徹底解説! Colaboの公金二重受給疑惑を追及する「浅野文直」川崎市議が名誉毀損で提訴された理由
※ 本記事は公益を図ることを目的とした意見論評型の記事です。
2023年4月24日、一般社団法人「Colabo」が川崎市議である浅野文直氏に対し、自治体からの業務委託費を不正に受領したなどとする虚偽の動画投稿で名誉を傷つけられたとして、330万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。
Colabo、川崎市議を提訴 「虚偽の動画で名誉を傷つけられた」- 毎日新聞
一連の浅野氏のYoutube動画やツイッターでの発言を見てきた私からすると、浅野氏はColaboに訴えられるべくして訴えられたものだと思っています。
通常、民事訴訟は開始から判決が出るまで1年〜1年半程度かかるものが多いと言われていますが、判決が出るまでの間、客観的に真実が何であるかは私を含む、第3者の立場からは分かりません。
その為、本記事では真実が何かというよりも、今回、浅野氏が提訴されることに繋がった、浅野氏の一連の動画での主張、その主張の根拠、そして、浅野氏の言動の問題点を明らかにすることに主眼を置き、浅野氏の各動画を1つずつ時系列順に解説して行きたいと思います。
3万文字を超える記事になっておりますので、ブックマークをするなどして、お時間のある時に是非、最初から最後までお読み頂けると幸いです。
Colabo 調査報告第一弾
浅野氏が初めて「Colabo 調査報告」として、Colaboに関する動画をYoutubeに投稿したのが2022年12月13日です。
浅野氏はこの動画の冒頭で、自身はColaboを擁護する立場でも無ければ、東京都に対して住民監査請求を行なった暇空氏を擁護する立場でもないと自分の立ち位置は中立なものであると表明した上で、もし仮にColaboが福祉を食い物にしているとしたら許せない、また、マスコミの報道を見ていると、Colaboを支持するような左派的な論調が多い印象を受けるとして、今後は独自に調査をしていくと宣言しました。
そして、この動画の中で浅野氏は川崎市内の女性支援事業を調べていたところ、川崎市内の児童相談所がColaboへ一時保護委託をかけていたことが判明したとした上で、次の2つの疑義が生じたと述べたのです。
1. 一時保護委託費に関する疑義
浅野氏が疑義を抱いた一点目は、川崎市内の児童相談所がColaboへ要保護児童の一時保護委託を行なうに際して支払っていた一時保護委託費の妥当性についてです。
金額の詳細は後述する為、ここでは省略しますが、浅野氏が川崎市から受けた説明によると、児童相談所が外部の私人や施設等に要保護児童の一時保護委託をする場合、その一時保護委託先が教師や里親等の私人であるか、児童擁護施設等の事業所であるかによって、その一時保護委託を受けた側に支払われる金額が異なるとのことです。また、私人への一時保護委託の方が事業所への一時保護委託よりも、その支払われる金額が一日当たり8,380円多くなるとのことです。
浅野氏としては、Colaboは私人ではなく、事業所を構える一般社団法人であるから、当然、私人ではなく、事業所へ支払われるべき金額が一時保護委託費として川崎市から支払われるべきであるはずだが、実際は、Colaboは私人扱いの金額で支払いを受けており、それはおかしいと浅野氏は疑問を呈するかたちとなったのでした。
2. 二重受給の疑義
次に浅野氏が疑義を抱いた2点目は、Colaboは東京都から若年被害女性等支援事業を受託していて、既に10代、20代の若年女性を支援する為の資金を都から貰っているのにも関わらず、川崎市からも児童相談所の一時保護委託費をColaboが支弁されていることは、公金の二重受給になるのではないかというものです。
浅野氏はColaboについて取り上げた1本目の動画の中で、これら2点の疑義について、東京都へ照会をかけたり、川崎市内の児童相談所等を調査するなどして、今後新たに判明したことがあり次第、報告するとして、この動画を締め括りました。
議員としてあまりに軽率な浅野氏の言動
「緊急!Colabo公金支出に関して、川崎での調査第一弾」というタイトルで突如公開されたこちらの動画ですが、この時点で浅野氏は自身が抱いた疑義が真実であることを裏付ける確証など全く持ち合わせておらず、むしろ、動画内でも現在、自治体に照会をかけたりと個人的な調査を進めているところであると明かしてさえいました。
そして、この後公開されていく動画を見ていくと分かるのですが、浅野氏は独自の調査により入手した情報が手に入ると、その都度、その断片的な情報をもとに何らかの仮説を結論ありきで立て、Colaboに関する疑惑を動画で発信するということを繰り返していきます。
通常、ある程度まともな報道機関であれば、何らかのスクープにつながる疑惑のネタを掴んだ場合、慎重に独自の取材を水面下で進め、その疑惑が真実である確証を十分に得た段階で、記事にし報道をします。それであっても取材が不十分であったことで誤報道をしてしまい、被害者に迷惑をかけ、そして、訴訟を起こされ、敗訴してしまうことがあるというのが現実です。
常識的に考えれば、浅野氏のように決して、たいした根拠もない段階から「緊急!」と題して、疑惑を呈する動画を見切り発車で公開したり、新たに手に入った情報がある度に、新たな疑惑が浮上したというように動画で発信するような軽率で無責任な行動は取らないものです。
しかし、本記事でこれから説明していく浅野氏の一連の軽率な言動を見ていると、まるで何かしらの事件があった時に、匿名のネット特定班や再生回数狙いで時事ネタに飛びつく底辺Youtuberが各々拾い集めた情報を、掲示板やSNSなどにばら撒きながら共有し、「こいつは怪しい」、「こいつも怪しい」と好き勝手に色んな人に疑いをかけながら犯人捜しをしている過程で、実際は加害者でもない人を加害者であると誤判定して、ネットリンチという名の私刑を扇動し、冤罪被害を生んでしまうといった悲惨な事件を連想してしまいます。
※ 旭川いじめ問題で無関係の人物を加害者であるとして虚偽の動画を配信したYoutuberが書類送検された事例
※ 常磐道あおり運転事件の加害者としてネット特定班に誤認されたことで、ネットリンチに遭った被害女性の事例
こういった、いわゆる冤罪被害を生まない為にも、誰かに疑いをかけてそれを公然と不特定多数に向けて発言する場合、私たちは当然慎重になるべきですが、議員であれば、より一層の慎重さが求められるのではないでしょうか。
これは浅野氏に限らず一般論としてですが、疑惑を追及するのは個人の自由です。しかし、その疑惑が真実であるのか、明らかになっていないのにも関わらず、その疑惑を追及する過程をリアルタイムで公に発信する必要などないのです。疑惑を追及したいのであれば勝手に水面下で行なえば良いだけの話ですし、それこそ疑惑が真実であるとの確証を十分に得た時に初めて公表するなり、刑事告発するなり、然るべきところに情報提供すれば良いだけの話なのです。
しかしながら、浅野氏はそういった良識を持ち合わせていないためなのか、2本目の動画からは浅野氏は、暴走とも言える言動を更に加速して行くことになるのでした。
Colabo 調査報告第二弾
浅野氏が「Colabo 調査報告第二弾」として公開した動画では、浅野氏が川崎市から入手した資料と、Colaboが東京都に提出した令和3年度の活動実績報告書を突き合わせることで疑いが強まったとされる公金二重受給疑惑について語られました。尚、先に言っておくと、浅野氏が動画内で主張する疑惑の根拠はあまりに稚拙なものであります。
まず、浅野氏は疑惑の根拠として次の3つの情報を動画内で取り上げました。
A. 川崎市からColaboへの一時保護委託(令和3年度)
浅野氏が川崎市から入手した資料によると、川崎市内の児童相談所から令和3年にColaboへ一時保護委託されたのは3名、15泊分であり、それに対してColaboへ支弁された総額は18万2070円とありました。
B. Colaboが東京都へ報告した短期保護の人数(令和3年度)
次にColaboが東京都へ提出した令和3年度の実施状況報告書によると、Colaboが保護した若年女性のうち、宿泊日数が2週間以内であった短期保護の人数は67名で、宿泊日数が2週間を超える長期保護の人数の0名だったとありました。
C. Colaboの活動報告書内で報告されている宿泊支援数(令和3年度)
最後にColaboのWebサイト上で公開されている令和3年度の活動報告書内にある「緊急時の保護・宿泊支援」についての活動報告ページによると、宿泊支援の内訳は以下の通りでした。
一時シェルター: 6名、52泊
ホテル等での宿泊: 61名、232泊
中長期シェルター(一時保護利用): 7名、289泊
浅野氏が主張するColaboの公金二重受給疑惑
浅野氏は上記で挙げた3点の情報を突き合わせることによって、Colaboが児童相談所から要保護児童の一時保護委託を受けた際に、川崎市と東京都から二重に保護費を受け取っている疑惑が高まったと、この2本目の動画内で主張することになります。
実際に浅野氏がどのようにして、Colaboが公金二重受給をしているといった疑惑を組み立てて行ったのかを、ここで私が順を追って解説して行きましょう。
まず、浅野氏は上で挙げた「B. Colaboが東京都へ報告した短期保護の人数(令和3年度)」と「C. Colaboの活動報告書内で報告されている宿泊支援数(令和3年度)」に着目をします。
東京都へColaboが報告した短期保護の人数は「B. Colaboが東京都へ報告した短期保護の人数(令和3年度)」の通り、67名でした。
これをもとにして、以下の「C. Colaboの活動報告書内で報告されている宿泊支援数(令和3年度)」に含まれている全74名(= 6名+61名+7名)のうちの67名が、Colaboが東京都から受託している委託事業の実績として、東京都へ報告しているということになるというのが浅野氏の主張です。
一時シェルター: 6名、52泊
ホテル等での宿泊: 61名、232泊
中長期シェルター(一時保護利用): 7名、289泊
そして、上記「C. Colaboの活動報告書内で報告されている宿泊支援数(令和3年度)」のうち「中長期シェルター(一時保護利用): 7名、289泊」は、東京都へ提出した実施状況報告書で報告された短期保護人数の67名には含まれないと、浅野氏は主張します。
つまり、一時シェルターでの宿泊人数6名と、ホテル等での宿泊人数61名、これら計67名が、「B. Colaboが東京都へ報告した短期保護の人数(令和3年度)」の67名を表していると、浅野氏は言うのです。
ではなぜ、浅野氏は「中長期シェルター(一時保護利用): 7名」を「B. Colaboが東京都へ報告した短期保護の人数(令和3年度)」の67名には含まれないものとして除外したのでしょうか?
