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帯広へ。④完


結局、③で完結無理でした、長すぎました。


①は帯広日帰り、一人、JR遅延、時間がない。
②は旧双葉幼稚園までの道、スピッツの「シークレットセッション」のこと、「優しいあの子」のこと
③はそこで出会った方との時間、園庭からの写真

今回の④が最後です。
旧双葉幼稚園を後にして、帰り道、帰りのJRの写真と、独り言です。



さようなら。さあ、帰ろう!!!!

時刻は14時45分。帰りの列車は15時31分。
駅までは15分。


あの車の横をまた通りすぎて、来た道を戻る。
斜めの道。さっきより陽が傾いてオレンジだ。やっぱり人はいない。

急ごう。今何時だ?3時ちょっと前か。お土産買う時間はまあまあありそうだな。


あ、忘れた。
幼稚園の敷地に落ちている楓の落ち葉を持って帰ってきて「押し葉」にしようかと思ってたのに、舞い上がりすぎて、すっかり忘れた。ま、いいか、来年、また来て持って帰ればいい。

でも途中のこの木がとってもいい色だったから、帯広に来た記念に、冒険の証に、ここで落ち葉を拾って持ち帰った。立派な木だ。


せまる時間。流し撮りになってしまう。

誰もいない。帰りは1人ともすれ違わなかった。

ほんとにいないな、そんなはずないんだけどな。ここはきっと裏なのかな。



駅到着

意外と時間が作れた。お土産、どこで買えば…ますやパンはどこ??(涙)
調べたり探したりする時間がもったいなくて、とりあえず改札付近のお土産コーナーをうろうろ。どうしよう、なんにも決まらない。決まらないというか、頭が上手く回らない。


ホームへ来た。15時20分。お土産は結局何を買えばいいか、テンパってわからず、いくつか手当たり次第みたいな買い方になった。教えてもらった、ますやパンもわからなかった。時間がないから焦っているのか、心がまだあの場所から戻ってこないからなのか、ふわふわしてた。


座って待つ、ホームのベンチで。





列車が来る。釧路から。おおぞら8号。
時間通りだね。

(帰りは多少遅延してもいいよ)

乗車。


・・・・・・・。なんかすごい時間を過ごしたな。。素敵な時間と出会いだった。優しかったな。たったの1時間だったけど、心はほっかほかだ。

行きとは反対側の景色が見える方で、夕陽側だった。たまたま。
眩しい。もうすくで山に隠れてしまう。

イヤホンを取り出して、あの場所で撮られたCD音源を聞いた。(サブスクには無いので通常版を載せています)

「夕焼け」

この曲のテッちゃんのギターの音が、ギターソロがものすごくすごく、好き。「スピッツが好き」の実の理由はテッちゃんのギターだと言ってもいい。そしてあの場所で弾く音はもっともっと、良い。



天気に恵まれた。朝、雪が降っていたけど。予報通りに晴れてくれた。

列車が遅れず全て計画通りだったら、こんな風に面白い展開にならずに、引っかかりもなく過ぎて行ったかもしれない。面白い。
予定してた寄り道も、お店も一つも行けなかったし、街並みも何も見てもいないけれど。
お水の代わりにメロンソーダが出てくるお店も、美味しいカレーも、もちろん豚丼も。今度家族で味わおう。次に家族で来る目的にすればいい。
今頃、2人でどう過ごしているだろう?パパにめいっぱい付き合ってもらって、嬉しいだろうなぁ。
今こんなに幸せな気持ちになっているのは、1人で行くことを許してくれた2人のおかげ。感謝したい。キライとか嫌ではなくて、1人で行きたいというその気持ちを飲み込んでくれてありがとう。



