東京都市大学付属中学国語2024年度一般入試第1回(大問1)とってもわかりやすい中学入試過去問の解説
中学受験国語の成功の極意は、
①できるだけたくさんの過去問を解いて、
②正解の理由をよく理解して、
③何度も読み返して復習することです。
間違えた問題は、本文の正解の理由になる部分に色をつけると効果的です。色鉛筆で問題ごとに色を変えてみてください。
※この解説は保護者の方が声に出して読んでいただけると、生徒さんの理解が格段に深くなります。
アニミズムの語源のアニマからできた言葉にアニメーション(アニメ)があります。絵が命を持つように動いているのがアニメーションですね。(「アニメ」は特に「日本製のアニメーション」のことで海外でも通じる日本語だそうです。)
著者の宇根豊さんが登場するYouTubeもたくさんあります。
問1A「精神性」人の心やたましいのようす。B「多様性」ちがいが多くあるようす。C「論理性」文章や意見などのすじみちが通っているようす。D「偶然性」予期していないことが起こるようす。
『草木が芽生え、葉を伸ばし、花を咲かせ、身を稔らせるのは、「生」そのものです。しかし、その生の根源には、その生を生まれさせ、支え、終わらせ、そして再生させる何かがあるはずだと感じ、そう思う時にそれを「いのち」と命名したのです。さらにその「いのち」は、生のときも、生を失った後も存在し続ける、もっとたしかな、それでいて姿ははっきりしないものの力で貫かれているような気がするとき、その存在を「たましい」(精霊)と呼んだのです。』とあります。しかし近年の科学では、単なる物質と区別して、生きている物を「生命」とし、こころやたましいを持たないものとしてあつかっています。
問2「生」や「いのち」がなくなり、死んでしまったとしても、「B」はまだそこに存在しているような気がしている。人間に限らず、すべてのものが「B」を持っていると考えるのが「アニミズム」です。
問3科学的の打ち消しの言葉は非科学的です。
非「~ではない(非常口)」
不「~ではない(不自由)」
未「まだ~していない(未使用)」
無「~がない(無理解)」
否「~しない(否認)」。
非と不はどちらも「~ではない」の意味ですが、~的の場合には非を使います。
問4『生きものに限らず、山も水も生きているだけではなく、魂(精神)を持っているという感覚は農業が狩猟採集の時代から引き継ぎ、さらに深めてきたものではないでしょうか。そこで私はアニミズムを「万物有魂感」と訳しています。』とあります。
日本には古くから八百万(やおよろず)の神がいて、日常生活で使われている道具にすら魂が宿ると考えられてきました。針供養の慣習や、妖怪などもその一つです。
問5『ところが現代では生きものの生や命まで、科学的に解析し、操作できるという考え方が強くなっています。蛙を見て「わっ、かわいい」と言うよりも、「それはトノサマガエルで、絶滅危惧種ⅠB類です」と言う方が科学的かもしれません。これでは生きものとの情が通わなくなっていくでしょう。』の部分に書いてあります。
問6「そういう」は指示語なので、多くの場合は前の部分に書いてあります。『人間がえらそうに技術を行使するのではなく、稲を主役に立たせて、人間は受け身になって耳を傾けなさい。そうするなら、稲という生きもののもっと深いところまで感じることができるよ。』の部分から考えましょう。間違いの理由は、1人間の技術で、2人間の考えにそって、4自己の内面性の成長を目指そう。
問7前後の段落に『わが家の米を食べるときには、田んぼに通ってその稲の手入れをした記憶が甦ります。田んぼの風景が目の前に広がり、夏の涼しい風が思い出されます。我が子のように育てた米ですから、おいしく感じるはずです。』『みんな田畑で、私たちと一緒に、生きものだった時を過ごして』とあります。自分で大切に育てた食べ物は、育てる苦労や喜びもあるので、よりおいしく感じられるのです。奥さんの言葉なので「私たち夫婦の手によって」とできます。
問8食べ物も工業製品と同じように『「中身がよければ、どこでとれたものでもいいんです」と言われ』るようになってしまいました。
問94ページの前の方に『あなたが生きものを好きなのは、生きものの中に通い合うものを感じるからなのです。これこそ、アニミズムの正体なのではないでしょうか。』とあります。
問10間違っている選択肢の理由を考えてみましょう。
1現在の理知的な見方ではたましいの存在を考えていません。
2稲の状態を科学的に観察、分析するのではなく、アニミズムの考え方で稲の声を聞くことが大切だと主張していました。
3目隠しをするとおいしさを感じる確率は50%に近づきますが、米に対する物語が消えるからではなく、どちらが自分の作った米なのかがわからなくなるからです。間違えて選んでしまった米でも「自分の作った米はおいしい。」と思っていることでしょう。
このタイプの問題を解くときには、選択肢の間違っている部分に線を引きながら読むと、正しい答えを見つけやすくなります。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
これからも頑張ってわかりやすい解説を書いていきます。
受験生の皆さんも問題の文章を繰り返し読んで読解力を身につけてください。
合格をお祈りします!
オンラインで個別指導もやっています。
是非、お問い合わせください。
現在、英検1級に挑戦中で、不合格体験記を書いています。
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