武士道シックスティーン 誉田哲也 文春文庫
中3の剣道女子の香織は全中二位である。つまり決勝戦で敗れたわけだが、勝った試合を審判が見抜けなかったと思っている。そんな彼女が小さな市の大会で遭遇した無名の選手に負けてしまった。そして、進学した高校で再び巡りあうことになるとは、ふたりとも思っても見なかった・・・。
もう、真っ直ぐな青春テンコモリの剣道女子の本である。剣道オタクで五輪書を愛読する香織と、脳天気で「お気楽不動心」の早苗の視点を交互に入れかえて物語は進んでいく。山あり谷ありで高校一年、十六歳を描くのだが、もう青春が濃厚である。実際は、こんなに素敵には進まないとは思うが真っ直ぐな二人の主人公の性格が、明るくさくさく読めるヤングアダルトな世界を構築してくれていると思う。当然、武士道セブンティーン、エイティーンと続くので、乞うご期待か。
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本作は、青春女子高校小説としては傑作である。この三冊の続編もあって、こちらもオススメ。