その理由は、Colaboの弁護団が2022年11月29日に公表した「Colabo及び仁藤夢乃さんに対する誹謗中傷等について」という資料の中で、以下のような説明があるからです。
上記の引用部分を浅野氏は動画内で持ち出し、中長期シェルターを利用して宿泊支援を行なった被支援者は、Colaboの弁護団が都への委託事業報告の対象外であると言っているのだから、「B. Colaboが東京都へ報告した短期保護の人数(令和3年度)」の67名には含まれず、この67名の内訳は「一時シェルターでの宿泊人数6名」と、「ホテル等での宿泊人数61名」であると主張した訳です。
そして、これらを踏まえた上で浅野氏は「A. 川崎市からColaboへの一時保護委託(令和3年度)」で明らかになった3名は、「B. Colaboが東京都へ報告した短期保護の人数(令和3年度)」の67名に含まれることは明らかであるとした上で、Colaboは児童相談所から要保護児童の一時保護委託を受けた際、その保護費を川崎市からも東京都からも二重に受け取っている疑義が大きくなると述べたのです。
更にこれに続いて浅野氏は、この動画の中で、語気を強めて以下の発言をし、Colaboは違法行為をしている、もしくは、事務的なミスをしているといった印象付けもしています。
浅野氏は『少なくともこの報告書を読み込みますとそのようにしか受け取れません。』と言いますが、果たしてこれは本当にそのようにしか受け取れないものなのでしょうか?
少なくとも私は決して、そうは思いません。その理由は3点あります。
1. 浅野氏が見落としていた弁護団声明資料内の注釈
まず、浅野氏が根拠として持ち出したColabo弁護団声明資料がありましたが、浅野氏はその中で記載されている重要な注釈を見落としていました。それにより、浅野氏が動画内で主張する二重公金受給疑惑の論拠は、この見落としにより、早々に崩れ落ちます。
実際に、浅野氏が見落としていたColabo弁護団説明資料内の注釈部分を見てみましょう。実は先ほど、まさに引用したColabo弁護団の資料の該当箇所には続きがあったのです。
上記引用文の太字部分を読めば分かる通り、Colaboは中長期シェルター(シェアハウス)に空きがある場合、その場所を利用して緊急一時保護を行うことがあり、その場合は東京都の委託事業の支出対象としていると、しっかりと書かれているのです。これはつまり、中長期シェルターを利用して緊急一時保護を行なった場合は、東京都への実施状況報告書にその保護件数も含めるということです。
浅野氏がこの重要な注釈をうっかり見落としてしまったのか、はたまた、意図的に見なかったことにしたのかは私にはわかりません。いずれにせよ、この時点で浅野氏の情報を読み解く力を疑問視せざるを得ません。
これにより、浅野氏が述べていたような「B. Colaboが東京都へ報告した短期保護の人数(令和3年度)」の67名の内訳は、「C. Colaboの活動報告書内で報告されている宿泊支援数(令和3年度)」の「一時シェルターでの宿泊人数:6名」と「ホテル等での宿泊人数:61名」の計67名だとは断定出来ないことになります。
つまり、浅野氏の『少なくともこの報告書を読み込みますとそのようにしか受け取れません。』という捉え方は、単に浅野氏の誤認によるものだということになります。
尚、この記事で私が強調をしたいのは、浅野氏の主張の根拠がいかに稚拙なものであるかであって、真実が何かではありません。Colabo側は浅野氏によって、名誉を毀損されたとして、浅野氏を提訴していますので、真実は判決が出た際に明らかになることでしょう。
2. 児童相談所からの一時保護委託で保護した3名が都への報告対象ではなかった可能性の除外
次に2点目なのですが、そもそも、私には何故、浅野氏が「A. 川崎市からColaboへの一時保護委託(令和3年度)」で明らかになった3名は、「B. Colaboが東京都へ報告した短期保護の人数(令和3年度)」の67名に含まれることが明らかなことだとしたのかが、浅野氏の説明を聴いていても、さっぱり理解出来ませんでした。
これは先ほど私が説明したばかりの「浅野氏が見落としていた弁護団声明資料内の注釈」の件があろうがなかろうが関係なくです。
というのも、仮に浅野氏が主張していた通り、「B. Colaboが東京都へ報告した短期保護の人数(令和3年度)」の67名の内訳が、「C. Colaboの活動報告書内で報告されている宿泊支援数(令和3年度)」の「一時シェルターでの宿泊人数:6名」と「ホテル等での宿泊人数:61名」の計67名であったとしても、川崎市からの一時保護委託でColaboが保護した人数は「C. Colaboの活動報告書内で報告されている宿泊支援数(令和3年度)」の「中長期シェルター(一時保護利用): 7名」の中に含まれ、その3名は東京都への報告対象ではなかった可能性も当然、考えられる訳です。
こういった当然、考えられる可能性を除外して、『少なくともこの報告書を読み込みますとそのようにしか受け取れません。』などと発言しているのを聴くと、私には浅野氏の主張は「私はColaboが公金二重受給をしていると思うから、Colaboは公金二重受給をしているはずだ」レベルの根拠をもとにした、結論ありきの主張としか思えません。
3. 児童相談所から一時保護委託を受けた児童の保護費を東京都からの委託費から支出していない可能性の除外
最後の3点目は先の2番目の内容とも似ているのですが、浅野氏はColaboが児童相談所から一時保護委託を受けた児童を預かった場合、その実績も東京都への報告に含めているという暗黙の前提をもとに持論を展開しているということです。
確かにColaboは東京都若年被害女性等支援事業を都から受託しているので、都からその委託事業を実施する為の補助を受けてはいます。しかしながら、都から委託費を貰っているからといって、Colaboが児童相談所から一時保護委託を受けた児童を保護する際に、その保護費を東京都からの委託費から支出していることには直結しません。
児童相談所からの一時保護委託で発生する保護費をColaboが東京都から貰っている委託費から支出している、もしくは、性悪説的な見方をし、実際は支出はしていないが帳簿上は支出が発生したことにして、架空に費用を計上しているとするならば、その場合は、委託事業の活動として都への報告対象となるものと考えられます。しかし、そうでないのであれば、自主事業での活動ということになり、都への報告対象とはならないのです。
この点においても浅野氏の『少なくともこの報告書を読み込みますとそのようにしか受け取れません。』という捉え方は、浅野氏に「Colaboは公金二重受給をしているはずだ」という、ある種の確証バイアスがかかっているからこそ生まれる捉え方であったと言えます。
ちなみに、この2本目の動画が公開されたのは2022年12月15日ですが、それから約1ヶ月半2023年2月1日にColabo弁護団は『「公金の二重受給」という事実誤認について』という声明を発表します。その声明の中でColabo弁護団は以下のように主張をしています。
歪んだレンズには正しい映像は映らない
ここで浅野氏のこちらの迷言をご紹介しておきましょう。
確かに2本目の動画の時点で既に、浅野氏の確証バイアスにとらわれたロジックの組み立て方も目につきますし、また、浅野氏の情報を読み解く力に疑問を感じます。
Colabo 調査報告第三弾
続いて2022年12月18日に公開された「Colabo 調査報告第三弾」の動画を見ていきます。この動画では「Colabo 調査報告第一弾」で言及されていた児童相談所から外部へ一時保護委託があった際の委託費について、浅野氏が川崎市から入手した説明資料をもとに詳細が語られます。
浅野氏が川崎市から入手した説明資料によると、児童養護施設などの事業所と、教師や里親等の私人に対して支払われる一日当たりの一時保護委託費は以下の通りとのことです。
児童養護施設等の事業所へ一時保護委託が行われた場合
一般生活費:4,340円
冷暖房費:28円
合計:4,368円
教師や里親等の私人へ一時保護委託が行われた場合
一般生活費:4,340円
冷暖房費:28円
一時保護委託費(※ 国通知に基づく法定分):4,630円
東京都加算分:3,750円
合計:12,748円
上記の通り、児童相談所の一時保護委託先が事業所であるか私人であるかによって、一日当たりで支払われる金額が異なり、その差額は8,380円になるという話を浅野氏はこの動画の中でします。
そして、Colaboへの支払いは私人扱いでの支払いで本当に良いのかについて分かり次第、また動画で報告をすると述べて、この動画は締めくくられます。
Colabo 調査報告第四弾
2022年12月20日に公開された「Colabo 調査報告第四弾」では、この翌日に開催される川崎市議会定例会にて、浅野氏が行う一般質問の内容を事前に共有するといった内容のものでした。
