朝焼けにしゃけとニューバランスを

朝起きてまずお布団が床に落ちてるか確認するのが癖。
枕と同化したほっぺたを剥がしてむにゅむにゅしてからアラームを止める。
昨日の夜半分だけ明けておいたカーテンから光が差して、甘い朝日の匂いが寝癖だらけの髪をくすぐって。
…うん
お腹すいた。
今日は鮭がいい。
少し塩辛い朝日色の。
冬の朝、本気でお布団と入籍できないか検討して大好きだよ君と離れたくないよの1くるまり。ぐう。
昨日のうちにベッドから暖房のリモコンをとれるようにしなかった自分を恨みつつ布団を剥いで高速着替え。きっとアイドルもびっくり。
ざくざくとまとめたポニーテールに少し肌に馴染んだ冬服
ふわりとアクセントにあくびを一つ
大きく深呼吸して途中で止める。
しゃけ。
朝ご飯の匂いがしたらそれが朝の合図。
湯気がたってるお味噌汁が愛おしい。
冷えた手をゆっくり広げて
いただきます
にゅまついてしまう。
いつもならニマニマだけどしゃけが口の中で泳いでるから大方にゅまにゅま。
朝はご飯が進まないなんて誰が言ったんだろうなんて思いながらご飯を口に頬張る。
む、美味じゃ
気分は殿様
なくなるご飯に感じるジレンマ

「やはり行かねばならぬか」
歯磨きしながら鏡に残像のお殿様
眠たそうにまだ半分しか開いてないおめめをぐいっと開けたら靴を履いて。
お気に入りの紺色のニューバランス
とんとんとつま先を弾ませる。
さあいざ鎌倉。
開けた途端待ってましたと言わんばかりに入り込む風
わずか2秒で降参。源左衛門も多分腰を抜かす最短記録更新。
覚悟を決めろ、目標の電車はもう10分後だ
開けて閉めてを3回繰り返してからえいっと扉を開けてもう悴みそうな手で鍵を閉めた。
「へっへ勝ったね」
何に勝ったかはわからないけれどとりあえず満足したのでよし。
踏み出してもう登った太陽に

「おはよう」