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初恋 第8話

 その夜、僕の脳みそは猛烈に回転していた。それはいつものことで、前日に起こった問題について、夢の中で分析し、答えを見つけ出すというものだった。僕はその時、過去の体験や見たり聞いたりしたものを猛スピードで概観して、その中から関連するトピックを集め、それをヒントに答えを見つけた。

今ここで詳しく述べるつもりはないが、ルービックキューブを五歳の誕生日に父からもらった時からそれは続いていた。一週間やり続けて、その全面の色を揃える方法をそうやって発見したのだった。今回の旅行では、分野は違うけど、アメリとクレジオの行動について考えるのが新しい課題だった。

 アメリは縮れた赤毛と頬のそばかすが特徴的だった。細顔で全体として美しいと僕は感じていた。でもそれは、僕から見ればただ、美しいというだけでクレジオがそんなに彼女に惹かれる理由ではないと思われた。僕が持っている手がかりは、同じクラスのラメラという女の子だった。彼女は僕より少し背が高くて活発だった。僕から彼女に話しかけたことはない。彼女はたまに、昼休みに僕のそばにやって来て、算数の問題を教えてくれと言った。それは分からないからで、それを知りたいのだと僕は思っていた。

ふと彼女の顔を思い出した時、アメリとよく似ているなと思った。赤い縮れ毛で鼻の右側にそばかすがある。たまに彼女は、僕が説明する鉛筆の端を握って、僕が書くのを邪魔した。その動きが、アメリがクレジオの手を握ろうと差し出す仕草と共通点があると勘付いた僕は、突然ハッとした。勝手な想像かもしれないが……いや、一概にそうとも限らないが……、アメリは初めて男の人に惹かれたのではないだろうか? はしゃいでいる回数は圧倒的に彼女の方が多かったし、イタズラを仕掛けるのもやっぱり彼女からだった。彼女の頬や胸の内はいつも嘘みたいに赤くて、とても浮かれている雰囲気が続いていた。

僕は父と母やダレンとタバサ、とダレン、それにハリスとナンシーの触れ合いを比較していた。それぞれの性格や年齢は別として、彼らはそんなに情熱的には振る舞わなかった。軽いキスと抱擁が示す安定と落ち着きの関係だった。一言にすれば、新鮮さが無い、咲いたばかりの花の瑞々しさがないと思った。逆にアメリの眼差しはとても初々しいと感じた。そしてそれを感じた僕はラメラが僕を見つめる目がどうだったか思い出そうとし、思い出せないが、彼女の今までの行為が僕にずっと関心を抱いている証だと思ったから鼓動が激しくなった。

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