Kate Bush - Wuthering Heights / 嵐が丘 - 1977
キャサリン・ブロンテの「嵐が丘」は好きな小説の一つで、姉シャーロット・ブロンテの「ジェーン・エア」も嫌いじゃないけど、やっぱヒースクリフとキャシーの破滅的な物語には心奪われる。
なんて言うのかなあ…あの小説の空気感がたまらなく好き。決して御伽話的な恋愛ストーリーではないけど、むしろ東海テレビの創る作品みたいな、救いのないハチャメチャ昼ドラ的なんだけどねっっ
なんざんしょ・・・
でも、イギリス人にとっては、やはり特別な小説で、国民に愛されている物語(可愛らしい意味ではなくて)であるらしい…
J・R・トールキンの「指輪物語」やコナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」と同じくらい。イギリスとイギリス人気質を語る上では欠かせない、そのくらいイギリスという土地の風土を如実に表している作品のよう。
中国という国の、忌まわしい暗部や家族制度の闇や問題を見事に描き出して掘り起こす、チェン・カイコーやチェン・イーモウ監督の作品のように…たぶん的確に、小説の中にそれらは織り込まれているのだろう。
そして、その「嵐が丘」を歌にしたものがこれです。
「嵐が丘」1977
美人さんなんですけど、パントマイムをするときの表情がユニークというか、何というか~です。
曲も独特ですよね。彼女にしか作れない、他には類を見ない楽曲。歌声は、誰かが矢野顕子さんに似ていると言ってましたが確かにっっ
そして、曲全体が物語を歌詞にしているわけですけども。サビの部分は小説の冒頭部分でも語られる、キャシーの霊が窓を叩いて…
「ヒースクリフ 私よ キャシーよ
開けて ここはとても寒いわ」
キャシーを知らない旅人(宿泊した部屋に出没)のところには姿を表し、彼らにはキャシーが見えるのに、ヒースクリフはキャシーの亡霊を見れず、会えないって…あのシーンでございまする。
小説の語り部は、キャシーとヒースクリフの歴史。双方の家の確執のこととかをまったく知らない家政婦さんでござんしたね。
ちなみにこの歌は日本のバラエティートーク番組、「恋のから騒ぎ」で使われていたので、そちらで耳にしてご存知の方も多いかと。※ちな「恋のから騒ぎ」というタイトルは、シェークスピア作品から
「嵐が丘」という作品は何度も映画化されているし、舞台化はもちろん、本国でもドラマ化が何度もされています。私も映画とテレビドラマを何本か見ました。
一番最初のは、シェークスピア俳優であるローレンス・オリビエが出ていた、これかな~
1939年版 映画
どれがよかったかと言えば、NHKで放映した英国制作の単発のドラマが一番好きだったように思う。
ちなみに日本でも、舞台を日本の鎌倉時代に置き換えて制作されてます。
1988年版
ヒースクリフ役は松田優作さん、キャシー役は田中裕子さん。これもよかったです。
嵐が丘の舞台となったハワース。
さて、ケイト・ブッシュの他の作品。
「Babooshka」1980
バブーシュカとは、ロシア語で「おばあさん」という意味だそうです。
「Moving / 嘆きの天使」1978
これは確か、セイコーの腕時計のCMに使われたんじゃなかったかなあ。
「Cloudbusting」1985
「The Sensual World」1989
ケイトはもっと評価されてもよかったように思うんだけど。不遇な時代が長かったというか、いやさ…いちおう評価はされているっちゃそうなんですが…
「Love and Anger」1989
「Running Up That Hill」1985
やっぱりシンガーというよりは、アーティストなんだと思うから、自分らしい世界観でじっくりゆっくり作品を作るタイプなんだろう。
「Sat in Your Lap」1982
もう年齢が年齢なので昔みたいな表現方法、身体をはったダンスやアクロバティックなマイムは難しいんだろうけど、自分のペースで彼女らしい歌の世界を作り続けて欲しいなって思います。
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「My Favorites〜音楽のある風景」
2020/11/17 掲載記事より転載