マシュマロ課題 チャレンジ課題7
今日は一旦長めに書いたものを短く切り取りました。最後まで綺麗にあらすじを作れない。適当に考えて書き始めるとだんだん逸れてしまうのはどういうことだろう。
お題:絶望的な言い訳
必須要素:10円玉
「これ、どういうこと?」
小洒落たフレンチレストランに似つかわしくない、厳しい声が響く。
眉を吊り上げた女性がテーブルの上に突き出したのは、一冊の通帳。残高の印字は、『10』の二文字。
女性の前には頭を下げて小さくなる男性が一人。
スーツ姿ではあったが、どこか不恰好に見えた。
「あんた、結婚資金使い込んだでしょ?」
「違うんだ!使い込んだりしてない!」
「じゃあ、なんで10円しか残ってないのよ!100万はあったはずでしょう?」
「ええと、その、それは使ったのではなくて最初からなかったというか……」
「なかった?じゃあ3か月前のこの数字は何なの?」
通帳の上の行には、確かに100万以上の金額が印字されている。
「その……それは、先輩に借りた金で……」
はあ?と彼女は更に眉を吊り上げた。
「返せって言われて返しただけで、使い込んだ訳では……」
「じゃあ何、最初から騙してたの?私が立て替えて払った分はどうしてくれるの」
女はわなわなと肩を震わせる。
「それは……!ちゃんと返すよ。とりあえず、今ある分だけでも」
男はおずおずと10円玉を差し出した。
店内に本日最大の罵声が響き渡った。