出張回想録Vol.6
いきなり入国拒否?
アンマン空港/ヨルダンを夕方に出発し、一路サウジアラビアのジッタ、キング・アブドゥルアズィーズ国際空港に着いたのは時差なしの20時頃、機内で記入した入国カードとパスポートを最初の難所であるイミグレーション(入国審査)に笑顔で提出すると、予期しないトラブルが発生!
入国カードの宗教欄に“No religion”(無宗教)と記載したのが引っかかり、「入国できない」と言われました。そもそも入国カードに宗教欄がある国自体が少ないのですが!サウジでは、厳格なイスラム教の観点からすると無宗教の人間はイスラムの地に足を踏み入れることは許さない!との考えがこの当時あり、「宗教の持たぬ物は人にあらず」なのでした。
ちなみにヨルダン入国時にも宗教欄があったので無宗教と記載しましたが問題ナシでした。
やはり、恐るべし絶対君主制国家サウジアラビア王国!一筋縄では、いきません!
中東各国の入国審査時のイジワルな質問に対しては嘘偽りなく正直に答えるようにと、キツネ目の上司に口すっぱく言われていたので、普段から困った時の神頼みをするぐらいの信仰心が余りない私は素直に、“無宗教”と書いたのが、“OUT”でした。
先に言ってよね、師匠!
このままではマジで入国が出来ないみたいですので、必死に仏壇の〇〇宗とかの文字を思い出そうとしましたが全く出てこず、取り敢えず、“Buddhism”(仏教)と大声で答えると、入国審査官は「はじめから素直に書け!手間をかけるな!」的な暖かい言葉と冷たい目線で、渋々入国証印のスタンプをバンっと力強くパスポートに押してくれました。
とりあえず「よかった〜」
現在は分かりませんが、この頃の中近東やアフリカ諸国では、入国審査や持ち物検査時にパスポートに1ドル紙幣を挟んで出すと、何も言わずに入国スタンプを押してくれたりカバンを開けないで入れる国が多かったです。でも、厳格なサウジに袖の下は通じません。
そんなこんなで時間を要し出口ゲートに辿り着くと、ヨルダンでの商いと同じパートナーであるM商社のジッタ事務所長である小太りのOさんが出迎えてくれました。
O所長に事情を伝えると「イミグレの審査官によって違うのよね。たまたまた悪い審査官に当たったんだよ」と軽く言われました。M商社のO所長とは、日本で2・3度会っており、とてもフランクないい方でまた、キツネ目の上司をこよなく崇拝しているひとりで、私の顔を見るなり一声が「S師匠はお元気ですか?」でした。
ヨルダンではローカルスタッフが出迎えてくれましたが、サウジでは取引額がヨルダンに比べて10倍程デカく、我が社のサウジでの商談にも深く絡んでいる関係もあり、所長自らの出迎えとなりました。
どこの商社・企業も似たり寄ったり同じだと思いますが、会社規模・売上額・将来性・役職等により、来客者アテンドランクが「S・A・B・C‥」とあり、それによって対応が「松竹梅福禄寿雪月花‥」と変わってきます。さしずめサウジでの私のランクは、普通に考えると“D”「福」くらいですが、キツネ目の上司を崇拝する所長なので、“A”「竹」並のアテンドみたいです。
ご参考:
MMG(メッチャ・ムッチャ・ゴッツイ)空港
サウジで降り立った空港がジッタのキング・アブドゥルアズィーズ国際空港、サウジ初代国王にちなんで命名されたスケールがハンパでない国際空港、さすがオイルマネーのタマモノ!ジッダ(英読みではジェッダ)は、サウジ西部のマッカ州にある紅海に望む首都のリヤドに次ぐ大都市。イスラム教徒の巡礼で有名な聖地ハッジ(日本ではメッカの方がメジャーです)の最寄の大都市であるため巡礼時期のみに使用されるハッジ・ターミナル(この当時、世界で一番デカい空港でした)や巨大ムスク(イスラム教の巡礼堂)が併設されてあり、メッカへの巡礼時にハッジ・ターミナルを使用出来る航空会社もイスラム圏の航空会社に限定されていました。多分、世界中のどのエアターミナルと比べても類の見ない、もっともアーティスチックな空港のひとつだと思います。
つづく、、、、、、
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