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トイレに駆け込み学んだ「ピクニックするように生きる」ということ

去年の10月に娘が生まれてから、3ヶ月。朝起きてから夜寝るまで、まだ小さな生命体とずーっとセットで生活している。

常に視界に入っているし、一日の大半は泣き声か寝息のどちらかを聞いているし、夢にまで出てくるほど私の生活=彼女の生活になっている。


彼女と向き合うときの自分は、素の自分とは少し違う。

いつもより少しだけ声のボリュームと高さを上げて、テンションも上げて、スイッチを入れる。その下準備をしてからようやく「おむつ替えますよー!」「おっぱいほしい人ー?」などと、4ヶ月前には口にしたことのなかった台詞を言う。

娘は愛おしくてかわいいし、こんなふうに母親をする自分は気に入ってもいる。でも、出会ったことのないハイテンションな人格にいつのまにか自分を乗っ取られて、少しだけしんどくなる瞬間があるのも事実だ。

寝不足の状態で泣き止まない人と2人きりでいることがほとんどなのだから、無理もない。あれ、本来の私はどこにいったんだっけ?


そんな私が一人になり、素の自分に戻る数少ない時間。それはシャワーと、トイレのタイミングだ。

特にトイレは、好きな本を持ち込んで読むのが昔から好きで。ごほうびに読もう、と決めていたある本を少しずつ読み進めるのが産後のちょっとした楽しみだった。といっても1回に読めるのはほんの数ページなのだけれど。



株式会社ガルテンCEOであり、NEXT WEEKEND代表の村上萌さんによる著書「Life is a Picnic ピクニックするように人生を自由に楽しくカスタマイズする365日」。

NEXT WEEKENDは「次の週末に叶えたい、理想の生活」をコンセプトに掲げるコミュニティメディアで、長年ウェブマガジンを運営していた。

惜しまれながらも昨年ウェブマガジンという形では休止が決まり、(現在はインスタグラムなどで発信中)その集大成としてこの本が出版されたのだ。

NEXT WEEKENDでは「週末野心」という言葉を大事にしていて、「いつか」と思っていることを先延ばしにせず次の週末には叶えていこう!というマインドを提案している。

そんなNEXT WEEKENDが言う「ピクニックするように人生を自由に楽しくカスタマイズする」とはどういうことなのか。


ピクニックとは、自分が選んだものを自由に持っていき、時に他の人たちと持ち寄ったりして、主体的に楽しい時間を過ごすもの。何を持っていき、誰とどんな景色を見たいのか?は自分しだい。正解はないし、いくらでも好きにカスタマイズできる。

私たちの日常も同じで、いつか誰かが理想的な世界に連れていってくれるわけではない。自分の好きなサンドイッチを自分で選んで持っていくように、ちょっとしたことから目の前の景色を自分で変えていくしかないのだ。


とはいえ、具体的にどんな行動をすれば日々をカスタマイズできるの?そんなヒントを、この本は教えてくれていて。

「15分だけ、自分のための贅沢なケアをしてみる」「旬のフルーツでシロップを仕込む」「誰かのためのプチギフトを用意しておく」などの具体的なハウツーもあれば、「誰かのために覚えておきたい言葉」「自分の心を解く思考術」などの思考をアップデートできるコンテンツもあって。見てるだけでわくわくする。

その1つひとつを読んでいるうちに、家でひきこもりながら閉鎖的になっていた世界が少しずつ開けていって。

狭くて孤独なはずのトイレが、何をしても自由な広い公園みたいに思えてくるから、不思議だ。

トイレであの本を開けば、私は自由になれる!大袈裟じゃなくそんな風に思えるようになったのだ。


娘の前で取り繕っては疲弊してしまう私に、必要なもの。それは、自分が主体となって好きなものを広げる自由さ、周りと持ち寄り共有する楽しさ、娘のせいにせずやりたいことをやる軽やかさだ。

明日起きたら、全ての道のりが省略されて娘がいきなり20歳になっている……そんなこと、もちろん起きるはずがない。だからこそ、ここからの道のりを自分がちゃんと思い描いて、見たい景色を目指して娘と歩んでいくしかない。時に、娘や夫や友人たちに誘われるがままに寄り道もしながら。

「子どもが生まれたらしばらく自由なんてないよ」と、人生の先輩方に脅されたりもした。ある意味本当で、何もしなければ誰も自由になんてしてくれない。ピクニックするように好きにカスタマイズしていくことで、自分が自分を自由にするしかないんだ。


村上萌さんご自身も、7歳の娘さんがいらっしゃる。会社の代表として働きながら、母親ならではの葛藤をいくつも乗り越えてこられたのだろうと思うけれど……そんな風に思えないほどキラキラした姿が私には眩しい。

でもきっと、その眩しさに目をつむってはいけなくて。

「せっかくならやりたいことをやろう」の精神を持ち、ご自身で選び取ったもので納得して人生を歩まれてきたからこその、眩しさだと思うから。

私にも私なりの納得する人生の歩み方が、あるはず。


「私の生活=娘の生活」状態になり、本来の自分を失いかけていた私。でも、母になったって自分の人生であることは変わらない。

そう、私はピーナツバターとイチゴジャムを塗りたくったサンドイッチが好き。

コーヒーは無糖でミルクをたっぷり入れたカフェオレが好き。

梨とかぶどうとか、秋の果物が大好きで、お菓子はクッキーに目がない。

私にも私だけの、好きなものがある。

自分の好きなものをたくさん持って、時に周りを頼りながら娘や夫や友人たちと理想の景色が見れるように、日々を積み重ねていこう。


寝不足の状態で泣き止まない人の相手をして、ヘロヘロになりながらトイレに駆け込んだ私。

そんな私を1ページめくるごとに自由にしてくれた、村上萌さん率いるNEXT WEEKENDと株式会社ガルテンの存在を私はもっと多くの人に知ってほしい。

それは「推したい」という気持ちに近いのかもしれない……いや、正しくはもうずっと推しているから、これからも推し続けたいのだと思う。

本棚に飾ってある、Life is a Picnic。我が家にお招きした友人たちに積極的に貸し出したいし、大切な人の記念日にプレゼントしたいという野心もある。

繰り返す毎日をピクニックするように生きて、自由な景色を見る仲間が一人でも増えたら、それほど嬉しいことはない。

Life is a Picnicを合言葉にして、また小さな毎日を積み重ねていこう。



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