実際、この動画が公開された翌日である2022年12月21日に、浅野氏は川崎市議会本会議において、川崎市のこども未来局長に対して一般質問を行ない、その質問への回答を受けています。
先に結論だけ述べておくと、川崎市はColaboに対して私人と同等の金額を児童相談所から一時保護委託がColaboへ行われた際に支払っており、これは川崎市が東京都へ支払うべき金額の確認をしっかり行なった上で支払っているものであるという回答がこども未来局長によってなされています。
つまり、川崎市から支払われたColaboへの金額は、勝手にColaboが請求金額を自分で決めて、川崎市はそれに何の確認もせずに応じて支払ったということでもなく、川崎市がColaboへ支払った金額には問題がなかったということになります。
以下はこの動画が公開された翌日に開催された川崎市議会定例会での議事録です。
川崎市議会定例会の議事録
このように、浅野氏は第一弾〜第四弾までのColaboに関する動画の中で、あたかもColaboが本来、受け取るべき金額以上の額が川崎市から支払われているのではないかといった疑義を呈してきましたが、そもそも浅野氏がこの疑問への答えを持つ然るべき者に最初から確認さえしていれば、わざわざ、「緊急」と題して、Colaboへ世間の疑惑が向くような動画を配信する必要などなかったのです。
Colabo 調査報告第五弾
前述の2022年12月21日に開催された川崎市議会定例会があった日の夜、浅野市議は自身では初めてのYoutubeライブ配信を「Colabo 調査報告第五弾」として行いました。この日のライブ配信は約43分行われたのですが、浅野氏が川崎市議会定例会にて行なった一般質問について語られたのは、その内の僅か7分程度のもので、それ以外はColaboと関係のない話であったり、関係があっても特にここで取り上げる必要もないような話ばかりでした。
ちなみに、浅野氏が川崎市議会定例会での一般質問に触れた該当部分は動画の00:18:12〜00:25:15です。
浅野氏は川崎市議会定例会での自身の一般質問に対するこども未来局長の答弁を踏まえ、Colaboが児童相談所から一時保護委託を受けた際に私人扱いの金額で川崎市から支払われたことは、東京都から受託している事業とは別の事業として、児童相談所からの一時保護委託受け入れを行なっているのであれば問題ないとの見解を述べました。
しかし、一方でもし仮に同じ事業の範囲で行なっているのであれば、それは依然として問題であるとの見解も述べました。
あくまでも東京都の問題という認識
ここで一つだけ、このYoutubeライブ配信での浅野氏の発言を取り上げておきたいと思います。浅野氏はこのライブ配信アーカイブの「00:20:28〜」あたりで以下のように、川崎市ではなく東京都の問題であるという認識を示す発言をしています。
浅野氏は自身が追求している疑惑は、川崎市ではなく東京都の問題であるという認識を示しながらも、知ってしまった以上は一つの責務としてやっていくという話をしたのです。これはつまり、川崎市議会議員である浅野氏が、川崎ともはや関係がないことを認識した上で、自分の公務として川崎市の税金を使いながらやっていくということを表明したということになります。
浅野市議の不誠実な対応
浅野氏は第一弾〜第四弾までのColaboに関する動画の中で、Colaboが私人扱いの金額を児童相談所からの一時保護委託費として受け取っていることを取り上げ、あたかもColaboが本来、受け取るべき金額以上の額を川崎市から不当に受け取っているのではないかといった疑義を呈してきました。
このような確かなる根拠に基づかない発信は、それが断言をしない「疑義」レベルであっても、Colaboの社会的信用が毀損されることに繋がるような内容と言えます。
しかしながら、浅野氏は川崎市議会定例会において、川崎市が東京都に支払うべき金額を確認をした上で、Colaboに支払いを行なったという事実確認をしたのにも関わらず、そのことにライブ配信ではろくに触れもしませんでした。
単にこの日の一般質問によって、Colaboが川崎市への内訳書と請求書を作成していることが分かったこと、また前述の通り、Colaboが児童相談所からの一時保護委託受け入れを、東京都の委託事業と別の事業として行なっているのであれば問題ないし、逆に同じ事業の範囲で行なっているのであれば問題であるといった見解を述べる程度のものでした。
浅野氏のツイッターでの投稿を確認しても、この程度の内容しか触れていなかったのです。
これでは浅野氏が一方的にColaboに対して呈した疑義は払拭されず、浅野氏から情報を受け取った者たちの中では、Colaboが自分の都合で私人扱いの一時保護委託費を川崎市に対して請求し、支払いを受けていたといった誤った認識が残ったままの状態になってしまいます。
実際、浅野氏が川崎市議会定例会の閉会後に投稿したツイートに対して、浅野氏に誠実な対応を求める声が引用RTで寄せられていることも確認出来ました。
また、浅野氏は本来であれば、川崎市議会定例会での自身の一般質問により判明した事実について、単体の動画を投稿し、しっかりと説明すべきでした。しかしながら、次の動画では浅野氏が追求を行なっていた別件についての進展を報告する動画を投稿しており、自身が身勝手にばら撒いたColaboに対する疑義を回収することはありませんでした。
ちなみに、上の動画一覧画面のスクリーンショットを見て頂いても分かる通り、「Colabo 調査報告第4弾」と「調査報告第6弾」の間の「調査報告第5弾」が抜け落ちています。
これは、Youtubeの仕様上、ライブ配信のアーカイブは動画一覧画面ではなく、ライブ配信画面に表示されるからなのですが、これでは、浅野氏が川崎市議会定例会での一般質問について触れたライブ配信ですら、視聴者はその存在に気づかずに後から確認しづらくなってしまいます。
そのことを証明するかのように、Colaboに対する私人扱いでの一時保護委託費について疑問が残ったままの状態である人達からのツイートが実際に確認出来ます。
浅野氏がしっかりと、単体の動画を投稿し説明していれば、このような疑問は払拭されていたはずです。
Colabo 調査報告第六弾
2022年12月23日に公開された「Colabo 調査報告第六弾」の動画では、浅野氏の暴走は更に加速をし、なんと、Colaboは簿外会計を行なっている、裏帳簿を作っているといった発言が飛び出することになります。早速、その発言に至る浅野氏の根拠を見ていきましょう。
横浜市と川崎市が令和3年にColaboに支払った金額
まず浅野氏は新たに横浜市から入手した情報として、令和3年に横浜市がColaboへ児童相談所からの一時保護委託費として支払った金額は合計で813,194円であったと報告をします。
また、既に川崎市から入手していた情報として、令和3年に川崎市がColaboへ児童相談所からの一時保護委託費として支払った金額は合計で182,070円であったと報告をします。
そして、横浜市と川崎市がColaboへ支払った金額を合計すると、その合計金額は995,264円であると言うのです。
Colaboの活動計算書
次に浅野氏はColaboの令和3年度の活動報告書の中で掲載されている活動計算書の中から、事業収益の内訳に着目をします。その内訳は以下の通りです。
相談事業収益:9,541,000円
巡回事業収益:11,700,000円
基礎的支援事業収益:17,812,047円
居場所づくり事業収益:726,460円
自立支援事業収益:3,054,220円
情報提供事業収益:1,554,030円
そして、浅野氏はColaboが児童相談所から一時保護委託によって得られる収益は、『川崎市横浜市からの収入が反映されるのは居場所づくり事業のこの収益しかございません』といった断定的な表現を用いて、上記の中の「居場所づくり事業収益」に計上されていると、何の根拠も示さずに断言をしたのです。
浅野氏の裏帳簿発言
そして、浅野氏は前述の「横浜市と川崎市が令和3年にColaboに支払った金額」である995,264円と、「Colaboの居場所づくり事業収益額」である726,460円を照らし合わせ、「横浜市と川崎市が令和3年にColaboに支払った金額」が「Colaboの居場所づくり事業収益額」よりも多くなるのは異常なこととして、Colaboの不正疑惑が更に強まったと力説をしていきます。
ここで浅野氏は、「横浜市と川崎市が令和3年にColaboに支払った金額」と「Colaboの居場所づくり事業収益額」の数値の齟齬について、3つの仮説を立てます。
一つ目の仮説は数値の齟齬があっても、何らかの理由で正常な会計によるものだということ。この1つ目の仮説について浅野氏は理解出来るものではなく、専門家に実際に帳簿を見てもらわなければ分からないものとしています。
