじゃないかって思ったんですけど、全然ダメでしたね。(笑)
そこからまた、自分を守るために勉強をしようと思って年間200冊本を読むようになりましたし、他人を幸せにしないといけないなって考えるようになりましたね。
不安解消は劇場化
ーー花屋の仕事をこなしていく中でどんな想いで活動されていますか?
どんな想いっていうか、そもそも商売って何なのかってところから考えましたね。ルーツが物々交換なので、お互いが欲しい物、お客さんが喜んでくれる物を提供しないといけないんですよ。
だから、要望とか困っていることをめちゃくちゃ集めて、色んな論文とか読んだりして何をしたら喜んでもらえるのかってやってましたね。その中で上手くいかなかったり、資金が尽きたこともあったので大変だったんですけど、バイトしながらどうにかやっていました。
ーーなるほど。その中で不安はなかったんですか?
不安はあったんですけど、解消するために考え方を変えましたね。結構口だけなところがあったので。自分の話を”瑞慶山劇場”ってドラマ化するんですよ。そうすることで自分を楽にさせることができるんですよね。失敗しても「視聴者が笑ってくれるからいいや」みたいな感じで誤魔化すんですよ。
誰しも不安を抱えて生きているし、僕だって夜中に消えたいって思う日も何度もあります。そんな自分を笑ってみてくれる人のために頑張ろうって思うんですよね。そんな意味でライブ活動はあっている気がしますね。
ーー色んな事をやっていく中で周囲の反応はどうでしたか?
講演会とか自分で何かやるときにすごく叩かれましたね。Twitterで文句を言われているような感じで友人にも言われました。その人たちと関わりたくないなって思いましたね。
今は”やりたいことやろうぜ”みたいな感じなんですけど3,4年前はそうじゃなくて、"皆と同じことやりましょう"って感じだったんですよね。だから僕がすごく浮くんですよ。Twitterで発信したら文句は飛んでくるし、僕の知らないLINEグループで文句言われていたりもしましたね。
花屋を始めて2年目に沖縄全土に配達できるようにサービスを作ったんですよ。それがテレビや新聞に取り上げられたりして、皆文句言わなくなりましたね。(笑)
自分を知ること
ーー活動をされていく中で一番大変だったことってありますか?
心の健康ですね。お金がないと心理的に負担が掛かるんですよね。1回僕が花を仕入れすぎてキャンセルが起きたんですよ。「今月資金繰りできない!」ってなったんです。何とか注文とって切り抜けたんですけど父親の作業が増えて負担をかけてしまったんですよ。
それを見て「何しているんだろう」って思って。「64歳持病持ちの父親に何をさせているんだ」と申し訳なくなったんですよね。人の為を想ってやっているつもりが逆に苦しめていて、その時に僕の心がズタズタになりましたね。
鬱にもなりかけたし、吃音症にもなりました。本当に心の健康を甘く見ていると痛い目見るなって思いましたね。
ーーその状況からどうやって乗り越えたんですか?
頑張れば良いと思っていたんですよね。気合と根性みたいな。それで睡眠時間削って3時間くらいにしたりして。そうすると仕事はできないし、涙が止まらなかったり、怒りっぽくなったんですよ。「これじゃまずいな」って思って1回花屋から離れたんですよね。
それで、サウナに通ったり、人と触れ合うこととか、ご褒美を与えるとか、週末はダラダラ過ごしてみるとか、自分の好きな事をすることに時間を割いてみたら、すごい調子が良くなりましたね。あとは苦しい時はちゃんと声に出すことです。
ーーなるほど、しっかりメリハリをつけるということですね。
そうですね。自分のことを知って、何に癒されるのか。それを知った上で行動していくことが大切だと思いますね。
ーーありがとうございます。沖縄の好きな”ところ”ってありますか?
沖縄の好きなところですか、難しいですね。”人の助け合い”ですかね。そこを沖縄の悪いところって捉える人ももちろんいるんですけど、でも僕は独自の文化であったり、歴史的背景が県外とは違うところで良いところかなって思っていて。
例えば、”かめー、かめー攻撃”(おばあちゃんが食べなさいと押し付けてくること)とか、「おばあちゃんは子供の頃に食べることができなかったから、あんた食べなさい」ってひもじい思いをしてほしくないって愛情を注いで言っているんですよね。そんなところが好きです。
ーーちなみに、思い出の場所はありますか?
花屋の奥の部屋です。苦しい時を良く過ごしていた場所なので。恐怖に押しつぶされそうになって、負のエネルギーに包まれている自分がいたんですよね。プラスにもっていこうって行動するんですけど、結局無理で。
ものすごい葛藤していましたね。まあ、いい思い出の場所って訳ではないんだけど、個人的にはすごい印象深いですね。
本能のままに
ーーそうなんですね。やりたいことを中々行動に移せない人がいると思うんですけどアドバイスはありますか?
「本能のまま生きろ!」って言いたいですね。例えば、目の前に本当に好きな有名人が居たら声かけたくなるじゃないですか。そんな感じですよ。
でもやりたいことが見つからない人は無理に焦らないで良いと思いますね。やりたいことなんて何歳になっても見つかるし、そんなに肩書を求めなくてもいいんじゃないかなって思います。そんなことで無理やり自分を苦しめないでほしいです。
インスタグラムでカッコイイことしている人いるじゃないですか。羨ましい気持ちはわかるんですけど、それに惑わされないでほしいって心の中では思ってます。
周りと比較せず、自分のペースでやることが大切じゃないかなって思います。
ーーありがとうございます。いいアドバイスですね。剛さんは将来の夢、展望はありますか?
綺麗ごとになると想うんですけど、人を喜ばせたい、楽しませたいってこととですね。そのためにはまず、自分が楽しむ、笑っていられることをしていきたいですね。今後の展望は、僕が笑っていられることが重要になると思っています。
↓瑞慶山さんの経営する「花屋ティエラ」のTwitter
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございます。
正直、インタビューをさせていただく前までは勝手に怖い印象を抱いていたのですが、お話してみると本当に気さくな方で、インタビューが終わった後にもアドバイス、為になるを話していただきました。
最後の章「本能のままに」で「インスタグラムでカッコイイことしている人いるじゃないですか。羨ましい気持ちはわかるんですけど、それに惑わされないでほしいって心の中では思ってます。」と書きました。
僕自身は「みんながあの資格とるから」と資格試験に走った経験があります。今考えてみると「本当に取りたかった資格なのか、どちらかというと興味ない分野だけど・・・」と思います。
周りと一緒のことをしないといけない。足並みを揃えないといけないと焦る場面は日常茶飯事です。「そうしたくない!」って思っていても気づかないうちに巻き込まれています。しかし、そこで一回、自分が本当に今したいことは何なのか考える必要があるのかもしれません。
withOKINAWAは、沖縄のために活動されている方や沖縄で活躍されている方へのインタビューを通して、沖縄の学生が沖縄をもっと好きになってもらえるよう活動しています。
ライター:かずき
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