HUMAN Extended version VOL.1 冒頭翻訳

ドキュメンタリー好きの先生が教えてくれたので翻訳練習。
様々なバックグラウンド、国籍を持つ人が自身にとっての愛、女性、労働、飢えについて語っています。映像も美しく、それぞれの「言葉」が声と表情で感じられてとても良いです。

Leonard - US

I remember my stepfather
would beat me with extension cords
and hangers, pieces wood and all kinds of stuff.
僕を殴っていた継父のことを思い出す、
延長コードで、ハンガーで、木片やあらゆるモノで

He would tell me: It hurt me more than you.
彼はよく言っていた、
I only did it, because I love you.
「俺の方が傷ついている。愛しているから打つんだよ」
It communicated the wrong massage to me about what love was.
それは僕への間違った愛のメッセージだった。

So, for many years,
だから何年もの間、
I thought that love was supposed to hurt.
愛は傷つけることだと思っていたんだ。
I hurt everyone that I love.
愛する全ての者を僕は傷つけた。
And I measured love
そして愛を測ったんだ
by how much pain someone would take from me.
どれだけの痛みを僕から取り除いてくれるかによって。
And it wasn't until I came to the prison
in the environment that is devoid of love
そして刑務所という愛の欠落した環境におかれて初めて、
that I began to have some understanding
about what it was actually and was not.
実際愛とはなんだったのか、何が愛ではなかったかを理解し始めたんだ。

I met someone.
そして出会ったんだ。
She gave me my first real insight into what love was.
彼女は僕に初めて真なる愛の本質を教えてくれた。
She saw past my condition
彼女は僕の過去の境遇を知っていた
and the fact that I was in prison with a life sentence
そして終身刑であったという事実
for doing the worst kind of murder that a man can do:
murdering a woman and a child.
人間ができる最低の行為である殺人、
女性と子供を殺した罪によって。

It was Agnes...
彼女はアグネス…
The mother and grandmother of
Patricia and Chris, that I murdered,
僕が殺したパトリシアとクリスの母であり、祖母であり
who gave me my best lesson about love.
僕に最善の愛の教えを与えてくれた人。
By all rights, she should hate me.
本来なら、彼女は僕を憎むべきだった。
But she didn't.
しかしそうはしなかった。
Over the course of time,
時の流れとともに
through the journey we took,
僕たちのとった関わりあいの中で
it has been pretty amazing,
本当に驚くべきことだけれど、
She gave me love.
彼女は愛をくれたんだ。
She taught me what it was.
彼女が僕に愛を教えたんだ。


聞き取りながら何度も繰り返し再生するうち、最後に彼が言葉をつまらせる部分で自分も喉の奥がくっと鳴りそうになった。このシンプルな言葉の背景にどれだけ濃く痛々しい旅があったのだろうかと思う。it has been pretty amazing,と述べる前に少し笑うように入るその一音が、「信じられない」という気持ちを自虐的な笑いでもって示しているようだった。人は、本当に大切なことをしゃべるときほどなぜか、笑ってしまったり、そのくせ直後に言葉をつまらせ、涙さえ流す。そんなことがある。シンプルな言葉でしか伝えられない重大な真実、深く複雑に絡まりあった「愛」がこの世にいくつも、横たわっているんだろう。簡単に理解することは適わないだろう。自分の預かり知らないそれぞれのことを想うと、たまらない気持ちになる。

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