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たった指輪ひとつで
今朝はいつもどおり、娘のおむつ交換と授乳から始まったけれど……いつもより少しだけ、テンションが上がっていた。
大学の頃の友人たちが家に遊びにきてくれるから、というのはもちろんある。
でも朝一番、その瞬間に私のテンションを上げてくれたのは……指輪。
いつだかにスペインで買った派手なお皿に、ここ数ヶ月放置されっぱなしの指輪。
毎日毎日目にしていたけど、つけるタイミングをすっかり失い、ほんのりした罪悪感がすこーしずつ募っていった。
あれだけ毎日つけていたのに、つけなくなったのはいつからだろう。
妊娠後期に入って、出産が近づいてきたある日。病院で健診を受けていたら、「そろそろはずしておいてくださいね」と助産師さんに言われたのがきっかけだったと思う。
そういえば、病院で配られた「出産前の準備」的なプリントにも、いつ生まれてきてもいいように指輪類ははずしておきましょう!と書いてあったっけ。
確かに、なんとなくはずした方が良さそうな気はするけど……なんでつけたままじゃいけないんだろう?
素朴な疑問がわきつつも、結局誰にも聞けず助産師さんに言われたとおりにはずして。そこから5ヶ月ほど放置したままになっていた。(あらためて調べると、指がむくんでとれなくなるから・緊急手術になったときに感電しないように・雑菌が繁殖して赤ちゃんに影響があるといけないから……などいくつか理由があるらしい)
産後しばらくして、一度だけ指輪をつけてみようと試したことがある。
すると、あんなにぴったりだったはずの指輪が全然指を通らない。そんなはずはない!!!と意地で通したけれど、指の肉でパツパツ状態の指輪は悲しすぎるビジュアルだった。
もしかして、人生で初めての指輪のサイズ直しに行かなければいけないのか……?
思わず気になり、指輪を買ったお店のサイトで直しが可能か、すぐに調べた。「小さいサイズに直す」はできても、「大きいサイズに直す」なんてできるのか!?とこれまた浮かび上がる素朴な疑問。
そのお店の場合は「指輪自体を薄く伸ばして大きくするのではなく、金属を足してサイズを調整します。」と書いてある。へえ〜!そんな風に直すのか!また一つ勉強になった。世の中知らないことだらけだ。
娘のお世話の合間に指輪のサイズ直しに行くなんて……一体いつのことになるのやら……と少し絶望しながら、すっかり別人のようになってしまったむくむくの指をしばらくボーッと見つめた。
こんな風に、身体のあちこちがどんどん思わぬ方向へ変化してしまうのね。とほほ。
そこからしばらくまた放置して、見て見ぬフリをしていたが……今朝ふと思い立って、もう一度だけチャレンジしてみようと思ったのだ。
また同じように落ち込むリスクがありつつも、不思議な朝のテンションで気づけば薬指に指輪を通していて。
つけてる途中でもうわかった。前回とは明らかに違う。このスルスル具合。昔の感覚に戻ってる……!!!!
前回のパツパツが信じられないほどスムーズに指輪は通っていき、5ヶ月ぶりに私の左手には指輪がついた。
嬉しさのあまり、起きたての夫にもすぐに報告して。たった指輪ひとつで、なんだか本来の自分を取り戻せた気がして……とにかく、想像以上に気分が上がり、自分でも驚いた。
「佐々木朗希、ドジャースに決まったんだって」
ふと目に入ったLINEニュースを報告すると、「それよりmaiさんが指輪をまたつけられたことの方がビッグニュースだね」なんて、冗談混じりにしょうもない返しをしてくる夫。いつもなら左から右へ受け流すが、そんな一言さえも今朝はなんだか嬉しくなってしまった。
それほど晴れやかな気持ちにしてくれた、人生のお供となる指輪。またいつ入らなくなるかわからないけど、これからもずっとよろしくね。
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