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出張回想録外伝⑤実録海外出張回想録のスピンオフ編です!
Free spirit!自由奔放なボーさん
成田空港でフランス人詐欺師ボーさんを出迎えに行くと、もうひとり彼のネームプレートを持ちゲートで出迎える鳥の巣頭の中年男性がいました。
話しかけるとボーさんが取扱う胡散臭いオーガニック・コスメ商品を日本で販売している会社の担当者でした。(やはりボーさんと同じく見た目が怪しい!)
話を聞くとボーさんは幾度となく日本に来日しているようで、初来日は1976年(12年前)とのことでした。
やはり、詐欺師!
モロッコでは、いかにも日本に初めて行くみたいな話しぶりでしたが?
暫くすると、ボーさんが両手を広げながら出国ゲートから飛び出してきました。
昨年より更にジェンダーレスとなった彼と熱き抱擁を終え、南仏プロヴァンス定番のLUバタービスケットの手土産を頂き、コスメ担当者が運転する車で新宿のボーさん宿泊先の安ホテルへ直行しました。
車中、詐欺師ボーさんから今回は日本に2泊し韓国・タイ・インドネシアを3週間外遊し帰国するとのことでした。
相変わらずの自由人ボーさん!
彼に当てはまるピッタリの言葉は、
「Free spirit“自由奔放”」
彼との出会いの地がサハラだったこともあり、似ても似つかないのですが広大なサハラ砂漠を気ままに彷徨う「砂漠の詩人アルチュール・ランボー」と被ります。
※80年代サントリー・ロイヤルCM「詩人ランボー」↓
私は仕事の都合で今夜しかボーさんと付き合うことが出来ないので、ホテルチェックイン後即3人でタクシーを飛ばし大人の社交場六本木へと繰り出しました。以前会社オーナー一族の上司に連れて行ってもらった高級しゃぶしゃぶ屋で給料一ヶ月分の和牛とワインを満喫しました。
サハラキャラバン隊で過ごしたみんなとの想い出話で盛り上がり、瞬く間に彼との時間は過ぎていきました。彼はモロッコ滞在後直ぐにキャラバン隊メンバー全員の国々、スペイン・西ドイツ・イギリスを訪問し夜な夜なお酒を酌み交わし、今回の私との再会で完結するとのことでした。
さすが、自由人ボーさん!
とにかく行動力がハンパでない!
「彼の取扱うオーガニック・コスメ商品はパリのお土産として、日本でも口コミで徐々に人気が出てきている!」と鳥の巣頭の担当者の方が熱く語ってました。
(ボーさんに騙されている!)
サハラに向かうバスの中で、彼の両手で温められ、溶かされ、私の手を包み込むように塗られたシアバターは、確かに何とも言えないしっとり感と潤い保湿力があり、人気が出てきていると言う話しもまんざら嘘では無いかもしれません。欧米人と肌質が異なる日本人向けに少しアレンジすればけっこう売れるのかなと私も徐々に騙されてきました。
◾️ボーさんの重い思い
彼がサハラで茫漠と続く砂漠を見つめながらポツリポツリと思いを語ってました。
「ブルキナファソの神木シアから抽出したシアバターを女性の自立を助ける値段で買い取り自然派化粧品の柱とする」「世界でシアバターがたくさん売れるとシア原産国ブルキナファソ・西アフリカの国々を貧困から救える!」「そしていつまでも生産者を守り、共に歩む!」
たまたま仕事でアフリカ担当となり、
たまたまモロッコでサハラキャラバンで一緒になり、またまた日本で再開し、不思議な縁で繋がったボーさんの変わらぬ思いの実現に向けて日本での販売に協力はしたいのですが、一介の微力なサラリーマンの私ではどうする事も出来ず、なんとも言えないジレンマに陥りました。
◾️シアバターの課題と対策
持ち運び便利な携帯チューブ式の追加、
温めなくても塗れる溶けやすさ、
べたっとした油感と香り、
ボーさん得意のエッセンシャルオイルとの調合、自然由来のオーガニックを前面に出す、日本の気候に合った保湿力等々を検討してはどうかなどなど、彼の部屋で朝方近くまでお酒を飲みながら3人で四方山話をしました。
フランス人詐欺師のボーさんと早朝別れを告げホテルを後にしました。アッという間の彼とのひと時でしたが、いつまでも心地良い彼の夢の続きを聞いていたかったです。やはり彼は人の心を盗む天才詐欺師でした。
ボーさんからは、それ以降も何度か来日の際に電話を貰ったのですが、タイミングが合わずに会うことが出来ず、1989年春に東京で会ったのが最後となりました。
その後、しばらく日本では限られたルートでの自然派コスメ商品の販売をしていましたが、1996年に東京・銀座に日本初となる店舗での出店をし、1999年に表参道交差点北青山に第一号店を開店し本格的に日本での展開をスタートしました。そして多くの日本人に今もプロヴァンスの香りを届けてくれています。
ボーさんことオリヴィエ・ボーサン、
彼の信念である「自然と人への敬愛」、強い信念とTrue Storyと共にブランドは大きく成長しました。
◾️エピローグ
今でもサハラキャラバンで彼が言っていた言葉を思い出します。
「これから向かうサハラに水以外に何かひとつだけ持っていくことができるなら、君は何を持っていく?」
私が「食料!」と答えると、期待通りの回答だったのか彼は子供のような満面の笑みを浮かべ「違う、違う、砂漠の民ベルベル人はみんなこう答えるよ、“シアバターと!”」詐欺師ボーさんに敬意を込めて
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鳥ノ巣頭の担当者と私
しゃぶしゃぶ/六本木
外伝⑥へとつづく、、、、、