だから、会って話したい。――『会って、話すこと。』刊行記念 田中泰延×今野良介トークイベント@青山ブックセンター
もう11月に入ったというのに、小走りに歩くとじんわり汗をかくような暖かさ。「数週間前は冬が来たと思うほど冷え込んだのになぁ」なんてぼんやり考えながら青山の大通りを歩いていると、長方形を規則正しく積み上げて三角形をつくったような国連大学が見えてきました。その横の道を抜けて、奥のエスカレーターをトトトと軽く降りていきます。
弾む息と心を小さく整えて通り抜けた自動ドアの先は、青山ブックセンター。着込み過ぎたヒートテックが、まるでこれからの時間への期待のように、セーターの下で火照っていました。
11月2日。9月に刊行した『会って、話すこと。』(ダイヤモンド社)の著者・田中泰延さんと、編集者・今野良介さんのトークイベント、その名も“「会話の悩み」を、会って話そう。”。やっと、やっと、開催です。
みなさん、こんにちは。廣瀬翼です。「つーちゃん」とか、「つーさん」とか呼ばれています。はじめましての方、よろしくお願いします。いつもましての方、ありがとうございます。
今日は「会話」のお話だから、少しだけ自己紹介しますね。大阪出身、東京在住。普段はwebコンテンツの編集をしています。よくTwitterにいて、最近はお会いする人に「Twitterの!」とか、「田中泰延さんとツイートで話してましたよね?」とか言われることが多くなってきました。あと先日、知人に「夜中にTwitterしてないで早く寝なさい!」と叱られました。
そんな私もリアルの場にだって存在していて、これまでは毎週末のように外出して、インプロ(即興芝居)のワークショップやトークイベントに足を運んでいました。でも、なかなかイベントごとが難しかった1年半。この日は、私にとっても久しぶりの、やっとの集まりです。
密を避けるため60名限定で、チケットは告知後すぐ、開催2週間前に完売。会場は一脚一脚の椅子の間に、十分なスペースが取られていました。それでも最初に思ったのが「わあ、椅子がいっぱいある! 人が集まれるんだ!」。それくらい、リアルのトークイベントが久しぶりで、ドキドキしていました。
開演時間が近づくにつれて続々と人が集まってきて、「本当にはじまるんだなぁ」と、こしょばい感覚が込み上げてきます。
そして、ついに19:00。さあ、みなさん、拍手でお迎えください! 会場後方から、田中泰延さんと今野良介さんの登場です!
【 二人のプロフィール 】
イベントは二部構成。第一部・泰延さんトーク、第二部・事前に参加者から集めた「会話の悩み」へ泰延さん今野さんが答えます。目次から読みたい箇所へ飛んで読んでくださいね。
泰延劇場、開幕。
止まない拍手と11月2日限定の特別スライド
会場いっぱいに広がる拍手に、「こんなに人生で拍手をもらうことないですよね。ありがとうございます」と泰延さん。今野さんも、聞こえるか聞こえないかの小さな声で「泣きそう」とつぶやきます。さらに泰延さんが「アクリル板があるので」とマスクを外すと、再び大きな拍手が。
開始一分もしないうちから、笑いと拍手が交互に起こる会場。それだけ、参加者も、そして泰延さんも今野さんも心待ちにしていたのだと実感します。
泰延さんの登壇するリアルイベントは、2020年3月を最後に約1年半ぶりだそう。そのときは約300人が参加したそうですが、今はそうもいきません。それでも、こうして同じ時間・空間に集まれるようになって、本当に良かった。
なんだか居住まい正してしまうほど、こちらまでグッとくるものがありました。少ししんみりジーンとしたところで、泰延さんがスライドを送りながらキリッと話しはじめます。
はじまったーーー! 泰延スライド芸!! 「今日は、骨伝導かな? 仮想通貨かな?」なんて思っていると……
おや? 11月2日限定版??
