伊月一空の心霊奇話 ーそのいわく付きの品、浄化しますー 第5話
◆第1話はこちら
第1章 約束の簪4 買い取ってください!
「ご迷惑をおかけしてすみません。突然、貧血を起こしたみたい……」
カウンターの側に置かれたアンティーク調のテーブルセットに腰をかけた紗紀は、頭を下げ弱々しい声で呟く。
本当のことを言えば、貧血ではなく突然、おかしな声や映像が頭の中に流れ込んで混乱したといったほうが正しいのだが、そのことは口にはしなかった。話したところで信じてはもらえない。笑われるだけだ。
いきなりお店で倒れるなんて恥ずかしすぎる。
「無