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進化する営業コール分析【深夜22時の創造しい会|7月21日(金)】

企画参謀
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進化する営業コール分析
DXで顧客の声逃さず
神田昌典氏

日経MJ
2023/7/17

マシュー・ディクソン著の「JOLT effect」によれば、ZoomやTeamsで対応した250万件の営業コールをテキスト化して機械学習で分析したところ、驚くべき発見があった。

「今まで通用したセールス手法が効果を発揮しない」という事実だ。

たとえば、お客様に「現状維持をしていると今より状況が悪化する」と言うのは営業トークの定番だ。

ただ、現状維持バイアスを取り除いても、56%は成約しないという結果が出た。コロナ禍でストレスが蓄積し「今はこれ以上の変化はしたくない」と考える人が増えているというわけだ。

営業コールの分析は、顧客との関係性を「見える化」する新しい試みである。

人工知能(AI)の進化とデジタルトランスフォーメーション(DX)により、ちょっとした言葉のニュアンスを分析すると、顧客の状況を把握し個別対応できるようになったのである。

ちょっとした言葉のニュアンスからニーズや背景をつかむ上で、顧客の声の重要性は長らく認識されてきた。

CoCo壱番屋創業者の宗次徳二氏は「毎月3万通のアンケートはがき全てに目を通す。厳しい指摘はラブレター」と語っている。

スーパーホテル創業者である山本梁介氏も「予約が前年割れしたら、まずアンケートの顧客満足をチェックする。そして対応・改善を指示すると、ほとんどの場合、翌月には予約数が回復する」と述べている。

顧客の行動をデータ化するようになってから、一部の企業はデータだけを頼るようになり、生きた顧客の声との接触は失われた。しかし、今では生成AIの導入により、データさえあれば一瞬で顧客のペルソナを作り出せる。

社員全体が顧客をイメージしながら、同じように対応できるようになる。

投資家のウォーレン・バフェット氏は
「大成功するビジネスのほとんどは、ビジネス自体は誰にでも始められるものだが、顧客を大いに喜ばせている。経営者1人で顧客を喜ばせ続けることは難しい。必要なのは、顧客満足を経営者自身だけでなく、社員を通じて実現させることだ」

マーケティング革命がますます進展し、多くの企業が顧客との関係性を「見える化」し、大切な友人として対応する企業文化ができることを期待している。

<ポイント>
無駄を落としたキレイな集計データも大事だが、顧客の生の声を拾い、そこから感じ取れる思いを全社で共有し、サービスや商品に反映させて行くことが大事である。

中小企業とはいえ、経営者だけの感性や能力に頼る時代ではなく、多様な感性、スピード感、細分化された専門知識など、従業員の能力を掘り起こし、活用していかないと生き残れない時代に変化している。

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