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「利用者さんのため」という独りよがりを押し通すな

今日から新年度が始まりました。
新しく数名の利用者さんが利用を開始しました。

新年度だから、ということではありませんが、新しい利用者さんを迎え入れた時にうちの事業所では2年間というリミットが針を刻み始めます。
長いようで短い、最大2年間という時間の中で利用者さんの可能性を最大化することが僕らに求められます。


当然分かりやすい成果物として「就職」があります。
ですが、正直全員がもれなく一般就労に進まれるわけではありません。

そして、少なくともこの2年間の中での進路の正解が必ずしも一般就労とも限りません。

じゃあどういう進路に進むことが正解なのかを知っている人はいません。
たとえ本人であっても、家族であっても、…僕ら支援者であっても。



ちょうど昨日就労移行支援を延長して、丸々3年間利用して最後の最後の日に一般就労を決めた利用者さんがおられます。
身体障害を持たれていて、世間一般に言えば重度の方です。
あまりに面接に行けば落ち、面接に行けば落ちを繰り返す中で、さすがに本人も一般就労を諦めかけたくらいでしたが、無事に就労できました。


彼を受け入れた時に、僕らは彼の身体状態を見て「一般就労は難しいかも知れない」とは思いました、正直。
でも本人は「一般就労したい」という目標を大真面目に掲げていました。


さて、僕らはこの結果をどのように捉えたらいいんでしょうか。


彼の「一般就労をしたい」という思いに対して、僕は「だったら周りから障がい者だなんて思われないだけの努力と工夫をしなさい。」と伝えました。

彼は本気でそれをやりました。


結果僕らが最初に見立てた「一般就労は難しいかもしれない」を見事に覆しました。



いかに僕らの見立てがあてにならないか、という事の証明ですよね。
僕ら支援者が妥当な支援をしていたとしたら、就労継続支援B型あたりに誘導していたかも知れません。「慌てて一般就労目指さなくてもゆっくりやろうよ」みたいなことを言って。



何が言いたいかというと、僕ら支援者が考えている「利用者さんのため」という思考は本当に「利用者さんのため」になっているのか、をよくよく僕らは考えないといけない、ということです。

本当に本人の思いを汲めているのか、きちんとそのリスクも労力も可能性も含めて本人とも共有した上で、納得も腹落ちもあるのかどうか。

つまり支援者がひとりよがりになっていないか。



僕らは利用者さんを支援している間中、「本当にこの方向性でいいのかどうか」を問い続けないといけないと思います。
問うことをやめた瞬間、その支援はただただ「利用者さんの要求に迎合した」ものか、もしくは「支援者のひとりよがり」になるんです。


僕ら支援者のアセスメントはどこまで行っても絶対的なものではありません。相対的なものであり、利用者さんの思いを汲まずに組み立てられるものではありません。



ないとは思いますが、どうぞ自分の主観や思いに溺れることのない支援者さんになってほしいな、と思います。
僕ら支援者だけが考えている「利用者さんのため」がどれだけあやふやなものなのか、をしっかり知っておいてほしいと思います。

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