「1985年 阪神タイガース日本一」にはじまり、11月2日が誕生日の著名人4連発、「習字の日」「タイツの日」「死者の日(メキシコ)」と紹介が続きます。聞いている私、笑いながら、泣きそうになってきた。完全に今日のためだけのスライドの数々。本当に特別な日なんだ、今日は。
ちなみに、阪神タイガースが日本一に輝いた1985年11月2日、泰延さんは高校生だったそう。その頃、今野さんは……
15歳差だという泰延さんと今野さん。そんな二人の出会いは3年前。今野さんからのラブレターのようなメールがきっかけで、一冊の本を創り上げます。それが、2019年発売のベストセラー『読みたいことを、書けばいい。』。2021年、16万部突破に伴い、帯が新しくなりました。
追われるほうが、追うほうに。LOVEの矢印、逆転?
『読みたいことを、書けばいい。』がきっかけで「いろんな想い出があって」と、二人の想い出を語りはじめる泰延さん。そこで出てきたスライドが……
ちょっと泰延さん、自分で見せつけといて照れんといてください!笑
泰延さんの今野さんへの愛は、さらに続きます。
真っ直ぐに力説する泰延さん。愛が、溢れてる。好きが、止まらない。
最初に本を書いてほしいとラブコールを送ったのは今野さんだったのに、追われるほうだった泰延さんなのに、なんなら逃げまくってなかなか書かないでいたくらいなのに(参考note)。今では泰延さんから送る熱烈な愛。気がついたら、LOVEの矢印が逆転しちゃいましたね、泰延さん。
それだけ、この3年は二人にとって濃密で、一緒に本を創るというのはすごいことで。ずっと二人は真っ直ぐ向き合って、信頼しあって、話してきたんだろうなと思うと、うらやましいとかなんとかを通り越えて、愛おしく微笑ましくなってきます。
ここで、これまで真面目に頷いてきた今野さんが吹き出して、一言。
泰延さんのトークをただただ楽しんでいるようにも、ちょっと照れ隠しをしているようにも見えます。
この二人、一生推せるバディや。きっとマスクの下の私は、ちょっと気持ち悪いぐらいににやけていたに違いありません。マスクで良かった。
「行けたら、行く」 から考える、正直さと誠実さ
ここにきて急な自己紹介。しかも自己紹介スライド、数えてみたら10ページもありました。その内容は……今後もイベントがきっとあるので、そのときの楽しみに取っておいてくださいね。ここでは一番大切な情報だけ。
「これ、何がきっかけなんですか?」ときく今野さん。しかし始皇帝はにこやかに「即位しました」とだけ言ってスルー。始皇帝は気ままなのである。始皇帝はマイペースなのである。始皇帝にはきっかけなどなく、なるべくしてなったのである。そのまま続ける地球始皇帝。
なるほど、なるほど。ならば気合を入れ直そうと座り直した、そのとき。
ドキッ……。思い当たる、思い当たります、過去の自分の数々。私、急に具合が悪くなってきた気がする……。ああ、穴があったら隠れたい。思わず目の前にいる泰延さんから目を逸らしてしまいました。
でも、「無駄話がすごく大事」って、つまり『会って、話すこと。』でしょ? そんな泰延さんの話が好きで本を買い、イベントに来たのだから、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ!
(今回のイベントでも言っていました)
そっか。みんな、今日と同じ明日が来ると思っているんですよね、私も。2020年、2021年の夏を超えてもそう。毎日街を走る救急車に、「あなたの番です」さながら、次は自分が発熱するのではとキリキリしていたのに。それでも「必ず行きます!」と言ってしまう。そんな確証、ないのに。
「正直」。二人の出会いのキーワードでもある、この言葉。最初の最初、『読みたいことを、書けばいい。』の打診で今野さんが泰延さんへ送ったメールから登場しています。
前著は「正直に“書く”」。今作は「正直に“話す”」。二人はこの3年、全くブレず変わらずなんだなと思いました。
でもね、「正直」って、口でいうほど簡単じゃないですよね。カッコつけたくなっちゃう。自分の評価が下がらないようにって思っちゃう。面倒くさくなって知ったかぶったりしちゃう。私は「正直な人か」と問われると、全然です。
だから、泰延さんの前に立つのも、今野さんの前に立つのも、正直にいうとちょっと怖い。見透かされちゃいそうな気がするから。何か取り繕っていたら、相手にされなくなる気がするから。
それでも二人と話したいし、二人の話を聞きたいと思うのは、これもやっぱり二人が「正直な人」だからだと思うんです。
よし、ここから「正直にしゃべる」を深めるぞ、とペン先を手帳に落としたところで……
ああ! ほら、もう見透かされた!!
