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大声で笑ってても 何かに怒ってても

 When the night was hard to sleep
 いつからか
 I was walking on the wind
 ひとりきり

 いまさら おそいけど
 話してないことが 忘れてたことが
 やまほどあったのに

KAN「REGRETS」より

 KANさんが旅立ったというお知らせを頂いてから、もう一か月が経過した。
 この悲しみというものは、日に日に薄れていくものかと思ったら、違った。
 逆に、少しずつ「KANさんはもうこの世にはいない」という事実を否が応でも実感させられる。
 ラジオではあちこちでKANさんを追悼する特集が組まれ(それは本当にありがたいことなんだけど)、SNSでもいろんな人がKANさんを話題にして投稿している。
 それを聞くたび目にするたび、心にうっすらと寂寥感が積もっていくような気分である。

 そして、KANさんの身近にいらっしゃった方々が、ファンに対してご本人がおくびにも出さなかった病状について、お話されるのを聞くことも増えた。
 KANさんは自らの病気を公表された際、「どうぞ、楽観していただければ」とおっしゃっていた。
 私は相当のんきだった。
 「まぁ今の時代、ガンって治らない病気じゃないし」と、できるなら今すぐタイムスリップしてぶん殴ってやりたいことをほざいていた。

 病気を公表された後、ご本人がパーソナリティをされているラジオ番組に送ったメールも、同じく相当のんきなものだった。
 予定されていたライブが中止になったので、「チケットの払い戻し分のお金で、KANさんのまだ買ってなかったアルバムを買いますね」ってこと。
 そして「某保険会社のCMで嵐の櫻井君からインタビューを受けたり、歌われたりするのを楽しみにしてます」ってこと。
 あぁ、なんて能天気な。
 もっともっと思いやりのある言葉をお伝えすればよかった。
 こんなメールが最後のメールになってしまったことが、本当に情けないし、悔しくてたまらない。

 あと他にも、悔やんでも悔やみきれないことがあって。

 私の10代の日々を支えてくれたアーティストは、KANさんとマッキーの二人だった。
 辛いとき悲しいとき、幾度となくそれぞれの音楽に癒され、励まされてきた。

 でも、その二人が共演するライブに、結局一度も足を運ぶことはなかった。

 公式サイトによると、2014年と2016年に二人は共演しているとのこと。

https://cocolo.jp/humming/history/2014.php

https://cocolo.jp/humming/history/2016.php

 大阪なんて、そりゃ私の住んでいるところからしたら、飛行機+αで行かなきゃいけないけど。
 こんなことになるなら、多少の無理をしてでも行くべきだった。
 あの二人が同じステージに立ち、音を奏でるライブを、一度でいいから体験したかった。

 でも、こんな後悔なんか、いくらしたって何も戻ってこない。
 これからは「行きたいライブにはなるべく行けるようにしよう」なんてことしか、思いつくことはない。

 いまさら おそいけど
 大声で笑ってても 何かに怒ってても
 君はもういない

KAN「REGRETS」より


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