2つ目の仮説は仕分けのミスによるもの。
そして、3つ目が簿外で横浜市や川崎市からの収入を処理していたというものであり、これはいわゆる、裏帳簿を作っていたというものであり、浅野氏はこの3つ目の仮説はこれまでの動画の中で浅野氏が出してきた情報を照らし合わせると、普通にこのような推測が成り立つと述べました。
裏帳簿発言の真意
ちなみに浅野氏は裏帳簿発言があった「調査報告第六弾」の補足説明をツイッターにて行なっていました。以下はその補足説明を行なう一連のツイートのうち、ポイントとなる部分に触れているツイートのみ掲載しますが、これらを読めば、浅野氏がどういった意味合いで「裏帳簿」発言をしていたかが分かります。一言で言えば「犯罪行為」であるという意味合いで、浅野氏は「裏帳簿」発言をしていたことが分かります。
浅野氏の主張の根拠の信憑性
浅野氏の今回の主張は『川崎市横浜市からの収入が反映されるのは居場所づくり事業のこの収益しかない』という認識に基づいたものです。しかも、浅野氏はこの動画の中で、なぜそのような認識が正しいのかについて、その根拠を一切、説明もしていませんでした。
また、これは後に公開される「調査報告第八弾」の動画で分かることなのですが、浅野氏の『川崎市横浜市からの収入が反映されるのは居場所づくり事業のこの収益しかない』という認識は、単なる浅野氏の推測によるものに過ぎないということが分かります。
つまり、浅野氏はただの個人的な推測で、Colaboは児童相談所から一時保護委託の受け入れによって得られる収益を居場所づくり事業の収益として計上しているのだと勝手に決めつけ、その認識を前提にColaboは裏帳簿を付けている疑惑があるという新たな仮説を組み立てていたのです。
ちなみに、厚生労働省のサイト上で公開されている、平成30年8月23日に開催された第2回「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」にColabo代表の仁藤さんが提出した資料を確認すると、Colaboでは一時シェルターの運営による収益は基礎的支援事業に含まれ、また、中長期シェルターの運営による収益は自立支援事業に含まれるものであることが分かります。
また、浅野氏が触れていた居場所づくり事業の事業内容は、自助グループの運営や合宿であることが分かります。
また、この記事を私が執筆するにあたって、Colaboの居場所づくり事業とは何なのかを調べ始めたところ、ものの数分で先ほどの資料に辿り着くことが出来ました。
上のスクリーンショットは2023年4月30日時点の「居場所づくり colabo」というキーワードでGoogle検索した時の検索結果画面になります。
浅野氏が述べていたような『川崎市横浜市からの収入は居場所づくり事業の収益に反映されている』といった可能性以外にも、他の可能性が存在することは、このように少し調べれば分かることですし、たとえ一切調べないとしても、少しでも他に可能性がないかを考えさえすれば、『川崎市横浜市からの収入が反映されるのは居場所づくり事業のこの収益しかございません』のような断言が出来るはずありません。
繰り返しになりますが、この点からも浅野氏の情報を読み解く力に疑問を感じますし、確証バイアスにとらわれたロジックの組み立て方があまりに目につきます。
Colabo 調査報告第七弾
2022年12月25日に公開された「Colabo 調査報告第七弾」の動画は、横浜市議会議員である草間市議との対談の中で、これまで浅野氏が動画の中で語っていたことのおさらい的な説明をするものです。
特にこの動画の中でColaboに関する新しい話はありませんので、先に進ませて頂きます。
Colabo 調査報告第八弾
2022年12月27日に公開された「Colabo 調査報告第八弾」の動画は、浅野氏が東京都庁を訪ね、福祉保健局少子社会対策部の課長から得た証言について語ります。
浅野氏の思い違いが浮き彫りに
この動画の2つ前の「調査報告第六弾」では、浅野氏はColaboが児童相談所からの一時保護委託受け入れによって得られる収益を居場所づくり事業の収益として計上しているのだと勝手に決めつけ、その認識を前提にColaboは裏帳簿を付けている疑惑があると主張していました。
しかし、浅野氏が話をした福祉保健局少子社会対策部の課長によると、Colaboはそういった収益は居場所づくり事業ではなく基礎的支援事業の収益として計上しているので、数字に齟齬が生まれてもおかしくはないと回答されたとのことでした。
確かに浅野氏が話をした福祉保健局少子社会対策部の課長の回答は、既に本記事で掲載済みの上記スライドの説明とも一致しています。
浅野氏はてっきり、Colaboが児童相談所からの一時保護委託受け入れによって得られる収益を居場所づくり事業収益として計上していると思い込んでいましたが、そうではないといった回答を受けてしまった為、これを踏まえて急遽、新たに以下の3つの仮説を立てることになります。
1. 単なる都の職員の推測であった
2. Colabo側に都の職員が問い合わせて、そのように回答を受けていた
3. 都の職員がColaboの総勘定元帳を調べて把握していた
そして、浅野氏は担当部局と話をしたけど疑義が晴れた訳がなかったと述べ、特に自身の思い込みによる疑惑立てについて反省するような発言を一切することもなく、煮え切らない様子のまま、普通に考えたら居場所づくり事業に計上されるはずであると動画後半でも説明を続けたのでした。
Colabo 調査報告第九弾
2022年12月30日に公開された「Colabo 調査報告第九弾」の動画は、2022年12月28日に監査結果が通知された東京都若年被害女性等支援事業に関する住民監査請求の結果について、浅野氏が川崎市で監査委員を務めている立場から解説をするといった内容です。
当該住民監査請求の内容は、浅野氏が独自で追求している疑惑とは異なる内容になるため、この動画の内容に関しては深掘りせずに先に進ませて頂きますが、2022年12月28日に監査結果が通知された東京都若年被害女性等支援事業に関する住民監査請求の結果と、この動画が公開された約2ヶ月後の2023年2月28に結果が出た、前述の住民監査請求の勧告により実施された再調査の結果を以下に簡潔にまとめておきます。
東京都からColaboに当該委託事業の委託料として概算払いされ、精算済みでもあった金額は26,000千円であった
Colaboの当該委託事業の帳簿には29,057千円が委託事業で発生した費用として計上されていた
住民監査請求で問われていたような、違法性のある不正会計は認められなかった
ただし、その内の1,926,085円は、会計処理の事務的なミスや、人件費の按分が適切にされていない等の不適切な会計処理、証憑としては認められない領収書が一部あったなどにより、委託事業の経費として否認された
(2)の29,057千円から(4)の1,926千円を差し引いた27,131千円が、委託事業の実施に必要な経費の実績額であると判明した
再調査の結果、判明した委託事業の実施に必要な経費の実績額である27,131千円は、東京都からColaboに概算払いされ、精算済みでもあった金額は26,000千円よりも1,131千円上回っていることから、東京都に損害は一切発生していないため、Colaboが東京都に対して返還すべき委託料は0円となった
Colabo 調査報告第十弾
2023年1月4日に公開された「Colabo 調査報告第十弾」の動画の中では、厚労省の人物と浅野氏が話をして分かったことについて報告がありました。
以前、浅野氏は川崎市議会定例会での自身の一般質問に対するこども未来局長の答弁を踏まえ、Colaboが児童相談所から一時保護委託を受けた際に私人扱いの金額で川崎市から支払われたことは、東京都から受託している事業とは別の事業として、児童相談所からの一時保護委託受け入れを行なっているのであれば問題ないとの見解を述べていました。
仮に後者のケースであった場合、浅野氏が話を聴いた厚労省の人物によると、Colaboが東京都から受託した委託事業を実施するにあたり、その実施にかかった費用が、東京都から支払われた委託費の範囲を超えている場合は、児童相談所からの一時保護委託を受けた場合に支払われる金額が私人扱いの金額であっても問題はないが、そうでない場合は、二重計上の疑いがあると考えられるとのことでした。
また、いずれの場合にせよ、あくまで厚労省は各自治体に任せている立場なので、何が妥当かどうかの判断も含め、全て自治体の判断次第に委ねられているとのことでした。