やっぱり泰延さん、怖い(笑)!!!
互いに興味ない。必ず傷つく。なのになぜ会いたいんだろう?
第二部のお悩み相談に移る前に、『会って、話すこと。』をまだ読み終えれていないという人や、読んだけど笑いすぎて内容が飛んでしまったという人のために、ポイントとなる内容を少しだけ紹介します。
執筆にあたり、会話に関する本を40冊近く読んだという泰延さん。しかし、そのうち39冊はほぼ同じことを書いてあったそう。それは「相手に興味を持っているような感じで接近して話しかけましょう」「向こうもあなたのことを知りたいはずだから、よく情報を開示して会話をしましょう」。
でも、泰延さんは「それはかなり鬱陶しくないですか? 」と感じたといいます。そこで普通の会話本とは反対の「相手も、あなたも、互いに興味ない」が『会って、話すこと。』の出発点になりました。
では、何を話せばいいのか? その結論として出てきたのがこちら。
読者からは「“ボケ・ツッコミ”はお笑い文化で日常会話には関係ないのでは」と言われることもあるそう。でも「舞台のボケ・ツッコミを会話に持ち込むのではなく、反対。本来は日常会話の中にあるものをデフォルメして舞台演芸に持ち込んでいるんです」と泰延さん。今野さんも「別に面白いボケをしろと言っている本ではないんです」と続けます。
一方の「ツッコミ」は「マウンティング」だという二人。「ツッコミは、ボケの人が緻密に考えてきた面白いことを終わらす行為」と話します。
うぐぐ……ついついツッコミがち、いやツッコもうと思っているわけでなくても、疑問や気になる点をホロリと口にした結果ツッコミになってしまうことが多々ある私としては、痛い! 悔い改めまする……。
そして続く、会話の心構え。
ここで私は「あれ……?」となりました。
互いに興味ないうえに、話すと必ず傷つくぐらいなら、そもそも会話しないほうが良くない??
いやでも、今こうして会って話していて、リアルで会話を見ていて楽しいし、ずっと会って話したかったんだから、会話しないほうがいいなんてことはないと思うのだけど……。なら、どうしてそんなに会話したくなるんだろう? 慌ててデカデカと疑問を手帳に書き留めました。
本の振り返りはここまで。書籍にはより多くの項目で、より濃い内容が書いてあるので、ぜひ『会って、話すこと。』を読んでくださいね。
さあ、いよいよお待ちかねの大質問大会です!
大質問大会! 会話の悩み、二人の回答は?
事前に募集した「会話に関するお悩み」へ、泰延さんと今野さんが全力で答えます。当日は1時間半、時間の許す限りいっぱいいっぱいまで回答していきました。今回はその一部を紹介します。
【Q&A①】ふくろうとジャズ。「無理にボケなくたっていい」
ボケって難しいですよね。私もボケられません。どうしたらボケになるのだろうか、どんなボケが正解なのだろうかと考えだしてしまいます。
ボケ続けて52年の泰延さんの回答がこちら。
ふくろうは、かわいい。ぜんぜんしゃべらないし振り向いてもくれないけど、かわいい。ボケが思いつかないときはふくろうよろしくニコニコ黙って、愛される人を目指すことにいたします。そしてなにより、ふくろうカフェに行っている泰延さんが、かわいい。
続いて今野さん。
かわいいから一転、こっちは洒落たたとえ。さらに続けます。
先ほどの泰延さんとの会話も相まって、会場に広がる笑い。泰延さんも「そうよね。どこかに波長の合う人いるからさ」と苦笑いしていました。
そんな今野さんの回答の〆は、ジャズを題材にしたマンガ『ブルージャイアント』(石塚 真一)の主人公、宮本大の台詞から。
やっぱり、ジャズのたとえだったんですね、今野さん! ちなみに『ブルージャイアント』は2022年のアニメ化も決定しています。音がつくのめっちゃ楽しみです。
ふくろうと、ジャズのマンガ。回答に泰延さん、今野さんそれぞれの色が出ている気がします。話せば、その人の輪郭がこぼれ出るものだなぁ。
【Q&A②】「田中泰延になることは不可能です。」
「私、こんな相談送ったっけ?」と思うくらい、頷いてしまいました。自分のこと、話したくなっちゃいます。実家では、あまりにマシンガンのように話す私に、母から「今は妹の番だから黙ってなさい!」とよく注意を受けました。ってほら、今もまた自分のこと話してるよ、私。
おしゃべり族で歯止めの効かない我らには、口を閉ざしてニコニコするしかないのでしょうか? 教えて、泰延さ〜〜〜〜ん!
