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potatoかpotahtoか ━━麻雀Mリーグ仲林圭プロとNikorasプロの日英バイリンガル実況より

私の趣味の1つに麻雀Mリーグ観戦があるのですが、先日(2024/09/20)行われた第4節、この日の試合をMリーガーの仲林圭プロと日本プロ麻雀協会のNikorasプロが上のYouTubeチャンネルで日英バイリンガル実況されているのをアーカイブ視聴しました。Mリーグの「この熱狂を外へ」の精神を体現する面白い試みですよね!麻雀も語学も好きな私にはこの上ない企画。

このnoteでは、その冒頭にあった語学的に興味引かれた一連のやりとりに関する投稿をしたいと思います。

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仲林圭プロは「じゃが」という愛称で知られています。由来は同じプロ協会の堀慎吾プロから「じゃがいものように美味しい」(相手としてくみしやすい)と呼ばれたことがきっかけだそうで、今となっては本人も気に入っている呼び名のようです。なので、自身のYouTubeチャンネルのライブ配信でも、視聴者から「こんじゃがです」などと挨拶されたりするのですが、この日、それに対して仲林プロが「ハロー、ポテト」などと返されていたところ、ニコラスプロが、

Potato or Potahto, which one do you prefer?

と尋ねるくだりがありました。

意味は「じゃが」の英語発音がpotato(ポテイト)とpotahto(ポタート)、どちらが好きか、というもの。これは一種の言葉遊びで、後でニコラスプロも説明されていましたが、Potato, potahto.とかTomato(トメイト), tomahto(トマート)というフレーズがあって、どっちもあるんだからどちらでも良いじゃん、といった意味合いになります。

ただこれは日本人からすると不思議な感じがしますよね。tomatoがトメイトなのは日本人英語学習者にとって、最初におぼえる言語ギャップの1つと言っていいくらいだから。トマトじゃないよ、トメイトゥだよ!と。

ところが、実のところ、Tomato, tomahto.のフレーズにある通り、どちらでも良いんですよね。イギリス英語ではトマートなので。。

ただ、確かにtomatoには辞書的にも両方の発音が明記されているのですが、potatoにはポテイトゥの方しか載っていないのです。イギリス英語でも普通ポテイトですよね?ポタートの発音は、Potato, potahto.のフレーズくらいでしか耳にしないような。これは一体どういうことなのか?

実はこのフレーズには由来があって、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャース主演のミュージカル映画『踊らん哉』"Shall We Dance"(1937)の中で歌われる'Let's Call the Whole Thing Off'に、次のような歌詞があります。ちなみに作詞・作曲はガーシュウィン兄弟。

You like potato and I like potahto
You like tomato and I like tomahto
Potato, potahto, tomato, tomahto
Let’s call the whole thing off

(君はポテイトで、僕はポタート
君はトメイトで、僕はトマート
ポテイト、ポタート、トメイト、トマート
もうこんなの全部やめにしよう)

この曲は、他にもeither, neither, pyjamasなどなど発音の違いにフォーカスした語学的にも面白いものなのですが、どうもこのpotato, potahtoについては、tomato, tomahtoと語呂が良いからノリでつけたもののようなんです。

While the song makes fun of different (and valid) regional pronunciations of English, the line "You say potayto, I say potahto" is in fact a joke, as the latter pronunciation is not used.

この曲は、英語の異なる(そして妥当な)地域ごとの発音を面白おかしく扱っているが、「君はポテイト、僕はポタート」という歌詞は、実際のところ冗談である。後者の発音は使われていないので。

ということで、この曲とPotato, potahtoというフレーズがあまりに有名になったから、ポタートという発音もある、というのが実際のところのようです。

それにしても長回しで撮られている'Let's Call the Whole Thing Off'のシーンは、ほんと見事ですよね〜。ローラースケートを履いてダンスする2人の名人芸に惚れ惚れします。

ちなみにこの曲にはエラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングのバージョンもあって、こちらも素敵に楽しいアレンジとなっています!


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冒頭のお二人のバイリンガルMリーグ実況配信では、このPotato, potato.は、日本語では

すもももももももものうち

みたいなものか、というコメントもあったりして、確かに、言葉遊びの切り口は日英で少し違っても、potatoもpotahtoもスモモも桃も似たようなものじゃん!という意味では近いものもあって、面白いですね。

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