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「15歳からの社会保障」執筆における5つの工夫について

拙著「15歳からの社会保障」の4刷が決定しました。(合計13000部になりました)目標としていた全国の中高+αの数=15000部まであと少しになりました(12000だと誤認していました汗)。
お手にとってくださったみなさま、ご紹介くださったみなさまに感謝いたします!

大変ありがたいことに、執筆に際しての工夫についてお聞きいただけることが増えましたので、以下に記させていただきます。

1.物語の活用
社会保障制度という固いテーマを読み切っていただくために以下の流れで構成執筆しました。

⑴200程度の制度を生活場面カテゴリで整理する
⑵登場させる社会保障制度を決める
⑶登場する制度に関連した生活上の困りごとを決める
⑷上記を踏まえて登場人物の設定を決める
⑸物語を書く

ピンチからのリカバリーのプロセスを描くことで、制度単体ではなく、制度を利用する前後関係をイメージしていただきながら読み手の方に追体験いただけるよう努めました。

2.主人公たちの異変に気づき声を掛ける登場人物
社会保障制度を知ることは、自分だけではなく誰かを支える・助けるための力になることを登場人物を通して伝える役割を果たすサブキャラクターを登場させました。


3.各章の主人公の描写

主人公を弱き人として描かないことを徹底しました。
弱いから制度を利用するのではなく、それが権利であることを登場人物にも語らせ、この物語の主人公は、わたしかもしれない。あの人かもしれない。そのように少しでも感じてもらえるよう登場人物の心理描写を盛込みました。

本書を通して社会保障制度を知っていただくこととトレードオフで、本書が人々を抑圧する社会規範や社会保障制度利用に付するスティグマを強化してしまったのでは本書を記した意味がありません。この点は、本書に通底する制約条件として設定し、強く留意した点になります。

4.各章のおわり、巻末の制度一覧の表記方法
利用する側を主語とする説明文章に統一しました。
例えば、相談窓口に関する説明も、よくある自治体主語の「あなただけの支援プランを作ります」等ではなく、「お金や仕事や家族について相談できます」とするなど、利用する側を主語とする説明文言としました。

5.制度窓口の探し方
自治体によって窓口の名称が異なることがあるため、ネット検索をする際のキーワードを例示しました。Megumi Matsunami さんありがとうございます。

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社会保障制度の知識を持つことは、その制度を利用しようとする人への偏見や差別を減少させる効果があると考えます。

例えば、「お隣の家が生活保護を受けている」として、生活保護制度が世帯単位で決められた最低生活費という基準により決められているものであると知っていれば、「あの家は働いているのに生活保護を受給しているのはおかしい/ずるい」という誤った見方をすることはありません。

制度利用への差別的な眼差しとしてのスティグマと呼ばれるものが減ることは、結果として、ひとりひとりのためにもなります。制度利用に対する差別や偏見がなければ、自分自身がちゅうちょなく制度を利活用できるようになることにつながります.

社会保障制度について正しく知ることは、自分や身の回りの人を助ける「知識」を得るだけではなく、社会全体に存在する制度に対するスティグマを軽減することにつながると考えます。

拙著を通して、社会保障制度について知っていただく機会を作るとともに通、制度利用を抑制する”規範”にも働きかけていきたいと思います。


今週末、以下にてお話させていただきます。


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Hokuto Yokoyama
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