「戻ってこい。待ってるから」
今朝、目覚めてFMラジオをつけたら、「槇原敬之特集」をやっていたらしい。
「もう恋なんてしない」が流れてきた後、「どうしようもない僕に天使が降りてきた」「DARLING」など、彼の90年代の代表曲がこれでもかというほど次々、フルコーラスで流れた。
うわぁ、懐かしい。
10代の後半、マッキーにドはまりし、中古のCDショップで過去のアルバムを全て揃え、部屋のCDコンポで聴きまくっていた日々を思い出した。
マッキーの歌詞はまるで、親しい友達に「内緒の話」として教えてくれる、恋人とのなれそめとか悩みとか、片思いの相手への叶わぬ想いとか、そんなようなものに思えた。
だからマッキーは私にとって、心の親友のようなものだった。
今年の5月、彼のライブを観に行った。
4階席くらいまである、大きなホール。
私は、幸運なことに3階席の最前列から、彼の歌う姿を見ることができた。
90年代に発表された曲の中から、厳選されたものを2時間歌い続けるライブ。
彼の当時のアルバムは全部聴き込んだつもりだったけど、「SPY」のシングル盤のカップリングだったという(カップリング……懐かしい響き)「キミノテノヒラ」は初めて聴く曲だった。
ライブの終盤はもちろん「どんなときも。」や「もう恋なんてしない」で閉めて。
彼のライブに行くのは2度目だった。
1度目は2006年。そこでは、確か当時の最新アルバムの収録曲が中心で、90年代の歌は歌っていた記憶がほぼない。
だから、自分がひときわ思い入れの深い90年代の曲をたくさん、生で聴けたのが本当に嬉しかった。
生きていれば、たとえ法に背くことをしようと、帰ってくる場所があれば戻ってくることができる。
彼にそのような場所があって、本当に良かったと思う。
なんで一度や二度のあやまちで、元々いた場所から永久に追放されなきゃいけないんだ。犯した罪に対して擁護はできないけど、それと共に過去の実績や評価も全てなかったことにされるなら、納得なんかできない。
彼に対するファンからの声の中に、ひとつ、忘れられないものがあって。
先に言っておくが、ネガティブな意見ではない。
彼が2度目の復帰を果たしてから、少し経った頃だけど。
YouTube Musicで彼の曲をいろいろ聴きながら、それに対するリスナーからのコメントを読んでいた時。
どの曲か忘れたけど、「戻ってこい。待ってるから」という一文があった。
おそらく、2度目の逮捕後に書き込まれたものだと思うけど。
涙が出そうになった。
私、こんな力強い言葉、彼に言えただろうか、って。
1度目に逮捕されたとき、私は「マッキーの大ファン」として周囲にまで知られた存在だった。
当時のことは思い出したくもない。赤裸々に書いたら、読んだ人を傷つけてしまいそうなことがたくさんある。そして私も、そんなことを書き残したくない。
正直なところ、1度目の復帰を果たした時、素直に喜べなかった気がする。その時に発売されたアルバムも聴いてないし、しばらくは距離を置いていたと思う。
少しずつまた彼に近づいていくきっかけとなったのは、紛れもなく「世界に一つだけの花」。
そのセルフカバー曲が入ったアルバムも買ったし、その後、彼のライブに初めて行ってみようと思うきっかけとなった。
2度目に逮捕されたときは、正直なところ、ある程度の心づもりはできていた。
だから、比較的ショックも少なかったし、あえてSNSなどの情報に触れないようにしたから、傷つく出来事も少なかった気がする。
そして今に至るんだけど。
「生きていてくれて良かった」と本当に思う。
私はマッキーを最初に好きになったきっかけはもちろん「どんなときも。」なんだけど、その少し前に大ヒットした「愛は勝つ」をきっかけにKANさんも大好きだった。
もう既にご存じの方も多いと思うんだけど。
KANさんは昨年、別の星に用事があって出向かれた(ファンの間ではそのような呼び方をしている)。
生きてりゃいいんだよ、生きてれば!
この先も、何があったって、いつでも待ってるから。
あなたが帰ってくる場所を用意してるから。
私もこんなふうに、格好いいこと言える人でありたい。
そのためには、強くならなきゃなぁ。
いちいち落ち込んだり悩んだりするけど、ガハハって笑い飛ばして、大好きな人たちを守れる力が欲しいなぁ。
いつだってマッキーの歌声に支えられてきた。
これからも支えられていくと思う。
そして、彼の歌を愛する仲間がたくさんいる。
そう思うだけで心強い。
「戻ってこい。待ってるから」
この詠み人知らずのファンの声に、今の私も救われている。