偉人の肖像画 -肖像画ってなに
肖像画(しょうぞうが)とは特定の人物を対象として描かれた絵画作品のことを言います。肖像画は実際にモデルを前にして写実的に描かれたものや、形を変えて美化されたものなどその表現形式は様々です。
そのモデルの人柄が生き生きと描かれていることが優れた肖像画であると言えると言われています。
自画像は肖像画とは違い、画家が自分自身を描いた絵を自画像と言います。
肖像画は、写真が無かった時代に権力者が家族や自身の生きた証や経済的成功を誇示するために描かれて来ましたが、日本の絵画は中国の影響を強く受けていて、聖徳太子を描いた肖像画「唐本御影(とうほんみえい)」は、唐の時代の肖像画の形式を引き継いでいる、日本における最初の肖像画と言われています。
やがて大和絵(やまとえ)がおこると、似絵(にせえ)と呼ばれる顔かたちを写実的に描くジャンルが生まれ、天皇、高僧、武将の肖像画が積極的に描かれました。
歴史の教科書に掲載されている将軍の絵などが印象にあるかと思いますが、例えば、豊臣秀吉の肖像画では、通常親指が見えるのですが、右手親指が隠されて描かれています。前田家に伝わる文書では、あるとき蒲生氏郷、前田利長、金森長近ら3人は聚楽第で、前田利家の居間の側の部屋で夜半まで話をしていた。
「太閤様は、右手の親指が1つ多く6つもあった」その会話が聞こえた利家は「太閤様ほどの方であれば若いときに6本目の指を切っておけば良かったのに・・そうされないので信長公は“六ツめ”と異名されていた)と語ったとのこと。(現代訳)
また、伊達政宗の肖像画は、正装した伊達政宗の画像で、1676(延宝4)年に建てられた伊達家をまつるお堂に掲げるために、狩野派の絵師が描いたものです。政宗は幼いころ右目を失明しましたが、「像を描くときには両目が整った姿にするように」と遺言をしました。肖像画に描かれている裏側を覗いてみるのも楽しいのではないでしょうか?紫曜。