「いつだって、今日が一番若い」と言ったのは誰だったか。これからの人生の中で、私は今日が一番若いのだ、だから変われるのだ! なんて泰延さんの回答を聞きながら自分を鼓舞してみる。
続いて、今野さんの回答。
「田中泰延になることは不可能です。」
「田中泰延になることは不可能です。」
そーーーれーーーなあああぁぁぁぁ!!! 思わず、立ち上がって握手を求めに行くところでした!!!
どんなに頑張ったって田中泰延にはなれないと分かっていても、なりたいと思うんですよ、泰延さんみたいにボケて愛されてご機嫌なお話し上手に。でも、泰延さんの一番近くにいるであろう今野さんに明言されると、諦めがつきました。もっと声を大にして言ってほしいくらいです。
田中泰延にならなくても、ふくろうだって愛されるし、田中泰延しか世の中にいなかったらジャズのセッションは生まれない。泰延さんに憧れる我が同士たちよ、泰延さんを目指しすぎず、自分の両手が届く範囲で参考にできるところだけ参考にしていこう!
そして「今からでも間に合うかな」と不安な方へ。菩薩のようなお二人の言葉を届けます。
【Q&A③】生まれる、自分の中の「会話」
これに対する泰延さんの回答が、こちら。
この回答を聞いた瞬間、「 子どもの撮影アシスタント! チャップリン!」と私の脳内で火花が散りました。
私は大学時代、キッズモデルの撮影アシスタントをしていたことがあります。子どもたちは、確かに物や人形が転げると笑いました。だけど、鈍臭い私が雨上がりに滑っても、足を引っ掛けて花をなぎ倒しながら花壇に突っ込んでも、全然笑ってくれないんです。笑わないだけならまだマシで、シラ〜っと空気が引いていって、チベットスナギツネ顔負けのスンとした表情で見つめられることも多々ありました。
「“リアル”と“リアリティ”は違う」。即興芝居のワークショップで教わった言葉ですが、マジで転んだ私はリアルすぎて痛々しかったのでしょう。
じゃあ、どうコケたらいいのか。それが、チャップリンなわけです。彼の軽やかな転び方は、リアリティがありながらもリアルじゃないから、安心して笑える。それも全世界共通で笑われています。
泰延さんのアドバイスを受けて、コケてみようと思った方。ケガしないように、ふわっと軽やかにコケたらいいのでは? 知らんけど。なんて、心の中で一生懸命メッセージを送ってみました。
続いて、今野さんの回答。
ということで、参考図書はこちら。
「自分と話す」については、『会って、話すこと。』の「なぜわたしたちは、会って話をするのか? その5 違う人と、同じものを見る」にあります。この章、手帳に挟んで持ち歩きたいくらい、好き。
今野さんの回答を聞きながら、ふと、さだまさしの話を思い出しました。彼は高校受験に失敗して挫折したとき、その日あった嫌なことを毎日書き出していたそうです。それこそ「あいつの目つきが気に入らない」ということまで。そうして書き出していくうちに、自分の悩みの根源は「私はだあれ?」が分からないことだと気がついたといいます。そこで彼は「16、7にそんなことが分かるわけがない!」と思えて、気が楽になったそうです。
「書く」って、すごいパワーがあるんだなぁと。どんな形でもいいから一度書き出してみると、モヤモヤと自分との間に少し距離ができる。だから、鏡と向き合うように客観的に、もう一人の自分を立てて話せる気がします。
さて、読んでくださっている方の中には、「泰延さんと今野さんの話を読みたかったのに、なぜ廣瀬がズッコケた話やらチャップリンやらさだまさしやらが出てくるんだ」と思っている人もいるかもしれません。私も、そう思います、ごめんなさい! でも伝えたかったのは細かな内容ではなくて、「二人の話を受けて、自分の中でいろんな発想が生まれた」ということなんです。
リラックスして笑いながら、なにかしらのリアクションが自然と湧き上がっている。一方通行ではないコミュニケーション、会話が生まれる瞬間に触れられた気がしました。
これがオンラインだと、なかなか発生しません。どうもオンラインの画面には、ATフィールドが張っているような気がします。リアルだと、空気を共にできて境界線が溶け合うから、自然と言葉にしないコミュニケーションが生まれるのかも。それは話さなかったとしても、一種の会話といえるのではないでしょうか。
やっぱり、場を共にするって、いいですね。
【Q&A④】実演! ボケを重ねるとはこういうことだ!
ああ、この人、優しいな。相手のせいにするでもなく、嫌いにならないですむように最初から期待するのをやめるでもなく、自分から離れようかと思い悩むんだもの……って、あれ、人? 宇宙人??
これには「離れたらいいじゃないですか。世界には80億人近い人間がいます」と真面目に回答しだした泰延さんも、ネクスト・スライドで急展開。
そんなことより(笑)。そして続く今野さんの回答は……
アドバイスしているのかどうかもわかりません(笑)。さらに宇宙人と人間が交信し、はぐれものが集結して宇宙を目指すマンガ『度胸星』(山田芳裕)を参考図書として紹介。 そして、もう一枚スライドが。
だから宇宙人の名前に反応しすぎ!笑
会場にいた人、もはや誰もお悩みがなにだったか覚えていないんじゃないかというくらいの、ジョン卍次郎の破壊力!
もうこの二人、どこまで本気でどこまで冗談でなにがボケなのか(笑)。しかも今野さん、まだ名前で超絶真剣に悩んでいるんです。
お腹をプルプルさせて笑いながら、同時に頭の中でシナプスとシナプスが急につながったような感覚がしました。
これが、ボケにボケを重ねるってことやん!!!
「宇宙人ジョン卍次郎」をペンネームだと流すのではなく、その案にのっかる。ボケを重ねるのは難しいと思っていたけれど、最初に相手の発想にそのままのっかっていけば、意外とシンプルなのかもしれない!
こんな分かりやすいお手本、そうそうないと思います。宇宙人ジョン卍次郎さん、あなたの名前のおかげです。降臨してくれてありがとう!
【余談】宇宙人ジョン卍次郎さん、早速せっせと自分が何者なのか書いていました。歴史的偉業が達成されたのでしょう。良かったね!
【Q&A⑤】滑ろうが滑るまいが、ただその場を楽しむ。たぶんそれが「正直」ということ
1枚目のスライドを読み上げながら「ああ、分かる」とつぶやいた泰延さん。そんな泰延さんの回答は……
基本姿勢はこれ。ただし、初対面の場合は違うそう。
確かに。信頼関係、大事。でも、読者である私たちがみている泰延さんは、いつもボケを重ねていますよ……?
泰延さん、信頼してくれてありがとう! おかげで今日も笑いの尽きない時間を過ごせています。
では、続けて今野さんの回答いってみよう!