眩しい。

ありがたいな。
この夕陽も車窓も、風景も、列車の運行管理する人も、運転士さんも、あの人たちもみんな、みんななんかありがたいな。
歌と景色と色々で泣けるよ。


今日の太陽が終わっちゃった。


鹿の群れを見た。10頭はいたな。
これで牛、馬、鹿、そろった。
なんかこの絵が浮かんだ。朝ドラ、なつぞら。

NHK エンタープライズよりお借りしました


ふと思い出した会話。
「依田勉三が大好きでね…」「静岡から入植して帯広を開拓…」「来週の土曜日はね、ここでアイヌ文化の催しの…」

同時にこの曲が。

口にする度に泣けるほど 憧れて砕かれて
消えかけた火を胸に抱き たどり着いたコタン
芽吹きを待つ仲間が 麓にも生きていたんだなあ
寂しい夜温める 古い許しの歌を
優しいあの子にも 聴かせたい

スピッツ「優しいあの子」歌詞


「たどり着いたコタン」
コタンはアイヌ語で集落。

「十勝開拓の祖」とよばれる依田勉三率いる晩成社は、明治16年に現在の帯広市へ入植し、3年後の明治19年に大樹町で晩成社当縁牧場を開設し、牧畜業を始めました。原生林を切り開き、不毛と思われた土地に鍬を下ろし、畑作と酪農を試みたのです。また、半地下式のサイロを作り、バターの製造やチーズの試作など時代を先取りした酪農経営を展開し、今日の大樹農業の基礎を築き上げました。

とかちであそぼう とかち晴れ H Pより


依田勉三がアイヌの人々が住む地に入植した姿が浮かんできた。
「古い許しの歌」。
リリース当時から気になって調べたりもしたけれど、依田勉三に
ヒントがあるのかも知れない。


「優しいあの子」は曲調が明るく弾むように可愛らしいのに、歌詞は冷たく日陰な言葉が並んでいる。(草野節)
「この広く美しい大地を見ると厳しい冬を思わずにはいられない」と楽曲解禁になった時にマサムネさんはコメントしていた。厳しかった帯広の開拓。上手く行かなかった事業。奮闘したその後に十勝、帯広に根付く産業の土台を作った依田勉三が晩成社が、ここ十勝、帯広にいたのだよと、優しいあの子にも教えたい。
そうにも聞こえてきた。

だとしたら納得できる。
あの方が言ってた
「どうしてここが撮影地に選ばれたんだろう?」
「どうしてここを知っていたんだろう?」

繋げたのは、あなたが大好きだと言った、依田勉三、かもしれないですよ。

正解は誰にもわからない。間違っていてもいい。こう思っておく方が面白い。
とりあえず依田勉三のことをもう少し勉強して、帯広の十勝エリアの歴史を少したどろう。もっと帯広旅が楽しくなるし、幼稚園の歴史のことも、アイヌ文化も、北海道の開拓の歴史も知れる。


夜になっていく。
誰そ彼時の色。


LINEが入った。
「晩御飯、すき家頼むんだけど、何かリクエストある?」
すき家。カレーが食べたい。1人でどっか行った人の分まで買ってくれるのかい?なんか…すいません。
私の分はいらないよ、って言えたらかっこいいんだけど、カレーが食べたくなっちゃったから、止められなかった。
すぐに返信。これで。

ほうれん草カレー
すき家 HP
体が鉄分でも欲してたのかな
瞬時に決まった


そういえば、、朝は小さいパン1つ、駅でウエハース2枚、お昼なしで今17時だったな。そりゃすき家の話聞いたらリクエストしちゃうか。あ、さっきのお赤飯、食べよう。

美味しい。


一つだけ光る星、あれは?
ステラリウムを…。
金星だ。

オオルリ流星群のあの言葉を時々思い出す。


40代も悪くないぞ。


歳を重ねても悩みはなくならないし、辛いことも減らない、許せることも許せないことも、まだある。それは無くなりはしないけれど、

感動だけは増えていく。

辛いことの経験も積んでいく分、嬉しかったり、小さい喜びや、人の優しさとか、誰かの苦労にも共感したり、健康さえあれば無敵かもしれない、とか、気がつけること、ときめくことは増えている気がする。
今まで葉っぱ一枚一枚に感動するなんてことなかった。でもこの写真の主役は、園舎ではなく、写り込む葉の一枚一枚の美しさだなと思う。ななかまどって、赤く実がつく部分より、葉の方が好きかもしれない、一枚一枚整列する姿が。


