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【イベントレポート】京で輝く!女性活躍推進セミナー「今こそ、男性版産休を考える」

輝く女性応援京都会議(事務局:京都市・京都府・京都労働局・京都商工会議所)では、女性活躍の阻害要因となっている男性中心の働き方の見直しを進め、男性の家事・育児への参画を促進することを目的として「男性の 家事育児参画」をテーマとしたセミナーを実施しています。
令和3年度は、「男性版産休(出生時育児休業)」について、人事担当者がその制度内容や、男性が育休を取得する意義を理解した上で、取得促進に向けた準備を進めていけるよう、2022年1月28日(金)にオンラインで開催しました。その模様をお伝えします。

【講演会】

工藤保則氏(龍谷大学社会学部教授)

著書『46歳で父になった社会学者』に触れながら、「男性が家事や育児をすること」について、次のようにお話しいただきました。 

■家事・育児をすることで父親になっていく

工藤保則氏

子どもが産まれた時には、父親としての準備ができておらず、すぐには何も出来なかったという工藤先生。妻のしんどさ、体調不良によりそいながら、育児は本当に大変で責任の重いことだと実感したそうです。

そして工藤先生は、子どもが産まれてからの8年、家事や育児をすることで「父親になっていった」と言います。 

■「父親になっていかない」男性が多いのはなぜ?

「父親になっていかない」男性、つまり自らを変化させることができずにいる男性が多い。それはなぜか?理由として、次のことを挙げられました。

①男性優位な社会構造の中で、男性には有形無形のさまざまな「特権」が与えられており、男性は育児をしなくていい、男性は会社を優先していいと許されてきたいいと許されてきた。しかも、男性自身がこの「男性特権」※に無自覚である。(※恋バナ収集ユニット「桃山商事」の清田隆之さんによる言葉)

多くの男性にとって子どもはかわいいだけの存在になっていて、子どもはケアをしないと死んでしまう存在、24時間緊張をもたらす存在であることを十分に理解していない。

男性がせめてひと月でも育休を取って、子どものケア(と妻のケア)に専念すれば、命をあずかることのリアリティを体で理解することができるだろう。「こんなに緊張をともなうしんどいことを自分も引き受けなければ」と、きっと意識が変わるに違いない。

■育児を「味わう」ことが、人の成長、企業の成長につながる

育児を「楽しむ」というよりは、(家事を含めて)育児を「味わう」育児をしていると、にがい思いやすっぱい思いもする。いろいろな味を味わうことによって、違う視点が得られ、視野が広がる。そのことが、仕事や人への関わり方などにも変化を与え、周囲にも良い影響をもたらす。育児が人の成長、ひいては企業の成長につながるのだと話されました。

 

【制度解説】

出生時育児休業(男性版産休)について解説

京都労働局

男性版産休(出生時育児休業)について、どのような制度なのかを、具体的な手続きの流れ、現行と施行後との違い、改正後の働き方、休み方のイメージ等を表やチャートを用いて詳しく解説していただきました。

*配布された資料は下記よりダウンロードできます。
(厚生労働省では出生時育児休業を「産後パパ育休」と呼んでいます。)


【先行事例発表】

京都中央信用金庫

2019年5月に京都・滋賀の企業で初めて「プラチナくるみん」「えるぼし(三つ星)」をダブル取得。当初、育休は女性が取るものだという先入観があったが、人事部より男性育休対象者全員の所属支店長宛に制度概要の説明及び取得推奨を実施。それにより管理職の意識改革が実現し、2020年度の男性育休取得率は99%になった。

京都中央信用金庫から10ヵ月の育休を取得した高堂さんとその上司の森島さんに事例発表をしていただきました。

■高堂郁也氏(京都中央信用金庫八幡支店主任)

高堂郁也氏

育休の間、子どもの夜泣きをあやして寝不足になったと話す高堂さん。産後、体調やメンタルが安定しない中で、女性がひとりで家事と育児をするのは大変だとつくづく思ったそうです。育休によって幅広い視野を持てたことが、復帰後の仕事に生かされており、今後は、自身がモデルケースとなり、経験を幅広く発信し、男性の長期育休取得につなげたいと話されました。

■森島寿夫氏(京都中央信用金庫八幡支店支店長)

支店長として復帰後の高堂さんの育児と仕事の両立をサポートする森島さん。金融機関では様々なお客様のニーズに対応する必要があるが、育休での経験が人間力を高めており、対応に役立っているとおっしゃいます。男性育休取得率が伸びた現在も「アンコンシャスバイアス研修」を実施するなど、さらなる意識改革を図っていると話されました。

【グループワーク】

テーマ:「男性版産休が取りやすい雰囲気を職場でどう作る?」

グループに分かれてテーマについて話した後、グループで出た意見を発表していただきました。

・育休を取ることに対する従業員のメリット、会社のメリットを会社全体にしっかり周知し、理解を得た上で行うことで、取得者もサポートする側も気持ちよく対応できるのではないか。

・会社だけではなくて、社会が変わる必要がある。母乳が出るから女性が育児をしないといけないという根本的な考え方を変えていかないとだめなのではないか。

という意見が出ました。

【まとめ】

工藤保則氏(龍谷大学社会学部教授)

■男性の育休は個人に任せず企業がサポートを、好事例は広く共有を

職場で働いている男性が積極的に育休を取得し、それを職場でサポートしていくことが大切。ロールモデルがどんどん増えることで、長期の育休を取得する男性が出てくるはず。その好事例を他の企業とも共有して、社会に広げていけばいいのではないか。

■思いを共有し、柔軟に変わっていくことが大事

育休を取った男性が、経験を共有し、広めていくことが大事なのではないか。そうすることで個人が変わり、会社が変わり、社会が変わる。大人の意識が変わることで子ども達にとっても良い社会になっていく。柔軟に、良い方向へ社会を変えていきましょうとメッセージを送られました。

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今年、10月からいよいよ男性版産休(出生時育児休業)が施行されます。今回の登壇者のお話を参考に、男性が育休を取得する意義をそれぞれの職場で改めて検討し、男性版産休の取得促進に向け「制度改革」と「風土改革」の両面から取り組んでいただければと思います。 

記事作成・編集:公益財団法人京都市男女共同参画推進協会
京都市男女共同参画センター ウィングス京都 https://www.wings-kyoto.jp/


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