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informationはin formation !? ━ユヴァル・ノア・ハラリの新刊"Nexus"より
ただ今読書中のユヴァル・ノア・ハラリの新刊"Nexus"より、今回は私が興味惹かれた言い回しを紹介したいと思います。
それはChapter1のWhat Is Information?からで、「情報」の定義の難しさについて説明するくだり。情報とは現実を単に表象するものではなくて、新しい現実を作り出すものだ、というのがハラリの主張。
Its defining feature is connection rather
than representation, and information is whatever connects different points into a network. Information doesn't necessarily inform us about things. Rather, it puts things in formation.
(情報を定義する特徴は表象よりもつながりである。情報とは、異なる点をネットワークにつなぐあらゆるもの。情報は私たちに必ずしも物事を知らせてくれるわけではない。 むしろ、物事を形作るものなのだ。)
この英文では、informationの特徴を、inform「知らせる、教える」ものというより、(put X) in formation「形作る」ものである、という一種の言葉遊びを使って説明していますね。これは一般的な英語ネイティブの語感を反映するものではなくハラリ独特の言い回しと思われますが、informationの語源がラテン語のinforma’re「形作る」に由来するらしく、in-は「中に」「〜へ」でforma’reは「形式化する」という風に分解できることから、あながち単なるこじつけでもないというところがさすがの歴史学者といったところでしょうか。
それにして本書を読んでいると、このChapterの中だけでもCher Ami、NILIとSarah Aaronsohnのことなど私ははじめて知る興味深い事例が紹介されていて、つい脇道にそれて調べたくなってしまいます。おかげで読み進むのが遅くなってしまっておりますが、、、のんびりと楽しみながら行こう!と思っています。