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三輪田学園中学国語2024年度第1回午後(大問二)とってもわかりやすい中学入試過去問の解説

中学受験国語の成功の極意は、
①できるだけたくさんの過去問を解いて、
②正解の理由をよく理解して、
③何度も読み返して復習することです。
間違えた問題は、本文の正解の理由になる部分に色をつけると効果的です。色鉛筆で問題ごとに色を変えてみてください。

※この解説は保護者の方が声に出して読んでいただけると、生徒さんの理解が格段に深くなります。

文化人類学者で元京大総長の山極壽一先生の著作からの出題です。
山極先生はゴリラの専門家です。

問1Ⅰもともとは、君(君主、一番えらい人)が、臨(上に立つこと)で、強く大きな力で他の人たちを支配することです。
仕方がないけれど我慢して受け入れること。
競争している相手と同じくらいの力のこと。
人や物事があるのに、まるでないように軽くあつかわれること。

問2A「現実の世界の自分より、スマホの中にいる自分の方がリアリティをもつものになってしまう可能性」があることの理由が続きます。
B「人間は他者とのつながりを拡大するように進化してきた」( B )「ICTやAIは個人を拡張する方向にすすんで」いる。他者と個人で反対の意味になっています。
C「世界のあらゆるものが数値化されること」の具体的な例として中国の話が続きます。
D「その点数が近い人同士は相性がいい」ことと、「自分より点数の高い人を友だちとして選んだ方が自分の利益になる」という考え方を、同じような価値観の例として並べています。

問3すぐ後ろに「おそらく地球規模の寒冷・乾燥化が起こり、それによって熱帯雨林が分断され、そこで暮らしていた動物たちはサバンナに出て行くか、森が残る山に登るか、低地に散在する熱帯雨林に残るかの選択を迫られたのでしょう。」とあります。

問4「数が多ければ、一人が狙われる確率はひくくなるし、防衛力も増します。危険を察知する目がたくさんあれば、敵の発見効率も高まります。」ゾウと同じように「人間も危機から自分の命、そして仲間の命を守るために、集団の規模を大きくしなければなりませんでした。」この部分から答えをまとめます。

問5「言葉ではなく、身体の同調だけで、まるで一つの生き物のように動ける集団の大きさ」が10人~20人でした。
食料とする動物をつかまえるためには目で合図をおくるだけで理解しあえることが大切です。

問6狩猟採集生活では「天の恵みである自然の食物を探しながら移動生活」をして「限られた食料をみんなで分け合い、平等関係を保って極力し合」っていました。
まだ稲作や牧畜がないので、協力して狩りをしたり食べ物を集めていました。

問7ア一日が千年(秋が千回も過ぎたくらい)のように長く感じられること。
喜んだり怒ったり哀(かな)しんだり楽しかったり、人間が持っているいろいろな気持ちのこと。
毎日毎月いつもいつも絶え間なく進歩し続けること。
晴れの日は畑を耕し、雨の日は家で本を読む。文学好きな農家の人の文化的な暮らしのこと。

問8技術の進歩と人間の脳の進化の違いに気づいていないことです。「インターネットを通じて人数は劇的に増えたのに、人間が安定的な信頼関係を保てる集団のサイズ、信頼できる仲間の数は150人規模のままだということです。テクノロジーが発達して、見知らぬ大勢の人たちとつながれるようになった人間は、そのことに気づかず、AIを駆使すればどんどん集団規模は拡大できるという幻想に取り憑かれている。」の部分をまとめます。

問9人間は言葉をもったことで集団のサイズを大きくできました。「しかし、言葉で表現できるものはごく一部にすぎず、言葉だけで信頼関係をつくることはできません。だから、頭の中では言葉を通じて仲間とつながっていても、身体がつながっている感覚が得られない。」とあります。
同じ時間を過ごし、同じことを経験していなければ、信頼関係を築くのが難しいということです。

問10なかなか自分の思い通りにならない現実の世界よりも、「面白くなければやめればいいし、振り出しに戻って繰り返すことだってできる」スマホの世界にばかりいたくなってしまうことです。

問11「世界のあらゆるものが数値化されることによって相対的に評価され」て「人間の点数化」をして「点数を基準に友達選びをする」とあります。

問12「人間と人間の出会いや関係は、決して予測できるものではなく」いろいろな出来事によって「新たな関係が生まれたり」「その関係が壊れたり」するからこそ「人間同士の関係は面白い」のに、それを見失ってしまい、数値にとらわれ「感情を情報として理解するように」なってしまっているから。
線10の前後を少し広めに読み返すといいでしょう。

問13「人間はどんどん分析的になり、すべてを情報化しなくては気が済まなく」なりましたが、それは「表面的な情報」にしかなりません。そして「情報化するということは、わからないことを無視するということ」でもあり、その結果「逆にバカになって」しまっているのです。
情報化してよくわかったつもりになったことで、わからないことはそのままにしているのですね。

問14「理解する」とは『わけを知ること』です。「ただ了解する」とは『ただわかる』ことで、理由がはっきりとわからなくても、「相手の気持ちがわかる」こと。
暗黙の了解(言葉にしなくてもわかること)という言葉もあります。

問15「五感」見る、聞く、においをかぐ、味わう、触れるの五つの感覚のことです。人と付き合うときには、姿を直接見て、話を聞き、お互いに触れ合うことができる近さでつながりを持つことが大切だということです。
子どものころは兄弟や友達のシャツの匂いをかいだだけで誰のシャツなのかがわかるそうですね。

問16①「共同体がもつ文化」には、「同じような服を着たり、同じテーブルを囲んで食事をしたり、同じような歌を歌ったり、同じような作法を共有」して、身体を同調させて信頼関係をつくり上げる働きがあります。
同じ4ページの上段に「信頼は、こうした継続的な同調作用がなければつくれません。」とあります。
「自分のやっていることを他者に認めてもらいたい、注目してもらいたいという願望」を満たすために「インターネット上で必死に自己実現を図ろうと」しているのですね。

問17情報技術の発達によって生活は便利になり、多くの人とつながることができるようになりました。でも、直接人とふれあい感じることで人とつながることができる、人間の本来の信頼関係の築きかたが失われてしまっている。本当の意味で人とつながることができずに「つらい状況にも陥っている」のではないかと問題を投げかけています。
「文化人類学」とは世界各地のさまざまな社会や地域で日常的に行われている文化的な活動や生活を詳しく調査して研究する学問のことです。昔の人類の集団の大きさがどのように大きくなってきたのかについて本文に書かれています。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。
これからも頑張ってわかりやすい解説を書いていきます。
受験生の皆さんも問題の文章を繰り返し読んで読解力を身につけてください。
合格をお祈りします!

オンラインで個別指導もやっています。
是非、お問い合わせください。

現在、英検1級に挑戦中で、不合格体験記を書いています。


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