前述の「Colaboが東京都から受託した委託事業を実施するにあたり、その実施にかかった費用が、東京都から支払われた委託料の範囲を超えている場合、児童相談所からの一時保護委託を受けた場合に支払われる金額が私人扱いの金額であっても問題はない」という件についてですが、これはまさしく、Colaboに該当しているケースであります。
先ほど1つ前の「Colabo 調査報告第九弾」の解説でも触れていましたが、2022年12月28日に監査結果が通知された東京都若年被害女性等支援事業に関する住民監査請求の結果と、この動画が公開された約2ヶ月後の2023年2月28に結果が出た、前述の住民監査請求の勧告により実施された再調査の結果により、Colaboは東京都から支払われた委託料の範囲では賄えなかった約1,131千円を自主財源から支払って、委託事業の実施を行なっていることが明らかになっています。
また、これまでに既に説明してきた通り、浅野氏はColaboが児童相談所から一時保護委託を受け入れた際に、その全てを東京都の委託事業として行っているものという前提で主張を展開しています。そして、これはこの次の「Colabo 調査報告第十一弾」の解説でも私が言及することになるのですが、浅野氏はColaboが委託事業としてではなく、自主事業として運営している中長期シェルター(シェアハウス)の方で、児童養護施設から一時保護委託がかけられた要保護児童を保護している可能性を除外して、主張を展開しているのです。
次の「Colabo 調査報告第十一弾」の解説で、詳しくこの件については説明するため、ここでは深掘りはしませんが、一言で言えば、浅野氏が厚労省の人物から聴いた「Colaboが東京都から受託した委託事業を実施するにあたり、その実施にかかった費用が、東京都から支払われた委託料の範囲を超えている場合、児童相談所からの一時保護委託を受けた場合に支払われる金額が私人扱いの金額であっても問題はない」というケースに該当する可能性が高い、もしくは、控えめに言っても、該当する可能性があるということです。
Colabo 調査報告第十一弾
2023年1月6日に公開された「Colabo 調査報告第十一弾」の動画では、浅野氏が新たに入手した神奈川県管轄下の児童相談所の情報をもとに、これまで浅野氏が主張していた疑惑が更に強まったと力説する内容となります。
もちろん、毎度のことなので言うまでもありませんが、今回もその根拠は稚拙なものです。
まず、浅野氏によると、令和3年度に神奈川県管轄下の児童相談所からColaboに対して行われた一時保護委託のうち、中長期の保護が行われていたのは、2名で計201泊だったそうです。
続いて、令和3年度に横浜市の児童相談所からColaboに対して行われた一時保護委託のうち、同じく中長期の保護が行われていたのは、2名で計70泊だったそうです。
そして、これらを合計すると4名で271泊になるということでした。
ここで、なぜ浅野氏が中長期の保護が行われた児童のケースのみを抽出したのかを説明しておきましょう。
浅野氏の動画での説明によると、中長期の規定は2週間以上、児童を保護したことを示すとのことです。
動画ではその浅野氏がいうところの規定の根拠が明かされていないので、これは私の推測になりますが、おそらく浅野氏は上記画像の「Colaboが東京都へ提出した実施状況報告書」に「長期(2週間を超える場合)」という文言があるのを見て、中長期とは2週間以上、児童が保護されたことを示すと言っているのではないかと思われます。というのも、今回の話が関連する範囲でいうと、Colabo側の活動報告書を見ても、児童福祉法を調べても、そのような規定は存在せず、この「2週間を超える保護」を条件として、ある規定を設けているのは東京都若年被害女性等支援事業の仕様書だけだからです。
本来であれば、「Colaboが東京都へ提出した実施状況報告書」で用いられている言葉を使うなら、動画の中でも「長期(保護)」と言うべきでしょうが、浅野氏が動画の中で「中長期(保護)」という言葉をあえて使っている理由は、この後、自身の主張と辻褄を合わせる為であることが分かります。
ちなみに、「2週間以上」という表現は14日目を含む一方で、「2週間を超える」という表現は14日目を含まず、「15日以上」を意味する表現である為、異なる意味になってしまいますが、ここでは浅野氏の誤った表現に合わせて説明を続させて頂きます。
次に浅野氏は「Colabo 調査報告第二弾」でも参照していた、ColaboのWebサイト上で公開されている令和3年度の活動報告書内にある「緊急時の保護・宿泊支援」についての活動報告ページで報告されている宿泊支援の内訳を再度、動画内で持ち出します。
一時シェルター: 6名、52泊
ホテル等での宿泊: 61名、232泊
中長期シェルター(一時保護利用): 7名、289泊
ここで浅野氏は「Colabo 調査報告第二弾」では考慮から除外していた、「中長期シェルター(一時保護利用)」の宿泊人数と宿泊件数に着目をします。
これは再び、私の推測になりますが、なぜここで浅野氏が「中長期シェルター(一時保護利用)」での宿泊支援数に着目をしたかと言うと、おそらく、前述の通り、Colaboが東京都へ提出した実施状況報告書の中で「長期(2週間を超える)」という文言があったからでしょう。
そして、動画内での説明では先立って、「長期(保護)」という言葉を用いる代わりに「中長期(保護)」という言葉を用いていたのも、Colaboの令和3年度の活動報告書上の言葉である「中長期シェルター(一時保護利用)」に表現を近づけ、あたかも、「中長期シェルター(一時保護利用)」には2週間を超える保護がなされた児童の件数のみが含まれているといった印象を視聴者に与え、これにより、こじつけを行ないやすくする為だったと考えられます。
浅野氏のこじつけによる疑惑づくり
ここまでの話を以下に簡潔にまとめます。
令和3年度に神奈川県管轄下の児童相談所と横浜市の児童相談所からColaboに対して行われた一時保護委託のうち、浅野氏がいうところの中長期の保護(2週間以上の保護)が行われていたのは4名で計271泊であった。
ColaboのWebサイト上で公開されている令和3年度の活動報告書によると、一時保護を目的に利用された中長期シェルターでの宿泊人数と宿泊数は7名で計289泊であった。
これら(1)と(2)の情報をもとに、浅野氏は次のような主張を展開します。
まず、(2)の「宿泊人数:7名」と「宿泊数:289泊」を、(1)の「宿泊人数:4名」と「宿泊数:271泊」でそれぞれ差し引くと、「宿泊人数:3名」と「宿泊数:18泊」となります。
既に説明した通り、東京都の若年被害女性等支援事業で用いられている長期保護は2週間を超える保護を意味しますが、浅野氏はこの定義をColaboの活動報告書で報告されている「中長期シェルター(一時保護利用)」の宿泊支援件数に無理やりこじつけで当てはめてしまっているため、先の引き算から導かれた「宿泊人数:3名」の合計宿泊数は「3名 x 14日 = 42泊」となり、最低でも42泊以上でなければ、おかしいということになります。
そうすると、「宿泊人数:3名」に対する「宿泊数:18泊」では、42泊に満たない為、浅野氏の中では、Colaboは報告件数や会計をごまかしているのではないかと、更に疑念が深まってしまうことになるのでした。
今回の動画での浅野氏の主張も結論ありきな酷いこじつけによるものでしたが、浅野氏はこの動画の中で『今回発覚した事実は地方自治体からの児童保護費を、簿外で処理をしているのではないかという疑念を更に裏付けるものとなりました。』と、こんな呆れた発言を自信満々でしていたのでした。
2つのツッコミどころ
1つ目のツッコミどころは、浅野氏が一時保護利用を目的としていない中長期シェルターでの宿泊人数と宿泊件数を、今回の浅野氏の筋書きを描く上で考慮していないということです。
浅野氏が参照していたColaboの活動報告書内の「緊急時の保護、宿泊支援」というページの次のページには「生活支援」というページがあり、このページでは一時保護利用目的ではなく本来の利用目的としての中長期シェルターの実績報告が掲載されています。
このページでは、中長期シェルター(シェアハウス)には、令和3年度に入居者数が10名いて、その合計宿泊数は2076泊であったと報告されています。
ここまでの説明では触れていませんでしたが、浅野氏はこの動画の中で神奈川県管轄下のある児童相談所からは、Colaboに184日間、一時保護委託をしていたケースが1つあったことを説明していました。
約半年にも及ぶ保護であれば、それは明らかに緊急時の一時的な保護の範疇から外れていますので、そのケースの宿泊数は、浅野氏が参照していたColabo活動報告書内の「緊急時の保護、宿泊支援」ページ上に掲載されている「中長期シェルター(一時保護利用)」の方ではなく、「生活支援」ページ上に掲載されている中長期シェルターの方に含まれていると考えるのが自然ではないでしょうか?
こういった当然、考慮すべき可能性を除外して、結論ありきで疑惑のストーリーを構築するのは、これまでの一連の動画を見ても、浅野氏の特徴といえるでしょう。
続いて、2つ目のツッコミどころは既に触れていることではありますが、Colaboの活動報告書で報告されている「中長期シェルター(一時保護利用)」での宿泊支援件数には、2週間を超える保護がなされた児童の件数のみが含まれていると浅野氏が決めつけていることです。
Colaboの活動報告書を最初から最後まで確認しても、「中長期シェルター(一時保護利用)」という言葉に、そのような意味合いを持たせているという説明はありません。
「中長期シェルター(一時保護利用)」という言葉を素直に読めば、「一時的な保護の為に中長期シェルターを利用したケース」を表現しているに過ぎず、それ以上でもそれ以下でもないものだと解釈するのが自然だと思われます。
この解釈を採用した場合、当然、Colaboの活動報告書で報告されている「中長期シェルター(一時保護利用)」での宿泊支援件数には、被保護者が1、2泊しただけのケースも当然含まれることになるでしょう。むしろ、2週間以下の宿泊支援数も考慮に入れた方が宿泊件数と宿泊人数が増えるので、浅野氏の今回の主張を行なう上では都合が良かったとは思いますが、それをしなかった理由は動画上で説明がない為、明確には分かりません。
児童相談所の住区を晒す浅野氏
ところで、浅野氏はこの「Colabo 調査報告第十一弾」の中で、本来であれば公開すべきではない児童相談所の住区を動画上で黒塗りなどで伏せることもなく晒してしまいます。
Colaboに一時保護委託を行なったことがある児童相談所が、どこの児童相談所であるかを伏せずに晒すことによって、どういった弊害が生まれる可能性があるのかについては、ここでは説明をあえて省きます。
ただの無頓着であるが故なのかは分かりませんが、当然なされるべき配慮を浅野氏が怠っていたということは問題です。
Colabo 調査報告第十二弾
2023年1月11日に公開された「Colabo 調査報告書第十二弾」では、浅野氏がColaboに対して送付予定とする公開質問状の内容が共有されました。
質問内容は以下の4点です。
令和3年度の、川崎市の児童相談所から2名、横浜市の児童相談所からの3名、神奈川県中央児童相談所からの1名、神奈川県大和綾瀬地域児童相談所からの1名、神奈川県厚木児童相談所からの1名の計8名につきまして、それぞれ、御社2021年度の活動報告書の宿泊支援のうち、どのように分類されたのか、ご回答ください。
上記8名の保護に関する保護委託費の支払いにつきまして、御法人においてどのように仕分けたのか、ご回答ください。また仕分けた先の勘定科目の内訳をお示しください。
令和3年度の活動報告書の宿泊支援のうち、東京都からの委託としての保護は何名、何拍分だったのか、ご回答ください。
令和3年度の活動報告書の中長期シェルターの一時保護利用、7名289泊のうち、自治体からの保護医委託費が支給されたものは、何名、何泊分だったのか、ご回答ください。
実際に浅野氏はこの公開質問状をColaboに対して送付したことを、翌日公開した「調査報告第十三弾」の冒頭で報告をしています。
Colabo 調査報告第十三弾
2023年1月12日に公開された「Colabo 調査報告第十三弾」の内容は、浅野氏が非営利セクターに関する政策提言をするといったものです。
浅野氏の政策提言の内容は、本記事の趣旨には関係ないので、その内容について言及することはありませんが、ここでは「調査報告第十三弾」の動画の中で、浅野氏がColaboに関して、事実と異なる発言をしていたことを取り上げておきたいと思います。
その発言は以下の通りです。
浅野氏は上記発言の中でColaboの名前こそ出していないものの、『東京都若年被害女性等支援事業において、不正な会計が発見され(た)』と述べています。
この動画の公開日時の時点で、東京都若年被害女性等支援事業に関して、住民監査請求対象となったのは、Colaboが同委託事業の受託者であるものであり、同委託事業を受託した他3団体は住民監査請求の実施はされていませんでした。
つまり、浅野氏がColaboのことを指して『不正な会計が発見され(た)』と発言していたのは明白です。
しかしながら、当該住民監査請求の結果では、「不正な会計があった」などとする結果は出ていません。
つまり、浅野氏は事実と異なる虚偽の発言をしたということです。
また、住民監査請求の対象となる事項は、違法若しくは不当な財務会計上の行為又は怠る事実に限られ、 違法とは法令の規定に違反することをいい、不当とは違法ではないものの行政上実質的に妥当性を欠くこと、または適当でないことをいいますが、会計監査の文脈では「不正な会計」とはすなわち、違法性がある会計を指す為、浅野氏はColaboが違法な会計を行なっていたという趣旨の発言をしていたことになります。
そこら辺の一般人が「不正な会計」を「事務的なミスがあった会計」という意味合いで発言するまだしも、川崎市で監査委員を務めているとされる浅野氏が「不正な会計」と発言するからには、言い逃れは出来ません。
そして、浅野氏は虚偽の発言をした上で、Colaboが一般社団、NPO法人等の非営利のセクターに大きな迷惑を与えていると発言したのです。
これは一政治家として、あまりに無責任で不誠実な害のある発言ではないでしょうか。
Colabo 調査報告第十四弾
2023年1月17日に公開された「Colabo 調査報告第十四弾」の動画では、2023年1月11日に浅野氏がColabo宛に送付した公開質問状に対して、Colabo側弁護団から郵送で返信があったことを報告するものです。
動画の中で浅野氏が弁護団からの返答を公開していたので、以下に掲載致します。
浅野氏はこの返答を受けて再度、公開質問状を弁護団宛に郵送することになります。
Colabo弁護団をセブンナイツと揶揄する浅野市議
ところで、この動画のタイトルを確認してみると「Colabo 調査報告第14弾!セブンナイツからのラブレター?」とあります。
「セブンナイツ」とは、Colabo側から名誉毀損で提訴されている暇空茜氏が、Colaboの弁護団につけた呼称です。(※ Twitter上での初出は2022年11月25日)
これにならって、暇空茜氏を支持する者達やColaboアンチの人たちはこぞって、Colabo弁護団をセブンナイツと揶揄するかたちで言及しているのが、Twitter上では散見されます。
元々、「Colabo 調査報告第一弾」の動画では、浅野氏は暇空茜氏を擁護する立場でもなく、Colaboを擁護する立場でもない中立の立場を表明していましたが、いつの間にやら、Colabo弁護団をセブンナイツと揶揄するまでになっていたようです。
Colabo 調査報告第十五弾
2023年1月28日に公開された「Colabo 調査報告第十五弾」の動画では、Colaboが2023年1月22日付で出した「Colaboによる若年女性の居場所事業への、深刻な憎悪犯罪(ヘイトクライム)に対する抗議声明」という弁護団声明に対して、浅野氏が求められてもいないアドバイスをするという内容のものです。
その内容は浅野氏が追求する疑惑に関したものではないので、特にここで取り上げることはせず、先に進みます。
Colabo 調査報告第十六弾
2023年2月2日に公開された「Colabo 調査報告第十六弾」の動画は、2023年2月1日にColabo弁護団が出した『「公金の二重受給」という事実誤認について』という声明に対するリアクション動画となります。
この動画の内容を端的にまとめると、Colabo弁護団が出した声明は、浅野氏がColaboに送付した公開質問状の回答になっていないと、ただただ不満を漏らすといったものです。
司法の場での解決を望む浅野氏
Colabo弁護団が出した『「公金の二重受給」という事実誤認について』という声明には以下の警告文も含まれておりました。
これに対して浅野氏は司法の場での解決をいっそのこと望むかのようなリアクションを返していました。
実際、2023年4月24日にはColaboから名誉を毀損されたとして、浅野氏は提訴されることになりましたが、これは浅野氏にとって本望だったのではないでしょうか。
追記(2023年5月15日)
本記事を公開したのは2023年5月4日ですが、浅野氏の公開質問状に関する問題点を以下の記事で取り上げました。
Colabo 調査報告第十七弾
