
出張回想録外伝④ 実録海外出張回想録のスピンオフ編です!“フランスの詐欺師来日”
紀尾井町・清水谷公園横の事務所で、ホテルニューオータニ展望台“ストローハット”の明かりが消えるのを眺めながら、深夜近くまでオーダー・コントラクト(注文契約書)をパチパチと何度も何度も間違いながら手動タイプライターで作成していると自席の電話が鳴りました。
この当時、商社や海外とビジネスを行う会社は、相手国との時差の関係もあり夜遅くまで働くのは珍しくなく、最終電車での帰宅も時々ありました。フロアが異なる国内営業の連中がいつも夜の街に早々と消えて行くのが、とても羨ましく感じていました。
当社の海外営業部門では、北米・南米・豪州が1課、欧州・中近東・アフリカが2課、アジア・アセアンが3課にエリア分されており、ダイレクトに担当国とやり取り出来る時間帯をメインに仕事をしたりしなかったりでした。私の所属する2課は取引先の時差がマイナス8時間位の国が多く、電話でのやり取りの多い時間帯18時〜22時頃がピークとなり、22時を過ぎると1課の電話が多くなり私の担当国は徐々に少なくなってきます。

デスクの鳴り響く電話に出るといきなり「Salut, mon pote ! (よう、相棒!)と馴れ馴れしい声が、「Qui est-ce? (だれ?)」と聞くと、ナナナナなんと昨年モロッコのサハラキャラバンで一緒になったフランス人の詐欺師“オリヴェエ・ボーサン”でした。
そう言えば、日本に胡散臭いコスメを売りたいとサハラ砂漠の沈む夕陽を見ながら訪日の際は会おうと約束したことを思い出しました。彼からは「来週末東京に行くのでよろしく!」と相変わらずの軽さでの依頼でした。
「メルズーガ(サハラ砂漠)で交わした約束は必ず守るべし!」砂漠の遊牧民ベドウィンの教え通り、私はモロッコでの彼との約束を果たすべく、翌週成田空港まで出迎えに行きました。
外伝⑤へとつづく、、、、