詩「天使のへその緒」

誰の頭の上にも
天使がへその緒をのばしている

そんな邪魔なものは  いらんのだ
俺は荷物が  いっぱいで
そんなものは  掴めないのだ

うるさいぞ、天使
足にまとわるな
転ぶじゃないか


お前とサヨナラを決めたのは
さい果ての地の  崖の上
吹きつける風に  乾いた涙


街角をかける  小さな靴音
子供たちに握られて
嬉しそうな  赤いふうせん
ふうせんのひもは  天使のへその緒


誰の頭の上にも
天使がへその緒をのばしている

しつこいぞ、天使
お前のことは
大好きなのだが
……

布団にもぐって  電気を消して
ひっぱった  白いひも
夢の中で  天使と遊ぶ

いたずらな天使め、
いつまでも  そばにいておくれ



2012頃
※ネットにて既出



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