マシュマロ課題 チャレンジ課題1
こちらにあったやつを試しにやってみました。
あの、『ワイルドな唇』のお題……なんなんだ、ワイルドな唇って。
困ってしまってちょっと反則的な使い方をしてしまったけど。20分で書いてみました。
同級生の山田が失踪した。
同じゼミの同級生西川と一緒に山田のアパートを訪ねてみたところ、鍵は開いたままだった。
ポストはチラシでいっぱい、部屋の中には食事をした形跡もなし。そこそこ片付いていて生活感がない。しかし家具はそのままある。
部屋の真ん中にあるちゃぶ台の上に、DVDが置いてある。ケースに書かれたタイトルは『ワイルドな唇』。何かの映画だろうか。
「何の映画だろう。聞いたことのないタイトルだな」
「映画か?AVかもしれないぞ」
「……こんなこと言うのも何だが、山田ってAVとか見なさそうだよな」
「あー、分かる。別に聖人君子ってわけでもないだろうけど、なんかちょっと悟った感じあるよな」
「そう、俗世と距離置いてるっていうか、なんか一段高いところにいる感じ」
清潔感があって、男女どちらからも適度に好かれている。そんな山田が急にいなくなったので、皆困惑していた。
西川が少し考えて言う。
「でも、そんな感じの山田だから、俺たちには想いもよらないようなことで悩んでたかもしれないよな」
「う〜ん、そうなんだろうか。もしそうなら一言相談してくれても良かったのになって思うよ。俺たちが力になれるか分からないけどさ」
二人して考え込んでしまった。
「……ところで、このDVD、再生してみないか?」
「ええ?勝手に見て良いんだろうか、なんか山田に悪い気がする」
「いや、そう言うところだよ!俺たちは山田との間でどこか距離を置いていたんだ。だから山田は俺たちに悩みを打ち明けられなかったんじゃないか。だから、山田本人がいなくなった以上、俺たちはこれを見るべきなんだ」
西川が力説する。妙な説得力を感じてしまい、結局再生することにした。
DVDをプレーヤーに挿入し、リモコンの再生ボタンを押す。
しばらく灰色の画面で止まっていたが、そこにもやもやと何かが現れ始めた。
「……ん?唇?」
そう思った瞬間、テレビ画面から巨大な口が飛び出し、二人を飲み込んだ。