所感『スピノザの診察室』水鈴社 1 河江洋臣 2024年5月3日 09:28 夏川草介スピノザの診察室水鈴社スピノザ哲学を基盤とした医療の世界の話、この世界が現実に存在してほしい。生成AIといった技術の進歩は「人生」を豊かにするためかもしれないが、無意識に「健常者の人生」に偏りすぎてないか?技術進歩はむしろ弱・老・病・死者の人生(をも、否)こそ、豊かにしてほしい病気が治ることが幸福だという考え方では、どうしても行き詰まることがある。つまり病気が治らない人はみんな不幸なままなのかとね。治らない病気の人や、余命が限られている人が、幸せに日々を過ごすことはできないのかp151たとえ病が治らなくても、仮に残された時間が短くても、人は幸せに過ごすことができるp151我々にできることは、せいぜい襲い掛かる津波から走って逃げることや、どこまで効くかもわからない抗がん剤を点滴することだけれど、それさえ、うまくいかないのが現実だろう。そうやって突き詰めていけば、人間が自分の意志でできることなんて、ほとんどないことに気が付く。つまり人間は、世界という決められた枠組みの中で、ただ流木のように流されている無力な存在というわけだp217こんな希望のない宿命論みたいなものを提示しながら、スピノザの面白いところは、人間の努力というものを肯定した点にある。すべてが決まっているのなら、努力なんて意味がないはずなのに、彼は言うんだ。だからこそ努力が必要だとp218願ってもどうにもならないことが、世界には溢れている。意志や祈りや願いでは、世界は変えられない。そのことは、絶望なのではなく、希望なのであるp218-219野心はなくても矜持はあるp56 ダウンロード copy #スピノザの診察室 1 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート