DDPって何? 〜 CDプレスマスター 〜
今回は、「DDPって何?」っていうお話です。
DDPとは「Disc Description Protocol
(ディスク・ディスクリプション・プロトコル)」
の略称ですが、
これが、よくわからないと、時々聞かれることがあるので、
簡単ですが私がわかる範囲で解説しますね。
日本レコード協会のホームページには
「CD用マスタDDPファイル互換性ガイドライン」
というものがありますが、これを読んでも
はっきり言って、なんのことやら、まったく理解出来ないと思います。
本当に簡単に説明してしまえば、
「データファイル形式の、CDプレス用マスターの納品フォーマット」
という一言で済んでしまうようなものですが、
まぁ、記録媒体に依存しないファイル形式ですので、
日本では、DVD-Rなどに書き込んで納品という形が多いですが、
そのままデータ納品も可能ですので、
プレス会社によってはデータでお渡ししちゃいます。
つまり、記録媒体を使わずに、データそのものをプレスに送ったり、
レコード会社やプロダクションなどでは、サーバーなどで管理するとか、
そういうことが可能なのです。
では、DDPファイルって、実際にどのようなファイルなの?って、
そのものを見たことがなければ、闇中のもの、
いったいどんなものなのさっ?って思いますよね。
DDPファイルはWavとか、AIFF、MP3とか、
そういったファイルとは違い、
一つのフォルダの中に幾つかのファイルが生成される、
ファイルセットなのです。
そして、DDPには以下の4つのパートを含まなければならない、、、
ということになっています。
1、音楽イメージ (.DATファイル)
2,DDP識別子 (DDPID)
3,DDPストリーム記述子 (DDPMS)
4,サブコード記述子 (PQDESCR)
これらの細かい説明がまた難しいところなのですが、
音楽イメージというのは、曲間を含めた一つの作品の
音ファイルそのものというように理解してください。
これには、PQやPOS、ISRCなどの情報はまったく入っていなく、
音だけのファイルです。
以下、DDPID、DDPMS、PQDESCRは、
DDPのVer.(現在は、ほぼVer.2.0)やPOS、ISRC、PQコードなどの
情報を含むデータファイルということになります。
最低、これだけのデータが入っていなければならないのですが、
実は、DDPファイルは、作成するソフトウェアによって、
出来上がるファイルの数が違うのです。
他に多いのが、「CHECKSUM」。
これは、DDPを作成した時に、ソフトウェアで検証作業をする時に、
「問題なく作成できましたよ」というファイルになるようですね。
それから、次いで多いのが「TEXT.BIN」
これは、テキスト情報になるのですが、
所謂、「CD TEXT」と呼ばれるもので、最近のソフトウェアは、
CD TEXT対応というものが多く、そこにテキスト情報を入れてしまう人が
結構多いようですね。
マスタリングエンジニアは、実は、CD TEXTはトラブル防止のため、
「プレス工場に直接テキスト情報を伝えて、入れてもらってください」
という対応を取ります。
昨今、安価なDDPを作成出来るマスタリングソフトも多く、
マスタリング予算が取れない場合には、
レコーディングエンジニアさんや、アーティストさん自ら、
プレスマスターを作れるようになり、
テキスト情報を入れたためにトラブルが発生したりすることもあり、
どういうトラブルかというと、大抵は、日本語を入れてしまうことによるものですね。所謂2バイト文字です。
CD TEXTは、2バイト文字に対応していないので、
ソフトウェアだけ見ていると日本語がそのまま入っているように見えるのですが、
実際には文字化けしてしまったりしていて、それに気づかず、
工場に納品してしまい、トラブルになります。
また、書き出したDDPファイルを読み込み出来ないDAWを使っている場合、
最終のチェックをしないままプレスに出すことになります。
(最近は、書き出ししか出来ないDAWはほとんどなくなったようですが、、、)
そうすると、書き出し時に何かトラブルが起こっていても
気がつかないままプレスに出すことになるので、
プレス後にトラブルに気が付くということになってしまいます。
DDPはファイルセットなので、Wavファイルなどとは違い、
誰でもパソコンがあれば聴くことが出来るものではありません。
DDPの読み込みが出来るDAW、ソフトウェアでないと聴くことが出来ません。
そして、機械は万能ではないので、パソコンやソフトウェアを完全に信用して、
最終チェックをしないと、結構ややこしいことになったりしますので、
要注意!!です。
マスタリングエンジニアは、その辺りをよくわかっていますから、
絶対に最後のチェックまで気を抜かないですね。
DDPの読み込みが出来ないソフトウェアを使っている場合は、
別途、読み込み可能なソフトウェアを使って、
PQの位置に間違いが起きていないかなどを含めて、
必ず最終チェックを行います。
DDPファイルを作成したら、こんな変なファイルが出来上がっちゃったんだけど、、、
なんて話も聞くことがありますが、ソフトウェアによって様々に出来上がる
ファイルに関して私も全てを正しく詳しく説明は出来ませんので、
自分の持っているDAWがどういうファイルセットを書き出すのかを
ちゃんと確認して、正しく書き出しが出来たことを確認の上、
1.必ず最終の検聴チェックをする、
2. CD-TEXTは入れない(特に2バイト文字、禁則文字は絶対に入れない)
は、必ず守ってください。
全聴チェックはとても大切です。
そして、Winns Masteringでは、マスタリング後に、
クライアント様へは、DDPファイルはデータで必ずお渡しして、
サーバーやストレージなどでのバックアップ、保管をお願いしています。
お渡ししてもDDPが展開出来るDAW、ソフトウェアがないと聴くことは出来ませんが、大切なマスターファイルです。
マスタリングスタジオでは、永遠に皆様のマスターファイルをお預かりすることは出来ません。
展開出来ないファイルであっても、ご自身の財産ですので、大切に保管をお願いします。
さて、今回は、とっても簡単な「DDPについての解説」でしたが、
大抵のページには、たぶん、ここまでの解説さえも載っていないと思いますので、
少しは参考にしていただけたのではないかと思います。
では、また。
http://winns-mastering.com/
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