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楽しみは、2日目に。

我が家のカレーは、ちょっと変わっています。

カレーの日は3時ごろから準備を始め、じゃがいもの形が崩れるまで3時間以上コトコト煮込むのがお決まり。ルーを入れる前からいろいろ味をつけていて、それだけでもスープとして食べられそうなくらいになります。

玉ねぎとお肉をさっと炒めて水を注ぎ、にんじんやじゃがいも、マッシュルームにグリーンピースを加えたら、蜂蜜、リンゴジュース、ケチャップ、ブルドックの中濃ソース、醤油、赤ワイン、コーヒーを次々投入。すべて目分量ですが、ルーを入れる前にちょこちょこ味見をしながら、中濃ソースや蜂蜜、ケチャップのバランスを整えます。

これがまた、難しい。シャバシャバと水の味がしすぎると深みはないですし、かといってここで味付けしすぎると、ルーを入れたときに味が濃くなりすぎます。少し悩んだら、一旦鍋の蓋をしてコトコト30分くらい待ち、馴染んだところで再度味見。そして調整を繰り返します。

ルーを投入するのは、最後の最後。仕上げの30分〜1時間前です。

ルーは2種類をブレンド。片方は決まって「バーモントカレー」です。私と妹がまだ小さかった頃は甘口でしたが、今は中辛が基本。そこに合わせるもう一つのルーは、少しスパイスの効いたタイプを選びます。多いのは「ジャワカレー」の中辛。

ただ、それだと「ハウス×ハウス」になるので、他のメーカーのルーでスパイシータイプのものがあれば、そちらを選ぶことも。メーカーが異なるほうが、使用しているスパイスの種類が増えて深みが増すような気がするからです。根拠はないのですが。

ルーが溶けたら、おたまでかき混ぜながらしばらくコトコト。最後にビターチョコを一欠片加えて、ガムサマサラとシナモンをふりかけ、馴染むまで煮込んだら完成です。

調味料が多いからか少しシャバシャバしがちなのですが、私はこのカレーがずっと好きでした。私も妹も、夜ご飯は白米を少ししか食べない子だったのに、カレーの日はガッツリおかわりをしていたものです。

そうしておかわりをしに台所に走ると、決まって母に言われる言葉がありました。

「明日用にも、とっておいてよ!」

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先日、急にカレーが食べたくなって、久しぶりに自分で作ってみました。やっぱり家庭の味はうれしい。洋食屋さんのカレーも本格インドカレーも喫茶店の欧風カレーも好きだけど、この“家庭のカレー”はプライスレスです。

バーモントと蜂蜜の自然な甘さに、ジャワの角のある辛さ。口の中で、空間が広がるように香りと味の重層が深まります。この味、たまに食べるとホッとするなぁ。

とはいえ、カレーなんて一度に4〜6皿分作るわけで、一人暮らしの一食では食べきれません。残った分は鍋に蓋をし、一晩寝かせることにしました。

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翌朝は前日のカレーに火を通して、朝食からカレーにしました。朝食からカレーなんて、普段朝はヨーグルトと蜂蜜にヤクルトの私からしたら、暴挙だ。頑張れ、胃袋。

実家でも、そうでした。2日目の朝はカレー。学校に行く前から、カレー。食べ終わったらいつもより入念に歯磨きをすることになるのだけど、それでもカレー。

だって、2日目の朝のカレーが、一番美味しいんだもの。

昨日のカレーとはまた変わって、素材とスパイスが手をつないでハーモニー。「なんだ、昨日は一つひとつの香りが立ったけれど、あれはまだリハーサルだったのか。本番リサイタルは、今日だったんだな!」となるのです。

どっちもそれぞれに美味しい。どっちも好き。だけど、2日目のカレーまで食べられたほうが、ずっと幸せです。

毎回思う。「欲張って昨日食べ切ったりせずに、ママのいうこと聞いて今朝にとっておいてよかった」って。

カレーそのものは食べきれなくても、入ってるお肉を食べたかった私、翌朝にとっておくのは葛藤なのですが、とっておいたほうが総合して幸せになります。

楽しみは、2日目まで寝かして、とっておかなきゃね。

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ああ、作りたてもいいけれど、少し寝かせたほうがしっかりハーモニーが生まれることがあるって、カレーってなんだか文章みたいだなぁ。

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