ああ、そっか。人を「試す」のって、「正直じゃない」よなぁ、と聞きながら腑に落ちました。そういえば、最初のボケたいという悩みへの「トクをしようと思っていませんか」という回答。これも、「トクをしよう」って意図があって、「正直じゃない」なんだなと思います。
「正直じゃない」って、いわゆる「嘘をついている」とは違うんですよね。
実は「正直じゃない(嘘)」とはなになのか、『読みたいことを、書けばいい。』にすでに載っていました。再び今野メールを抜粋します。
負けたくない、損したくない、トクしたい。そういう利害の意図とは“さよなら”して、正直にその場をただ楽しみながら会話できる人になりたい。自分の「正直じゃない」に気づくのは難しいこともあるけれど、でもいつからでも間に合うはず。二人の回答を聞きながら、そんな想いを握りしめました。
それでは大質問大会、最後はこの一枚で終了します。
だから私たちは、会いたいんだ。
大きな笑いと拍手とともに終了したトークイベント。その後には、泰延さんと今野さんによるサイン会がおこなわれました。
続く長蛇の列に、サイン会が終了したのは21:45。なんと、1時間以上もサインを続けていた二人。その間に泰延さんのサインペンは2度もインクがなくなっていました。
それでも一人ひとりと言葉を交わし、笑い、写真に応じる泰延さんと今野さん。丁寧に本を手渡す様子に、どれだけ二人が読者に会いたいと思っていたのかがひしひしと感じられて、その光景を見ているだけで幸せな気分になりました。
サインをもらった後も会場に残って、ほかの参加者と話している人もちらほら。その姿は、今日ここで共有した時間を名残惜しんでいるよう。
もちろん私も、何人かとお話ししました。中には持っていたハンドバックを見て「もしかして、つーさんですよね」と声をかけてくださった方もいます。こういう会話の生まれ方は、リアルで会っているからこそだなぁと、とても嬉しくなりました。
(持っていたハンドバック)
私たちは、人に対して互いにあんまり興味はないし、会話をすれば必ず傷つく。会話の悩みだって尽きません。
それでも、やっぱり会いたいと願う。会って、時間を、空間を、共にしたいと思う。そうして共にする時間・空間、それが「わたし」と「あなた」の“間”なのかもしれません。
“間”がないと、ただの“ヒト”。そうではなく、“間”のある“人間”になって、心揺らしていたい。会って話したいと思うことにそれ以上の理由は不要で、人間とはそういうものなのだと、強く感じました。
これから、会って話せる環境が当たり前に戻ったとしても、今日の記憶があれば「会って、話せること」に無頓着にならないと思います。反対に、また会って話すのが難しい状態になったとしても、今日の記憶が「絶対、また会って話せるから」と希望になってくれる。そんな予感がしています。
泰延さん、今野さん。当日一緒に過ごした参加者の皆さん。そして長いnoteをここまで読んでくださった皆さま。ありがとうございます。
また、会って、話しましょう。
※お悩みは相談者名を削除するなど、できるだけ個人が特定されないようにしておりますが、もし「これ私の悩みだわ、ちょっと恥ずかしいな」という方がいらっしゃれば、廣瀬翼のTwitterまでDMください。該当箇所の削除など、調整いたします。
Special Thanks
西園寺俊児さん(@saipoda)
トップ画像とサイン中の写真の使用をご快諾いただき、ありがとうございます!
池田翔汰さん(@seepfly)
noteおよび泰延さんによる引用RTのツイートのリンクをご快諾いただき、ありがとうございます!
『会って、話すこと。』関連記事紹介
・DAIAMOND ONLINE『だから、この本。』連載
・1話10分で学びを支援する音声メディア「VOOX」収録裏話
・ログミー 田中泰延×阿部広太郎 『会って、話すこと。』刊行記念(全6回)
他にもいろんな記事が出ています。多分これからも出てきます。noteの感想文もたくさん。Twitterで「#会って話すこと」で探してみてくださいね。
関連note紹介
大阪の美人・砂糖塩さん(@sugarndsalt)が、2年前『読みたいことを、書けばいい。』に関連しておこなわれた泰延さん・今野さんの登壇イベントを記事にしています。笑いも熱量も勢いもたっぷりなぶっ飛びnoteです。