S・G、V・Cと来たらD・Wについて書かねばなるまい。Dave Weckl氏。
『なめらか帝王』
それが、僕が勝手に名付けたニックネームである。
Dave Weckl
そう、ドラム界では
この、Steve Gadd , Vinnie Colaiuta , Dave Weckl の3人による Buddy Rich Memorial Concert (1989年の演奏。 Dave は29歳くらい!若いぃぃぃぃぃ!!!!)は伝説のコンサートとして未だに世界中で語り草になっている。
セッティングを見ればわかるが、Vinnie も Dave もドラム神・Steve Gadd の洗礼を受けまくっている。2フロントタム+2フロアポジションラックタム。
活躍する音楽フィールドも3人ともかなりかぶっており、Steve に続く世代の Vinnie 、さらにそれに続く世代の Dave と、3世代フュージョンドラミングスターがそろい踏みである。
漫画に例えるなら、鳥山明氏、尾田栄一郎氏、岸本斉史が同じステージに立って、一回限りの競作やりま~すといったところか。
パスタなら、ミートソースとボロネーゼとナポリタンのバトルロイヤルという感じか。
麺なら、うどん、ひやむぎ、そうめん、の総選挙だろうか。
まぁ、それくらい夢の競演だったのである。
音楽は、勝負ではない、、、ということは理解しつつも、、、あえてドラムバトルという概念を用いるならば、、、この動画を見て頂ければわかるが、観客の心はほとんど Steve と Colaiuta の2人に持ってかれている(僕には特にColaiuta の方がテクニカルドラミングファンからの声援が大きいように感じるが。)。
Dave は2人にかなりコテンパンにやられた感じである。
Steve の圧倒的音圧とシグネイチャーフレーズの連発で、3人から完全にアタマひとつ飛び出たところで演奏している。
Vinnie は Dave の繰り出したフレーズを10倍難解にしたようなもので対抗し、半沢直樹状態。出音もパッツンパッツンのバッキンバッキンでヤバい。
Dave はこの2人の圧倒的個性と実力の前に、存在感が発揮しきれなかった。
(いや、やってることメチャメチャカッコイイし、超テクニカルだし、いい演奏だと本気で思ってますよ!!!イトウは Dave みたいに叩けるのかって言われたら叩けないよ!!!あくまで僕の主観的感想としてそうなるという話ね。)
どこまで本当かわからないが、風の噂によると、Dave はこのドラム共演で相当ショックを受けたらしく舞台裏ではがっくり落ち込んでいたらしい。。。
、、、しかし、へこたれないのがまさに Dave 。
彼の選んだ未来は、
『さて、もっと練習するか!(ニッコリ)』
であった。
もともとこの演奏時(29歳)においても相当なテクニシャンとして認知されていたが、さらに Dave は修練を重ね、卓越したスティックワークはさらに磨きがかかり、加えて膨大な量の手足のコンビネーションがインストールされた。
90年代前半には、そのテクニカル具合はすさまじいレベルに到達し、全世界のドラマーから「テクニカルドラマーといえば Dave Weckl。Dave Weckl といえばテクニカル。」という認識がされる一方、人間的なエモーショナルさに欠けるみたいに批評されることもしばしばあった。
しかし、90年代後半には、謎多き伝説のドラムティーチャー・Freddie Gruber に師事(※)し、その演奏の滑らかさは極限に達し、現代で言うところのいわゆる人間的「エモさ」も獲得し、新生 Dave Weckl 誕生(オギャー)と当時のドラムキッズを喜びと好奇で釘付けにした。
(※世界トップクラスのドラマーがコーチについて習うというのが当たり前というのがアメリカらしいというかなんというか。当時の日本だと、プロというのはその道の一流なのだから誰かに師事するなんて二流の証だ!みたいな認識だったらしく、日本のプロドラマーでも誰かコーチに師事するのは公言するのがはばかられたらしい。オリンピック出場選手にコーチをつけるのはおかしい!っていうのと同じくらいおかしい話だね。)
そして、彼は、
『なめらか帝王』
の称号を得た(※イトウが勝手に授与した。心の中で。)。
Freddie 氏に師事する前後でくっきり印象が分かれるが、僕がはじめて Dave Weckl の演奏を聴いたのはこの動画だ。
1999年のモントルー・ジャズフェスでの演奏。
この動画には明記されていないが、この演奏はシンバルメーカー Zildjain の主催するドラムフェス「Zildjian Day」との共催だったと思う(僕の記憶が確かなら。)。
なめらかでしょ。
な め ら か で し ょ 。
な~~め~~ら~~か~~で~~し~~ょ~~。
動きがヌルってるよね(誉め言葉)。
淀みなく次から次へと流しそうめんのごとく流れて行く、Dave らしい明るいドラムサウンド。
同じ滑らかという言葉でも、Vinnie は「超絶高速餅つき」だとしたら、Weckl は「エンドレス流しそうめん」である。
あーーーーー時間がなくなったので、今日はここまで!!!!!!!
ドシュドシュ