2023年2月4日に公開された「Colabo 調査報告第十七弾」の動画は、約2時間30分にも及ぶYoutubeライブ配信のアーカイブです。
この動画では浅野氏が視聴者からの様々な質問に回答していくといった内容ですが、浅野氏が稚拙な根拠をもとに追求していたColaboの公金二重受給疑惑については、これまでの動画でネタが出し尽くしてるようで、特に新たにここでライブ配信の内容から取り上げたいと思うものはありませんでした。
これ以降、浅野氏は追求する疑惑を「公金二重受給」ではなく、「生活保護不正受給」に変えて、新たに動画配信をしていくことになります。本記事では浅野氏が新たに追求していく「生活保護不正受給」については触れませんが、そちらの件についても今後、言及する記事を作成する予定です。
Colaboを政治利用する浅野氏
浅野氏は2023年川崎市議会議員選挙に立候補しました。(※ 結果は当選)
しかし、驚くべきことになんと、浅野氏は自身が追求するColabo疑惑を選挙戦略として全面に打ち出して行ったのです。
ここで一つ、「Colabo 調査報告第五弾」のところで私が触れていたことを思い出して欲しいのですが、浅野氏は自身が追求している疑惑は、川崎市の問題ではなく、あくまで東京との問題であるという認識を示した発言をしておりました。
それなのになぜ、浅野氏が東京都の問題を川崎市の税金を使ってまで、どうにかしようとする必要があったのでしょうか。
浅野氏の行動は川崎市民にとって公益性があるものとは到底思えませんし、単に浅野氏は、ネットで注目を浴びているColaboを政治利用したかっただけではないでしょうか。
選挙カーで「Colabo 疑惑追求中!」とアピールする浅野氏
Colaboの疑惑追求を打ち出すチラシを選挙区にばら撒く浅野氏
このように浅野氏は選挙カーで自身が主張するColaboの疑惑をアピールし、街頭演説や選挙区の住居にポスティングするチラシなどによって、まるで、Colaboが不正行為をしているかのような印象を川崎市民に抱かせる行為を、行なったのでした。
しかも、Colabo弁護団から既に出ていた警告を無視して、そのような名誉毀損に当たるであろう行為を続けていたのです。一般的に、こうした警告が出された後の名誉毀損行為は、故意によるものであることが明白であり、悪質な行為として認められやすいものです。
浅野氏に対する毎日新聞の記事に憤慨する浅野氏
投票日の直前に浅野氏の言動を問題視する記事が神奈川県新聞に掲載されることになりました。これに憤慨した浅野氏は、『私は当事者でありますので記事の全文を表示しても問題ないと思います。』とツイートの中で述べ、その紙面が映った写真をツイッターに投稿したのです。浅野氏は自分のことについて書かれていることが、著作権侵害の違法性阻却事由として認められるとでも思っているのでしょうか。浅野氏のコンプライアンス意識がどの程度のものなのかは甚だ疑問です。
また、浅野氏は当該ツイートの中で「一方的な誹謗中傷が神奈川新聞に掲載されました。」と述べていますが、神奈川県新聞は浅野氏の過去のツイートを読む限り、最低でも2回、浅野氏に直接取材をしていることが分かります。
「一方的」というのは、浅野氏のように、Colaboに事前取材をすることもなく、他所から集めた断片的な情報と稚拙な根拠をもとに立てられた疑惑を、十数回の動画に渡って配信することを言うのだと思います。散々、好き勝手に一方的な主張を繰り返した後に公開質問状をColaboに送付したからといって、「一方的ではない」などといった主張を仮に浅野氏がしたとしても、そんな言い訳は通用するわけがありません。
実際、神奈川県新聞の当該記事でも、上記の引用文の通り、浅野氏が一方的な発言を繰り返していることが指摘されています。
また、当該記事には上記のような記述もありました。本記事でも指摘してきたことからも分かる通り、とてもではないですが、浅野氏が丁寧に根拠を積み上げ、冷静な言動を心がけているとは思えません。
私からすれば、既に本記事の序盤でも触れていたように、浅野氏の一連の言動を見ていると、まるで何かしらの事件があった時に、匿名のネット特定班や再生回数狙いで時事ネタに飛びつく底辺Youtuberが各々拾い集めた情報を、掲示板やSNSなどにばら撒きながら共有し、「こいつは怪しい」、「こいつも怪しい」と好き勝手に色んな人に疑いをかけながら犯人捜しをしている過程で、実際は加害者でもない人を加害者であると誤判定して、ネットリンチという名の私刑を扇動し、冤罪被害を生んでしまうといった悲惨な事件を連想してしまいます。
議員という立場であるならば、むしろ、不確かな根拠をもとに他者の名誉を毀損するような発信をする者であったり、真偽不明の情報を拡散する者を咎める立場であって欲しいものです。
新利権構造は女性支援団体を叩く側にある
浅野氏は今後、新利権構造なるものと戦うために国政を目指すことの宣言をしました。
浅野氏によると、この「新利権構造」とは以下のような意味とのことです。
浅野氏のこういった発言をみて、若年被害女性等支援事業を舞台として利益を得ているのは、むしろ、Colaboなどの女性支援団体を叩いている側の者たちだと思うのは私だけではないと思います。
Colaboをはじめとする、東京都の若年被害女性等支援事業を受託した4団体を叩くことで、様々なかたちでの利益を得ているものは複数おりますが、浅野氏に関して言えば、まず、Colaboを叩くことによって、ソーシャルメディアでのフォロワー獲得という利益を享受しています。
この記事を執筆している2023年4月30日時点において、浅野氏のツイッターのフォロワー数は21,100人を超えています。浅野氏がツイッターアカウントを開設したのは2022年12月であり、その開設のタイミングは浅野氏がYoutubeで「Colabo 調査報告」シリーズを投稿した後になります。つまり、全くフォロワー数0の段階から21,100人を超えるフォロワー数を短期間で獲得したのです。
また、その「Colabo 調査報告」シリーズを浅野氏が投稿しているYoutubeチャンネルも、Colaboを取り上げる以前に投稿していた動画の再生数は多くても2000再生に満たない程度の再生回数です。それが、「Colabo 調査報告」シリーズの投稿を初めて以降は、数万再生の動画を連発しています。
浅野氏がゲスト出演したラジオ番組での浅野氏本人の発言によれば、2017年6月29日に開設した浅野氏のチャンネル登録者数は元々200人にも満たなかった程度なのにも関わらず、Colaboのことを取り上げるようになってからは一気に1.8万人にも増えたそうです。
そして、浅野氏はこのYoutubeチャンネルにおいて、動画では広告収益を得ており、また、Youtubeライブ配信では視聴者からのスパチャ(投げ銭)による収益も得ているのです。
更には本記事でも触れた通り、浅野氏は2023年川崎市議会議員選挙に立候補し、その際の選挙戦略として自身が追求するColabo疑惑を全面に打ち出し、当選を果たしました。
それだけではなく、今後は浅野氏がいうところの若年被害女性等支援事業などを舞台とした「新利権構造」と戦う為に、国政を目指すとして、献金を自身のツイッターアカウントやYoutubeチャンネル、また、noteでのブログ記事で募るといったこともしています。
これまで、この記事で説明してきた通り、浅野氏が追求しているColaboの疑惑というのは、断片的な情報の切り貼りによる、稚拙な根拠にもとづいた一方的なものでしかありません。そうした程度の低い行ないによって、自身の支持者を獲得し、利益を得ているのが浅野氏です。
浅野氏こそが、ある種の「新利権構造」から利益を享受している張本人と言えるのではないでしょうか。
遂に訴訟問題に発展へ
この記事の冒頭でも触れていた通り、2023年4月24日に浅野氏はColaboから一連の浅野氏の発信により名誉を傷つけられたとして、330万円の損害賠償を求める訴訟を提起されています。
この記事で説明してきた経緯や浅野氏が発信してきた内容の問題点をふまえれば、浅野氏は提訴されるべくして提訴されたと言えるでしょう。
しかし、浅野氏は記者からの質問に対して、上記のような回答をしていたようです。ここで浅野氏のコメントの正当性について、私の見解を述べてみたいと思います。
『コラボ側に公開質問状も送ったが回答がなかった』
『川崎市の自治体に関するお金なので名誉毀損だとは考えていない』
公開質問状に回答がなかったことは問題か?
