Nena - 99 Luftballons / ロックバルーンは99 - 1983
ドイツのバンドです。この曲だけの一発屋さんって感じかな。アメリカとイギリス勢が優勢な世界チャートにおいて、英語圏以外の国のバンド、しかも、ドイツ語の曲がヒットしたのは久々の快挙でした。
それ以前には、フランス語圏のシンガーがフランス語で、ヒット曲を飛ばすことも間々ありましたけどね。
ショッキングブルーはオランダのバンドだったけど、英語で歌ってたし、アバもスウェーデンのグループだったけど、やはり基本英語で、ハードロックバンドのヨーロッパもノルウェー出身だけど英語。
母国語で世界に躍り出るのは、なかなか難しくなってた時期だから(オーストラリアとかカナダとかは英語圏だしね)。
さてさて…バンド名のネーナとは、ドイツ語ではなくて、スペイン語で「小さな子(または愛しい人)」という意味合いのニーニャが語源で、由来はヴォーカルのガブリエレ・ズザンネ・ケルナーのあだ名から。
彼女は17歳で高校を中退した後、手に職をつけるために金細工の技術を習っていたそうだけど、1977年にディスコでギタリストのキッツマンと知り合って、彼のバンドThe Stripesに参加して、ヴォーカル担当になったことが音楽を始めるきっかけだったそう。
けど、バンドは売れず飛ばずで1981年に解散。
そのバンドのドラマーだった、ブレンデルと結婚していたカブリエレは、翌年の1982年に他の仲間と共にネーナを結成。最初のシングルが好評で知名度もあがり…
「Nur geträumt」1982
ニューバージョンってことなので、新録音で新しいMVみたい。バンド解散してから、ソロとしての名義でリバイバルしたのかな。
で、続く二枚目の「ロックバルーンは99」が本国ドイツのみならず、アメリカはカリフォルニアのDJに気に入られ、西海岸のラジオ局で流されることとなり、大ヒット。全米二位のチャート入りをしたことにより、世界中でも大ヒット。
「99 Luftballons / ロックバルーンは99」1983
一時期飽きるほど、そこいらで流れてて、いささか食傷気味になったことがありましたなあっっ汗
そして、この曲はヨーロッパでは反戦歌として知られています。何故って、この曲がヒットした83年は、まだベルリンの壁があったんですよ。今の人、平成生まれにはピンと来ないと思いますが。東西の冷戦下において、ドイツはベルリンの壁を境界線にして、東と西に分離していたのですね。
平たく言うと、今の北朝鮮と韓国みたいな感じですかね。
ある日突然に壁が創られてしまい、行き来が出来なくなってしまったので、親兄弟親戚とか、恋人同士とかまで、引き裂かれてしまった人たちがいたのですよ。
けれど、風船は壁を越えて、国境など関係なしに、風に乗ってどこまでも飛んでいける…そういう意味で、風船は自由の象徴であり、再会の叶わない、連絡の取れない懐かしい人たちへと、飛ばす想いの象徴でもあり。
だけれども同時に、もしもたくさんの風船が風に乗って東に行ってしまったならば…同じ民族で、国と言っても分離してしまった東と西では認識とか常識(国の方針や教育)が違うから、風船を爆弾だと勘違いされて、攻撃されたと思われてしまうかも…
そんな歌なのです。歌詞には、そんな風に具体的には書かれてないですけどね。
出だしの訳詞としては…
…ってなわけでの、反戦歌なんですよ。この歌は…
そういえば、
1984年に来日しているんですが、持ち歌が少なかったので、なんと四回もこの歌を演奏しているんですよねっっ
で、ネーナなんですが、この後これといったヒット曲に恵まれず、あっという間に人気低迷しちゃいました。1985年以降は活動休止になって、87年には解散という流れ。
そして、ガブリエレ自身は結婚出産を繰り返しつつ、89年からソロ活動を開始。シンガーとしてだけでなく、声優や女優 司会業などしていたそうです。
2002年に、かつてのネーナの仲間(キーボード)と組んで、再び「ロックバルーンは99」を新バージョンで発売して人気復活。
「Liebe ist 」2005
ドイツの人気ドラマ「Verliebt in Berlin」の主題歌で、22年ぶりのヒット曲となったそう。
2007年には、ハンブルグ郊外に学校を創ったりもしているそう。YouTubeにofficialがあるってことで、今も活動されてるみたいですね。
ネーナはそんな感じで復活はしているものの、当時としては一発屋だったわけですが、そのたった一曲だけで何年もインパクトを残す。そんなバンドの一つでもあったなあ…と思ったり。
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「My Favorites〜音楽のある風景」
2021/05/12 掲載記事より転載
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