父と8歳息子の東南アジア&アフリカ旅行~マサイ・マラ国立保護区へ③~Vol.16
ここマサイ・マラ国立保護区にあるMara Siria Luxuary Tented Camp には3泊した。
6:30頃に朝食をとった後、国立保護区へ向かい動物を探す。
ランチはホテルが用意してくれたものを、保護区の外れへ行って外で食べる。
パン・サラダ・肉 or 魚料理・ジュースといったシンプルだが充分満足出来るものを、ランチBOXで用意してくれている。全て美味しかった。
ある日ジョセフが「俺のお気に入りの場所で食べよう」と言って、セレンゲティ国立公園が見下ろせる、ケニアとタンザニアの国境まで連れて行ってくれた。車もなく静かで広大な公園が見下ろせるその場所で、ボンネットに食料を置き僕らは昼食を食べた。
最高に気持ちいい。
眼下には広大なセレンゲティ国立公園が広がる。
セレンゲティ国立公園というのは、タンザニア北部キリマンジャロの麓に広がる広大なサバンナである。14,763k㎡ もあり、セレンゲティとはマサイ語で「果てしなく広がる草原」を意味する。
ここではついでにタンザニアに密入国させてもらった。
国境といっても草原に置かれた石碑が目印で置いてあるのみ。
何をもってここに定められたのかも分からない。
分かるのはヨーロッパ人が決めたということだけだ。
ジョセフがスマホで音楽をかける。
Jumbo ! Jumbo buawana ! 〜 という歌詞から始まるこの歌は、大まかに言うと「ケニアは良いトコ、大丈夫だから皆おいで!」という内容。
ケニアへ行った事がある人は皆知っているであろう曲だ。
https://www.youtube.com/watch?v=vUrVeRGo5IM
歌に出てくる「Hakuna Matata」は、ケニアの母語であるスワヒリ語で「大丈夫」という意味で、映画のライオンキングで出てくるのでその単語を知っている人も多いと思う。
この歌は耳に残るリズムとメロディーで、ジョセフに歌詞を習いながら息子と何度も歌った。息子は僕よりも早く歌詞を覚えた。子供は吸収力が早いというのを、間近で見せつけられる。
帰国してからも時々この歌を聴く。
ケニアでの光景やジョセフの顔が目に浮かび、懐かしい気持ちになる。
「アフリカの水を飲んだものはアフリカに帰る」と言う。
僕と息子はまたアフリカへ行くのだろうか。
息子はいつまで一緒に行ってくれるのだろうか。
当たり前だが、世界には「Hakuna Matata」の他にNo problem・Tida Apa Apa・没問題・マイペンライ・ケンチャナヨ...など「大丈夫」「何とかなるよ」「気にしないで」というこの類の言葉があり、外国で割と最初の方に聞かされる単語だ。
でも、信じてはいけない。
バックパッカー時代、インド人の「ノープロブレム」は大体「プロブレム」だった。
前職では、中国の工場の担当者が言う「没問題」は最後まで信じなかった。
決してインド人や中国人だけが悪いという訳ではない。
「納期は大丈夫っていうから、発注したのに何で遅れるんですか!?」
日本人同士でも実に良く聞く会話である。
大丈夫なんて保証はない。先の事なんて分からない。
何が起こるか分からない。
僕は人生において20代まで「自分の力で何とかする、何とかできる」という気持ちがとても強かった。大抵の事は努力で叶えられると思っていた。
でも20代の最後の年、ある日突然奥さんが亡くなった。
世の中には、自分の力ではどうしようも出来ない事が突然起こるんだと身をもって感じた。
頭では分かっていても、知識として知っていても、自分が張本人となって体験するという事は全然違う。
だから「身をもって体験する」という言葉が生まれたんだろう。
理解することと経験する事は違う。
親に出来る事は子供にたくさんの経験をさせることだ。