結論からいうと、Colaboから公開質問状の回答がなかったことが、今回、浅野氏がColaboに提訴された件に影響してくるかというと、ほとんど影響しない、もしくは、全く影響しないと考えられます。
まず、そもそもなのですが、浅野氏がColaboに公開質問状を送付することを発表したのは「Colabo 調査報告第十二弾」の時点です。それまでに浅野氏はColaboが意図的に不正を働いているという印象を与える発言を散々、動画上や一部ツイッター上でも繰り返していました。この1点だけを考えても、『コラボ側に公開質問状も送ったが回答がなかった』という浅野氏の発言はナンセンスです。浅野氏がColaboに公開質問状を送付した以前の段階で、既にColaboにとって浅野氏は加害者であり、その公開質問状も加害者から送られてきたものだと捉えられていると考えられます。
次に、Colaboは浅野氏から送付された質問状に記載されていた4つの質問に対して、直接的な回答はしなかったものの、2023年2月1日付で『「公金の二重受給」という事実誤認について』という弁護団声明を出して、浅野氏がいうような二重受給は事実誤認であるとして明確に否定し、これによりColaboはひとまずの自主的な名誉回復措置をとっています。
最後に、浅野氏は前述の弁護団声明に対するリアクション動画でもある「Colabo 調査報告第十六弾」において、『これ、お互いに声明や動画等でやりとりしてるよりも、司法の場で明らかにした方がはっきりするのかもしれませんね。』と発言しており、Colaboに公開質問状に回答してもらうよりも、司法の場で明らかにすることを望むといった態度を示しています。(※ 実際に浅野氏のお望みの通り、Colaboに提訴されました)
これらの理由により、Colaboから公開質問状の回答がなかったことをもって、浅野氏が今回、Colaboに提訴された件の責任が免責、または減責されるということは、まず有り得ないと考えられます。
川崎市の自治体に関するお金なので名誉毀損ではない?
浅野氏は記者の取材に対して『川崎市の自治体に関するお金なので名誉毀損だとは考えていない』とコメントをしていたようですが、まず、浅野氏のYoutube動画やTwitter上でのツイートであった「裏帳簿」、「簿外会計」、「裏金」、「不正会計」、「特別背任罪」、「脱税」、「横領」などの言葉は、違法行為を表すものであり、これらが他者の名誉を傷つけるものであることは言うまでもありません。これは後述しますが、疑惑としての発言であっても同様です。
また、名誉毀損の違法性阻却事由は以下の3点であり、浅野氏が指摘してきた内容に公共性、公益性が認められたとしても、その内容に真実性、または真実相当性が認められなければ、違法性を否定することは出来ません。
公共の利害に関する事実に係ること(公共性)
専ら公益を図る目的に出たこと(公益性)
摘示された事実が真実であると証明されること(真実性)
名誉毀損訴訟の場合、これらの違法性阻却事由を証明する責任があるのは、立証責任の転換が適用されるため、原告側ではなく被告側、つまり、今回の場合でいうと浅野氏になります。
公共性、公益性の部分について、浅野氏は記者へのコメントにあったように、おそらく「川崎市の自治体に関するお金のことである」として、主張するつもりなのでしょう。
これに対して、Colabo側弁護団からは浅野氏は突っ込まれることが予想されますが、おそらく、公共性、公益性に関しては認められやすいということもあり、なんだかんだで認められるのではないかと思います。
真実性に関しては、Colabo側も浅野氏の「裏帳簿」発言などが真実ではないからこそ、提訴をしているのでしょうし、そもそも、浅野氏も疑惑として発信しているので、その時点で真実である確証を持っていないことを自ら証明しているようなものなので、真実性は争点にはならないでしょう。
真実性を浅野氏が証明できなかったとしても、真実相当性、つまり、真実であると信じるべき正当な理由や根拠を証明出来れば、違法性を否定出来ることに浅野氏はなるのですが、真実相当性の判断は過去の判例をみても、かなりシビアに行われるものです。
【参考】裁判例における真実相当性に関する判断の概要 - 消費者庁
本記事でも再三指摘をしてきたように、浅野氏は不確かな根拠をもとに疑惑を立てて流布していたり、Aという可能性以外にも普通に考えればBという可能性、Cという可能性があるにも関わらず、それら他の可能性を考慮せずに、Aという可能性だけを取り上げて疑惑を流布していたりと、これらを鑑みれば、真実相当性が認められることはまず有り得ないでしょう。
また、浅野氏は疑惑として発信しているのであって、断定的な表現を用いて発信をしていないから、名誉毀損にならないと思われる方がいるようです。
それについて触れておくと、疑惑としての発信であっても、その発信によって誰かの名誉を毀損しているのであれば、名誉毀損は成立することがあります。
もし仮に、疑惑としての発言であれば、名誉毀損が認められないということならば、誰でも好き勝手に特定の個人や団体に関する誹謗中傷を、疑問調や疑惑として発言すれば、罪に問われないということになってしまうので、これは当たり前といったら当たり前のことです。
浅野氏が今後、刑事責任を問われることはあるのか?
現在、浅野氏はColaboから浅野氏がColaboの名誉を毀損したとして民事訴訟を起こされてはいますが、今のところ、Colabo側が浅野氏に刑事処分を求めるといった意向を示しているのは確認出来ません。
名誉毀損は刑法と民法の両方から法的責任が問われる違法行為ですので、Colabo側が民事訴訟と並行して刑事告訴に向けて動く、または既に動いている可能性もありますし、もしくは民訴訴訟で勝訴した後に刑事告訴をする可能性は考えられます。
ちなみに名誉毀損のような親告罪の告訴期間は、原則として犯人を知った日から6か月以内とされていますが、過去の判例から、ネット上で名誉毀損された場合などでは、他者の名誉を毀損したとされる投稿が削除されてから6ヶ月以内であるとされているので、その投稿が削除されるまでは告訴期間は延長され続けるということになります。
追記(2023年5月15日)
本記事を最初に公開したのは2023年5月4日ですが、その後、浅野氏が「文化人放送局」というYoutubeチャンネルに出演し、浅野氏がColaboに提訴された経緯について、事実を捻じ曲げたかたちで説明をしておりましたので、以下の記事で詳細をまとめました。
判決が出るまでColaboの毀損された名誉は回復しない
一般的に民事訴訟が始まってから判決が出るまでにかかる期間は1年〜1年半程度のものが多いと言われています。
Colaboが浅野氏に対して、一連の動画によって名誉を傷つけられたとして、民事訴訟を提起した訳ですから、私個人としては、浅野氏が流布した疑惑がデマであると信じています。
しかしながら、判決が出るまでの間、客観的に真実が何であるかは私を含む、第三者の立場の者にとっては分かりません。
ただ、判決が出る前であっても、1つ確実に言えることは、この記事で再三述べてきた通り、浅野氏の主張の根拠は稚拙なものであり、浅野氏の言動も政治家に求められる慎重さを欠くものであるということです。
本記事を通して、今回、浅野氏がColaboに提訴された件で、浅野氏がどういった主張を動画で展開していたのか、また、その主張の根拠はどのようなもので、その主張している疑惑の信憑性がいかほどであるかについて、よくご理解頂けたならば幸いです。
最後にお願い
もし良かったら、この記事をSNSなどで是非、シェアしたり、反論時にリンクを貼るなどして利用なさって下さい。
Colaboを活動資金の寄付、訴訟費用の寄付、物品寄付によって、一緒に応援しましょう。→ 「ご支援のお願い - 一般社団法人Colabo」
もし、今回の3万字を超える記事が気に入ったら、私が記事を投稿しているこちらのnoteというプラットフォームでは、記事の執筆者に投げ銭が可能なようなので、少額でもサポート頂けると大変嬉しいです。→ 「ヘルプ:記事をサポートする」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?