第5回 オール電化?発災時に停電したらアウトです
連載企画「震災から10年~現在地と着地点~」。第5回目は、「オール電化?発災したらアウトです」と題してお送りする。電気を使うのが当たり前になったこの時代、災害が起き停電してしまったら生活に影響が出てしまう脆さがある。オール電化の盲点と対策について述べていく。
オール電化の弱点
大規模災害が発生した際一番懸念するのは、停電・断水ではないだろうか。特に電気に依存している今の時代、電気が使えなくなったらスマホの充電、お風呂の焚きだしや追い焚きなど、あらゆる場面で使えなくなるのはかなり痛手になる。
近年では、夜間時間帯に使用した際の電気料金の値下げが進んだことで、オール電化を検討をしている家庭が増加しているとのこと。ところが、オール電化にした家庭が、災害によって停電となってしまったら、生活への大きな影響は容易に想像つく。個人的には、災害で停電したことを考慮すると、オール電化にするのは止めた方がいいに一票。たとえ停電が、1~2日で復旧したとしてもだ。
停電が長期化する可能性も
実際のところ、インフラの復旧が早いのは、電気→水道→ガスの順であることは、阪神淡路大震災や新潟県中越地震で証明されている。これを聞くと「別にオール電化でもいいじゃないか」といった声があがると思う。しかし、電気の復旧が早いからといって、必ずしも3日以内で復旧するとは限らない。それを決定ずける災害が、最近起きてしまったからだ。記憶に新しい、2019年9月に千葉県を中心に甚大な被害が出た、台風15号(通称:房総半島台風)である。
県内だけで最大64万戸が停電し、千葉県全域で停電が復旧するまでに、3週間近くも時間を要した。なお水道は、25日までに復旧し、電気よりも早かった。県内でも、早い段階で停電が解消した地域もあるが、君津市で送電線をつなぐ鉄柱が倒れてしまったため、停電が長期化してしまった。このように、被害の状況次第では、停電が長引いてしまうことが証明されてしまったのだ。電気を使う生活が当たり前の時代では、生死にかかわる問題である。
最低限用意するべきもの
オール電化へのデメリットばかり述べてしまったが、家庭環境それぞれなので、オール電化を検討している家庭はしていただいても全然問題ない。もちろん、デメリットを受け入れた前提として。
オール電化している家庭・していない家庭問わず、災害が多発している現状では、電気が使えなくなった時でも特に、予備電源や電気を使わない家電は個人や各家庭で備えるべきだと思う。最低限持つべきアイテムとしては2つ、1つ目が、スマホの充電器(モバイルバッテリー)だ。
生活必需品にもなっているスマートフォン。いまやスマホでいろいろな情報を手に入れている方も多いはず。災害時でもスマホが使えれば、家族や友人の安否確認はもちろん、最寄りの避難所を探したり、給水所はどこにあるかといった支援情報も見ることが可能だ。何が何でも、スマホの充電は切らさないよう1人1個は持っておきたい。買う際は、最低でも容量が5,000mAh(スマホ1回分の満タン充電)のものが望ましい。
2つ目が、カセットコンロだ。停電してお湯が沸かせないときは重宝される。カセットコンロに加え、カセットボンベを別途購入しないとならないため、大きい出費になってしまうのがつらいところ。しかし、冬場だと暖を取るにも活用できるので、あっても邪魔にはならないし、停電時にはとても助かるアイテムだと思う。買う際のポイントとして、連続燃焼時間が60分を超えるものがよいだろう。燃焼時間が長いほど、調理から温め直しまで幅広く使えるからだ。予算に余裕のある方はぜひご参考に。
電気に依存している私たちは、停電してしまうと生活への影響は避けられない。ここは考え方を変えて、電気に頼らないで生きる術を身に付けるべきだと思う。その術を発災前に知り実践できるようになれば、仮にインフラが寸断されたとしても復旧するまでの間、余裕をもって生活を送ることができるはずだ。
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