自分たちの街を自分たちでつくる|玉城陽平さん【前編】
「沖縄のために何かしたい」
そんな想いを持つ沖縄の学生は多いのではないでしょうか?(私は友人からよく聞きます!)
今回インタビューさせていただいた玉城さんは、ご自身のお仕事とは別で、現在お住まいの南風原町の町議会議事録アプリをノーコード(プログラミング技術が必要のない方法)で作成されています。
その行動のきっかけとなったのはやはり、沖縄に対する想いのようです…!
ぜひ最後までお楽しみください!
↓玉城さんTwitter
↓南風原町議会アプリ
公共を分厚くしたい
ーーー本日はよろしくお願いします。早速ですが、玉城さんは沖縄県出身で、大学は京都大学に通われていたそうですね。沖縄に帰ってきた理由があれば教えて欲しいです。
そもそも、京都大学に進学した理由は「もっとレベルの高い場所で学びたい」と思っていたからです。
沖縄にも大学はありますが、触れられる情報に差があると感じ、高校生のときの私はなるべく偏差値の高い大学を目指していて、進学できたのが京都大学でした。
ただ、大学在学中にいろいろな局面で沖縄の人の代表のような形で意見を求められることがあり、そこでうまく伝えられず、自分のルーツについて知らないことがたくさんあることに気がつきました。
それから、私には兄2人と姉1人がいますが、3人とも大学には進学せず、短期大学や専門学校を卒業して就職しています。
その兄や姉とは異なり、私が大学進学を選んだのは、中学生時代の塾の先生や高校生の時の友人など、大学進学を勧めてくれる方ともたまたま多く出会い、大学でさらに学ぶことに魅力を感じる機会に恵まれていたからだと思います。
末っ子だったこともあり家庭の経済的なところも当時は気にせず、県外の大学に進学させてもらいました。
自分の実力というよりも、偶然の巡り合わせの中で大学の学びに進んでいった背景があり、沖縄で育っていく中で出会った方々のおかげで自分は多くの学びの機会に恵まれたのだから、この恩を沖縄に返していきたい、沖縄の人たちのために働きたいと思い、帰ってきました。
ーーーなるほど。県外に出たからこそ気づいたことかも知れませんね。Twitterのプロフィールに「公共を分厚くすることに興味があります」と書いてありますが、「公共を分厚くする」とはどういう意味ですか?
私の基本的な考え方として、どういう環境で生活したいのかをそこに住んでいる私たち一人一人には決める権利があると思っています。
そのため、一人一人がその権利を実感することや、どういう制度があるのか・それがどう決められているのか・どこに何を言えばそれが変えられるのかを知ることが大切だと思います。
このような、地域に住む人々が集まって「どんな地域にしたいのか」「地域を良くするためにどうしていきたいのか」を考えられる環境が公共だと考えています。
「公共を分厚くする」というのは、この公共の基盤を固めることと実践していくこと、身近なところでいくと地域の財産である公園や公民館の利用方法などを考えたり、地域を良くする取り組みを企画したりして、よりよい地域にしていくことだと考えています。
ーーーなるほど。なぜそういったことに興味を持つようになったんですか?
元々高校生くらいから「人の役に立ちたい」という想いが強かったんです。ただ当時は理系だったこともあり、社会的なことにはそれほど関心はありませんでした。
大学2年生ごろに「数学ばかりやっていても直接的に社会の役には立てなさそうだ」と考えるようになり、社会的なことへの興味・関心に変わっていきました。
特に県外に出たことで、自分自身に「ウチナーンチュ」というアイデンティティを持つようになったこと、沖縄は日本でも特殊な地域だったことも要因の一つだと思います。
アプリ作成のきっかけ
ーーー今回南風原町の町議会議事録アプリを作成された件でお話を聞きたいと感じ、お声かけさせていただいたのですが、そもそもなぜアプリを作ろうと思ったのですか?
根本的には、自分たちの地域は自分たちで決められる、という考え方があります。
ただ、自分達の地域のことを決めていくための機関である議会が身近な存在ではなかったり、中で誰がどんな議論をしているかわからなかったり、困りごとがあった時にどこに相談すればいいのかわからなかったりすると思うんです。
現在本業で塾講師をしており、学生に「民主主義とは何か」といった話をする機会もあるんですが、その際に議会や行政等の機関が身近に感じられず、実際に民主的にものごとを決めていく例が見えにくいので、理解もしにくいのでは?と感じることがありました。
それから、元々南風原町について調べていたこともあって、そこでわかったことを自分の理解に留めるだけでなく、整理して発信した方が有益なのではと感じ、アプリ制作につながりました。
ーーーなるほど、きっかけは「行政を身近に感じる例を作りたい」という想いだったんですね。ちなみに、もともと南風原町について調べていたとおっしゃっていましたが、それは「自身が住む地域に対する当事者意識」みたいなところからですか?
そうですね。特に、南風原町は地元でもあるので。
それに加えて元々「沖縄の役に立ちたいと思って沖縄に帰ってきたんだったよね」と改めて思い返していたからという理由もあります。
沖縄全体をよくするために「自分の足元の地域がどうなっているのか」からみていく必要があるなと感じていました。
小さいところから少しずつ大きくする意識がないと、全体として行っている施策が誰かを傷つけてしまう可能性もあると思っています。
そのため、小さなところから積み上げる意識ってとても大切なんですよ。
それから、私は数学をずっとやってきたので、理論的なところから入ってしまう癖があって、具体的なことが見えていないこともあるんですよね。
それに対する自戒の意味もあります。
ーーー理論から入らず小さなところから大きくスケールアップしていくことも、具体的に全体を良くするためには大切なんですね。
後編はコチラです!
アプリ制作の際に大変だったことや、これからどんなことに挑戦したいかお聞きしています!
お見逃しなく!
with OKINAWAは、沖縄のために活動されている方や沖縄で活躍されている方へのインタビューを通して、沖縄の学生たちがもっと沖縄を好きになってもらえるよう活動しています。
ライター:さむ
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