感動は増えていく。たった1時間でも。得た感動の数、写真の数。撮れないかわりに刻み込んだ思い出。頭の中に残した映像。出会った2人との会話、優しさ。
今回はあの場所に行くことしか考えてなかったけど、
素敵な人たちに出会った、その喜びと感動の方が、結果的に大きくなった。

自分で考え、交渉が上手くいって、動いた先に得られたもの。
やりたいと思ったことの全てをやらせてもらえて、得るもの。

やりたいことができた。

これって日常的に小さく小さく叶っているかもしれないけれど
やりたいことができない方が圧倒的に多い気がするし、これが溜まるとどんどんネガティブの塊みたいになっていく。大事にしたいし、忘れたくないな。やりたいことができたという達成感が与えてくれる喜びを。

子育てでも感じる。子供の無茶な提案を受け入れてあげた夜の、子供の満足そうな姿。顔。

やりたいことがやれた。幸せだ。
それは全て、家族のおかげ。無茶な提案を、受け入れてくれてありがたい。
もう少しで、私の満足そうな姿と顔が見られると思いますよ。ただちょっとお土産がなぁ…ごめん。


外はもうすっかり暗くて、なんとなくの街明かりなのか、車のライトなのかがぼんやりわずかに通り過ぎていく。


ここどこだろう


同じ道なのに、トンネルが少なく感じる。
行きではあんなに長く感じたのに、一瞬で着いてしまう気がする。



夫に今回の思い出を話したらなんていうだろうか。
もし一緒に行っていて、あの幼稚園のあの方と話したらきっと、
お父さんに似てるのわかるーって
思ったんじゃないかな。

父にもその方のお店を紹介しよう。WOWOWの方の映像は父も見てるから、旧双葉幼稚園に1人で行ってきたこと、話そう。なんで1人で?って多分聞かれるけど、理由を話せばわかってくれるだろうな。

よく考えたら、音楽が好きなのも、旅が好きなのも、父から与えられたものだ。与えられても、それが合わなければ、刺さらなければ、うまく育たない。私は合った。だから自分自身でも求め始めた。おかげで楽しいです、今も。ありがとう。


もうすぐで降りる時間。本当に楽しかったな。すごい時間だったな。。。今度は3人で行こう。春に。あの庭に
ムスカリやチューリップが咲いて新緑がキラキラしているような時に。


ああ、光が増えてきた。もう少し乗っていたいな。2時間半、早いなあ。

札幌だ。街。見慣れた駅。

着いてしまった。降りてしまった。


そこから。

乗り継いで降りた、自分の街。風は冷たい。マフラーも手袋も一応持って入るけど、今はいらない。まだぼーっとしていて心の中もぼわぁっとあったかい。色々思い出しながら、本当に行ってきたのかなってなんだかよくわからない気もする。滞在時間が短かったから。
写真を見る。
うん、やっぱり行ったんだよな。不思議。もう私はここにいる。


この街灯を窓からいつもぼーっと眺める。DIYしたテーブルで白湯をすすりながら。noteを読んだり書いたりしながら。この辺りで唯一の明るいオレンジ。
ただいまです。帰ってきました。


家の電気がついている。夜、外からそれを見るのは貴重。
玄関を開けたら楽しそうな声がした。くっついてサザエさんを見てた。

すき家のカレーも待っていた。ほうれん草カレー。やっぱり体が欲してたんだなぁ、ものすごく美味しい。栄養になっていくのがわかる。
ご馳走様。
そのあと、いつも通りお風呂に入り。寝かしつけた後、私は起きて今日のことをnoteにまとめておこうと思ってたけど、結局、即寝、爆睡した。朝まで。もう少し思い出していたかったんだけどなぁ。昨日にしたくなかったんだけどなぁ。まぁいいか。

月曜の朝、いつも通りの平日の朝。思い出で心がまだツヤツヤしてる。
今日も一日頑張ろう。


おわり。





それにしても、本当にあそこに行ったんだっけ?行ったんだよな。
なんか行ってないみたいだな。

でもやっぱり行ったんだよなぁ


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