目玉焼き
年が明けて最初の三連休の二日目、今朝は目玉焼きを焼いた。
熱したフライパンにバターをひとかけ、卵を四つ割り入れて、黄身が半熟を保ちつつ白身の縁が茶色く色付く程度まで弱めの中火で火を通す。フライパンの余熱の程度が良かったのか、焼き上がった目玉焼きは、運良くスルリと皿に移った。
味付けは飽くまでもシンプルに塩胡椒。口に運び、咀嚼し味わい、嚥下する。
次の一口を運ぶ前に珈琲を口に含む。
「卵の味が拓いた」
卵の風味を珈琲が強烈に押し上げている。
ふと思う。前に目玉焼きを食べたのはいつだったか覚えていないけれど、何回食べてきたかも分からないけれど、過去に感じたことのない味覚の体験だった。確実に。
普段の珈琲は食後だ。不惑の齢は当に過ぎているが、目玉焼きを食べる合間に珈琲を飲んだ経験がきっと過去に無かったのだろう。こんなに相性が良いのに、ずっとすれ違いさせてしまっていたのだと思うと少し申し訳なくなる。
しかし、卵と珈琲に侘びる気持ち以上に、好相性を新たに発見できてとても嬉しかった。こんな組み合わせは食に限らず、ぼくが知らないだけで、世の中にまだまだ眠っているはずだ。
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